
HOYA、2027年3月期第1四半期決算、増収増益で2000億円の自社株買い発表
売上高
2,557億円
+16.0%
営業利益
826億円
+30.0%
純利益
658億円
+26.9%
営業利益率
32.3%
HOYAの2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が2557億4200万円(前年同期比16.0%増)、営業利益が826億2600万円(同30.0%増)と大幅な増収増益を達成した。全セグメントが伸長し、特に情報・通信事業の収益性が高く、ライフケア事業の収益性改善も進んだ。さらに、決算発表と同時に総額2000億円の自己株式取得も発表、増収増益と大規模自社株買いで株主還元を強化する姿勢を鮮明にした。
業績のポイント
当第1四半期(2026年4月〜6月)の連結売上収益は2557億4200万円(前年同期比16.0%増)、営業利益は826億2600万円(同30.0%増)、親会社株主に帰属する四半期利益は657億9100万円(同26.9%増)となった。営業利益率は32.3%と前年同期の28.8%から大幅に改善し、収益性の高さが際立つ。
特に「通常の営業活動からの利益」は823億6700万円(同24.4%増)で、本業の稼ぐ力を示した。税引前利益も859億9400万円(同27.7%増)と堅調に伸びている。これらの結果は、ライフケア、情報・通信の両セグメントが高付加価値製品を軸に拡大したことによる。
なお、通期予想は第1四半期時点では公表されず、第2四半期累計(上期)の予想として売上収益5210億円、営業利益1650億円が示された。前年同期実績(売上収益4548億9900万円、営業利益1317億4400万円)を大きく上回る見通しで、上期予想も大幅な増収増益を見込む。
業績推移(通期)
セグメント別動向
HOYAは事業を「ライフケア」「情報・通信」「その他」に区分しており、その他は2025年10月に音声合成ソフトウェア事業を譲渡したため、実質的に2事業で構成される。
① ライフケア事業 売上収益1547億8800万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益299億8400万円(同23.6%増)。利益率は19.4%に上昇した。
ヘルスケア関連では、メガネレンズがチェーン店向け好調に加え、欧州・中国・南米で 高付加価値製品「MiYOSMART」が大幅伸長。コンタクトレンズも新規出店やプライベートブランド「hoyaONE」の販売好調で増収。医療関連では、白内障用眼内レンズのプレミアム品が拡大し、内視鏡は円安効果で増収したが、現地通貨ベースでは構造改革進行中で減収となった。
② 情報・通信事業 売上収益1009億5400万円(同22.7%増)、セグメント利益556億1500万円(同27.8%増)。利益率は55.1%と極めて高い。
エレクトロニクス関連では、半導体用マスクブランクスがEUV向け先端品の需要増とハイエンド構成比上昇で 半導体用マスクブランクスが大幅増収。FPD用フォトマスクは中国工場立上げで伸長。ハードディスク用ガラスサブストレートはデータセンター向けニアラインストレージ需要が旺盛だった。
光学ソリューション(旧映像関連)は、ミラーレスカメラ向け交換レンズが安定し、CUPOやウェアラブルカメラ向けレンズ等の販売が伸び、大幅増収。
| セグメント | 売上収益 (百万円) | 構成比 | セグメント利益 (百万円) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ライフケア | 154,788 | 60.5% | 29,984 | 19.4% |
| 情報・通信 | 100,954 | 39.5% | 55,615 | 55.1% |
| 合計(調整後連結) | 255,742 | 100% | 82,367 | 32.2% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ライフケア | 1,548億円 | 61% | 300億円 | 19.4% |
| 情報・通信 | 1,010億円 | 40% | 556億円 | 55.1% |
財務状況と資本政策
当四半期末の総資産は1兆3018億2700万円と前期末比横ばいだが、自己株式取得や配当支払いにより資本合計は1兆306億200万円とやや減少。親会社帰属持分比率は78.0%と依然高水準で、財務の健全性は維持されている。
キャッシュ・フローでは、営業CFが700億円(前年同期比+127億7300万円)と拡大。投資CFは△71億600万円、財務CFは△882億4100万円。財務CFの支出拡大は、配当金の増加(1株当たり170円、総額約570億3300万円)と自己株式取得280億5200万円が主因。期末の現預金は5554億9400万円となった。
配当は、前期が中間125円・期末170円の年295円だったが、今期予想は未定。HOYAは業績や投資計画を踏まえ配当を都度決定する方針で、中間配当は第2四半期決算時に公表する。
決算発表同日、取締役会は上限2000億円の自社株買いを決議。取得株数上限1000万株(発行済株式の2.99%)、取得期間は2026年8月3日から2027年3月24日。取得株は消却予定で、大規模な株主還元と資本効率向上を図る。
通期見通し
HOYAは第1四半期時点で通期業績予想を開示せず、第2四半期累計(上期)予想だけを公表している。情報・通信事業の部材特性や高い海外売上比率から為替影響が大きく、長期予想が困難なためで、例年、第3四半期決算時に通期予想を初めて示す。
今回示された上期予想(2026年4月〜9月)は以下の通り。
| 項目 | 前年同期実績 (2026年3月期第2四半期累計) | 今回予想 (2027年3月期第2四半期累計) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 4,548億9900万円 | 5,210億円 | +14.5% |
| 営業利益 | 1,317億4400万円 | 1,650億円 | +25.2% |
| 税引前利益 | 1,392億9400万円 | 1,700億円 | +22.0% |
| 親会社株主に帰属する当期利益 | 1,072億6800万円 | 1,310億円 | +22.1% |
| 基本的1株利益 | 313.19円 | 391.54円 | +25.0% |
ライフケアではメガネ・コンタクトの好調継続、情報・通信では半導体用マスクブランクスやHDD基板の需要増持続を見込み、上期ベースでも大幅増益を計画している。為替や半導体市況の変動には留意が必要だ。
リスクと課題
HOYAは事業環境リスクとして以下を挙げている。
- 為替変動リスク:海外売上比率が高く、円高は業績の下振れ要因。今期は円安が追い風だが、急激な変動には注意。
- 情報・通信事業の市況依存:半導体用マスクブランクスやHDD基板は中間生産材であり、最終消費財やデータセンター投資動向に左右される。
- ライフケアの構造改革:医療用内視鏡の現地通貨ベース減収が続いており、構造改革の成否が収益改善の鍵。
- 競争環境:高付加価値製品で差別化を図っているが、競合の技術進歩や価格競争リスクは常に存在する。
戦略トピック:2000億円の自社株買い
決算発表と同時に発表された総額2000億円の自社株買いは、前期に続く大規模な株主還元策。取得上限株数は発行済株式の約3%で、2026年8月から2027年3月までの約8ヵ月間で実施する。取得後は全株消却し、1株当たり価値の向上とROE改善を狙う。
HOYAはこの決定を「株主還元の強化と資本効率の向上、機動的な資本政策の遂行」と説明。財務基盤の健全性と高収益を背景に、機動的な大規模株主還元を継続する姿勢を示した。
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HOYAの第1四半期は、情報・通信事業の利益率55%超という驚異的な数字が目を引く。半導体用マスクブランクスやHDD基板の高シェアと高付加価値化が奏功し、稼ぎ頭としての存在感を増している。一方、ライフケアの収益性改善も順調で、両事業のバランスが取れた成長が好感される。
特筆すべきは、この好業績を背景に2000億円の自社株買いを決めた点だ。豊富なキャッシュ創出力を株主還元に積極的に振り向ける姿勢は、資本市場の評価をさらに高めるだろう。一方、為替や半導体市況の不透明さを考慮し、通期予想を出さない慎重さも目立つ。第3四半期での通期予想発表時には、情報・通信事業の持続性が焦点となる。
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