テルモ、2027年3月期第1四半期決算、増収増益で通期予想を上方修正

テルモが発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期比 19.9%増 の 3,118億円、営業利益が 60.1%増 の 895億円、純利益が 68.3%増 の 704億円 と、大幅増収増益を達成した。米国関税の還付や受取和解金の計上が利益を押し上げ、通期業績予想の上方修正につながった。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,118億円 | +19.9% | 1.2兆円 | 25% |
| 営業利益 | 895億円 | +60.1% | 2,575億円 | 35% |
| 純利益 | 704億円 | +68.3% | 1,931億円 | 36% |
| 営業利益率 | 28.7% | |||
業績のポイント
テルモ(テルモ)の2027年3月期第1四半期連結決算は、売上収益が前年同期比 19.9%増 の 3,118億円 となり、全セグメントで増収を達成した。営業利益は同 60.1%増 の 895億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同 68.3%増 の 704億円 と、過去最高の四半期利益を更新した。この大幅増益の背景には、主力の心臓血管カンパニーを中心とした事業成長に加え、受取和解金201億円や米国関税還付といった一時的要因が含まれている。為替も追い風となり、海外売上高比率は約 82% に達した。売上総利益は 22.7%増 の 1,785億円、為替影響を除いた実質的な売上成長率は 9.4% と堅調で、一時的要因を除いた調整後営業利益も 34.7%増 の 796億円 と好調だった。テルモはこれらの好スタートを受け、通期業績予想を上方修正している。
セグメント別動向
テルモは心臓血管カンパニー、メディカルケアソリューションズカンパニー、血液・細胞テクノロジーカンパニー、オーガンテクノロジーズ事業の4つの報告セグメントを有する。
| セグメント | 売上収益(億円) | 調整後営業利益(億円) | 利益率 | 売上構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 心臓血管カンパニー | 1,881 | 600 | 31.9% | 60.3% |
| メディカルケアソリューションズ | 566 | 71 | 12.5% | 18.2% |
| 血液・細胞テクノロジー | 608 | 111 | 18.3% | 19.5% |
| オーガンテクノロジーズ | 62 | 9 | 15.1% | 2.0% |
心臓血管カンパニーは、海外でインターベンショナルシステムズ事業を中心に全事業が伸長し、前年同期比 19.2%増 の 1,881億円 と全体をけん引した。日本ではニューロ事業が好調だった一方、アオルティック事業の減収により同 0.9%減 とやや低調だったが、グローバルでは高い成長率を維持した。
メディカルケアソリューションズカンパニーは、ホスピタルケアソリューション事業とファーマシューティカルソリューション事業が国内外で拡大し、全体で 12.3%増 の 566億円 となった。特に海外は欧州を中心に 30.0%増 と急伸した。
血液・細胞テクノロジーカンパニーは、欧米での主要ビジネスの成長と日本の採血関連製品の堅調により、 17.7%増 の 608億円 を達成した。
オーガンテクノロジーズ事業は、2025年10月に子会社化したオーガノックス社の連結開始により、62億円 の売上を新たに計上した。北米市場を中心に事業拡大が進んでいる。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 心臓血管カンパニー | 1,881億円 | 60% | 600億円 | 31.9% |
| メディカルケアソリューションズカンパニー | 566億円 | 18% | 71億円 | 12.5% |
| 血液・細胞テクノロジーカンパニー | 608億円 | 20% | 111億円 | 18.3% |
| オーガンテクノロジーズ事業 | 62億円 | 2% | 9億円 | 15.1% |
財務状況と資本政策
資産合計は前期末比 619億円増 の 2兆3,741億円 となった。現金及び現金同等物の増加(341億円増)や投資有価証券の時価上昇が主因だ。負債合計は 157億円減 の 7,121億円 で、賞与支給等による流動負債の減少が影響した。自己資本比率は 70.0% と財務基盤は強固である。
営業活動によるキャッシュ・フローは 745億円 と前年同期の326億円から大幅に増加した。税引前利益903億円が主因で、堅調な利益を現金化している。投資活動では設備投資やオーガノックス買収関連の支出により 283億円 の資金を使用した。財務活動では借入金の返済や社債償還、配当支払い(219億円)により 162億円 の支出となり、現金及び現金同等物は前連結会計年度末から 341億円増 の 3,146億円 となった。
株主還元では、2027年3月期の年間配当予想を前期比 6円増 の 36円 に引き上げた。中間・期末各18円の見込みで、安定配当と増配姿勢が示されている。また、2026年7月には400億円の社債を発行し、借入金の返済に充当するなど、財務戦略も積極的である。
通期見通し
テルモは第1四半期の好調と一時的利益を踏まえ、2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。売上収益は前期比 9.5%増 の 1兆2,390億円、営業利益は同 46.0%増 の 2,575億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同 42.1%増 の 1,931億円 を見込む。米国関税還付や受取和解金の影響を除いた調整後営業利益も、前期比 25.1%増 の 2,745億円 と、実力ベースでの高い成長が続く見通しだ。
| 項目 | 前期実績(2026/3) | 今回予想(2027/3) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆1,310億円(想定) | 1兆2,390億円 | +9.5% |
| 営業利益 | 1,763億円(想定) | 2,575億円 | +46.0% |
| 純利益 | 1,358億円(想定) | 1,931億円 | +42.1% |
(注)前期実績は第1四半期短信には記載がないため、通期予想の前期比増減率から逆算した概算値。為替前提は1ドル155円、1ユーロ180円。
戦略トピック
オーガンテクノロジーズ事業の立ち上げ:2025年10月のオーガノックス社買収により、臓器保存・輸送技術を手掛ける新セグメントが稼働。第1四半期売上は62億円とまだ小さいが、北米を中心に成長が見込まれており、今後の拡大が注目される。
一過性利益の影響:受取和解金 201億円 が営業利益を大きく押し上げたほか、米国関税の還付も売上総利益に寄与。これらを除いた調整後営業利益でも 34.7%増 と高成長を維持しており、事業の本質的な強さが確認できる。テルモはこれらの一時的利益を上振れ要因とせず、通期計画にも慎重に織り込んでいる。
リスクと課題
テルモの業績は一時的要因の影響を受けた面が大きく、来期以降の反動減には注意が必要だ。また、海外売上比率が 82% と高いため、急激な円高が進行した場合には業績の下押し圧力となる。加えて、欧州医療機器規則(MDR)への適合費用が継続的に発生しており、規制対応コストの動向も注視すべき課題である。グローバルな医療需要は底堅いものの、各国の医療費抑制策や競合他社との技術競争など、中長期的なリスク要因も存在する。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
2,373円
最新終値(2026/10/23)
2,399円+1.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#テルモ#決算#四半期決算#決算分析#増収増益#上方修正#医療機器#心臓血管#海外展開#受取和解金
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コメント
テルモの第1四半期は、一過性利益を除いた実力ベースでも高い成長を達成しており、事業ポートフォリオの強固さを示した。特に心臓血管カンパニーのインターベンショナル領域は世界で需要が拡大しており、中核的な成長ドライバーとして期待できる。新規事業のオーガンテクノロジーズも今後の収益貢献が楽しみだ。
懸念点としては、海外比率の高さゆえの為替感応度の大きさと、一過性利益の反動がある。また、配当性向はまだ高くなく、増配余地はあるが、成長投資とのバランスも重要だ。全体として、テルモは医療機器セクターの中でも安定成長が続くと評価できるが、為替と一時的要因を除いたコアの利益成長率を注視したい。
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