精密機器3社・2027年3月期第1四半期、テルモ首位とHOYA高収益の秘密を比較
テルモは売上高3,118億円、前年比19.9%増で3社首位に立った。HOYAは営業利益率32.3%で最高となった。オリンパスは純利益が112.5%増と伸びたが、営業利益率は12.0%にとどまる。関税還付や和解金などの一時要因も利益を押し上げた。伸びの大きさと稼ぐ力は別物という構図が鮮明だ。
今期の総括
成長率と稼ぐ力に差
業界全体の動き
- 3社とも増収となり、売上高の前年同期比はテルモが19.9%増、オリンパスが16.4%増、HOYAが16.0%増だった。3社平均も17.4%増で、需要の底堅さが共通の追い風となった。
- 海外需要と円安が業績を支えた。オリンパスは北米・欧州の内視鏡需要が好調で、テルモも為替が追い風となった。海外市場の伸びが収益に直結しやすい構図だ。
- 利益の伸び方には差が出た。営業利益はテルモが60.1%増、オリンパスが74.4%増、HOYAが30.0%増。テルモには和解金などの一時要因も含まれる。
- HOYAは営業利益率32.3%で3社トップ。情報・通信事業の高い収益性に加え、ライフケア事業の改善も利益率を押し上げた。
- 3社の事業構成も異なる。医療機器が中心のテルモとオリンパスに対し、HOYAは医療関連に加え、半導体関連など情報・通信事業も持つ。収益源の違いが利益率の差に表れた。
売上高ランキング
営業利益ランキング
営業利益率ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
売上高と営業利益の首位はテルモだった。売上高は3,118億円で前年比19.9%増。HOYAの2,557億円、16.0%増、オリンパスの2,404億円、16.4%増を上回った。営業利益も895億円、60.1%増で、HOYAの826億円、30.0%増を上回る。
ただし、テルモの営業利益には受取和解金201億円や米国関税の還付が寄与した。したがって、利益の伸びをそのまま本業の成長と見るのは早い。中核事業の成長と一時要因を分けて見る必要がある。
HOYAは営業利益率で最も強い。32.3%はテルモの28.7%、オリンパスの12.0%を上回る。通常の営業活動からの利益も823億円、24.4%増で、本業の稼ぐ力が目立つ。
最も苦戦した企業として挙げられるのは、利益率が最も低いオリンパスだ。営業利益は290億円、74.4%増と3社で最も高い伸び率だが、金額はテルモの895億円、HOYAの826億円を大きく下回る。サージカル事業の赤字も残り、収益性の改善が課題となる。一方、純利益の伸び率は112.5%増で3社首位だ。利益の伸び率と利益率に明暗が出た。
- 好調
- テルモ
- 苦戦
- オリンパス


注目の動き・戦略比較
- テルモは心臓血管領域を中心に全セグメントで増収。受取和解金や関税還付も利益を押し上げ、通期予想を上方修正した。オーガンテクノロジーズなど新規事業の育成も続くが、今期の利益には一時要因が含まれる。
- オリンパスは消化器内視鏡が北米・欧州で伸びた。自己株式を600億円取得する一方、米国企業の買収も進めた。テルモの和解金201億円とは異なる資本配分で、成長投資と株主還元の両立が焦点だ。
- HOYAは情報・通信事業が高収益を支え、ライフケア事業も改善した。2,000億円の自社株買いを発表し、オリンパスの600億円を上回る規模で株主還元を強める。高い利益率と現金創出力が、還元を支える。
投資家は、買い戻しの規模だけでなく、将来の設備投資や研究開発とのバランスも見たい。就活生にとっては、テルモの医療機器、オリンパスの内視鏡、HOYAの光学・半導体関連と、企業ごとに技術を生かす市場が異なる点が注目材料だ。
業界共通のリスク
- 為替の反転。海外売上が伸びる一方、円高に転じれば円換算の売上や利益を押し下げる可能性がある。
- 関税や通商政策の変化。テルモでは米国関税の還付が利益を押し上げた。今後の制度変更は、調達費や販売価格に影響しうる。
- 需要や市場環境の変化。医療機器の需要動向に加え、HOYAの情報・通信事業では半導体やデータ保存関連の市場変化も業績を左右する。
- 規制と技術競争。医療機器は各国の承認や安全性への対応が欠かせない。製品開発の遅れや競合の技術革新は、シェアや利益率を損なう恐れがある。
- 一時利益への依存。テルモの和解金や関税還付のような要因は繰り返されるとは限らない。投資家は本業利益と一時要因を分けて確認したい。
順位変化と構造トレンド
売上高と営業利益はテルモが首位、営業利益率はHOYAが首位となった。オリンパスは営業利益の伸び率で首位だが、利益額と利益率では下位に位置する。単純な増益率だけでは、各社の稼ぐ力を比べきれない。
純利益の伸び率はオリンパスが112.5%増、テルモが68.3%増、HOYAが26.9%増。3社平均は69.2%増だが、一時要因や利益水準の違いも影響する。高成長と高収益は別の競争軸として見るべきだ。
就活生・転職希望者へ
医療機器メーカーでは、製品開発だけでなく品質管理、薬事、製造、海外営業も事業を支える。テルモとオリンパスは医療現場に近い製品や顧客課題に関わる機会があり、HOYAではライフケアと情報・通信の両方に事業領域が広がる。
企業選びでは、売上成長だけでなく、どの事業が利益を生み、どこに投資するかを確認したい。テルモは幅広い医療領域、オリンパスは内視鏡事業の強さとサージカル事業の立て直し、HOYAは高収益事業と技術の応用力が見どころだ。
タグ#精密機器#医療機器#2027年3月期#第1四半期決算#テルモ#オリンパス#HOYA#営業利益率#株主還元#円安#半導体関連
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