アンリツ、2027年3月期第1四半期決算、受注高95%増で通期予想据え置き

アンリツの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上収益は前年同期比38.0%増、営業利益は219.5%増、親会社株主に帰属する四半期利益は463.5%増と大幅な増収増益となりました。生成AIの普及を背景にデータセンター関連の通信計測需要が伸び、受注高も95.0%増と急拡大しました。会社は中東情勢などを注視しつつ、通期予想を据え置いています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 326億円 | +38.0% | 1,400億円 | 23% |
| 営業利益 | 43億円 | +219.5% | 200億円 | 21% |
| 純利益 | 33億円 | +463.5% | 150億円 | 22% |
| 営業利益率 | 13.1% | |||
この決算のポイント
- 1通信計測事業はデータセンター需要と顧客投資の回復で、売上収益が前年同期比33.6%増
- 2受注高は前年同期比95.0%増の490億6500万円、受注残高も604億1600万円に拡大
- 3環境計測事業はDEWETRONの連結寄与で売上収益が前年同期比323.1%増、営業黒字に転換
- 42027年3月期の売上収益1400億円、営業利益200億円など通期予想を変更せず
- 5年間配当予想は1株50円で前期実績と同額、中間・期末は各25円を予定
業績のポイント
アンリツ(アンリツ)は、2027年3月期第1四半期に大幅な増収増益を確保しました。売上収益は325億8400万円(前年同期比+38.0%)、営業利益は42億7800万円(同+219.5%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は32億8600万円(同+463.5%)でした。
- 受注高: 490億6500万円で前年同期比+95.0%。通信計測を中心に受注が大きく伸びました。
- 受注残高: 604億1600万円で前年同期末比+69.1%。売上収益を上回る受注残が積み上がっています。
- 1株当たり利益: 25円68銭と、前年同期の4円55銭から増加しました。
受注と受注残が急拡大した背景には、生成AIの普及やクラウドサービスの高度化に伴うデータ通信量の増加があります。800GEネットワークへの更新や、次世代の1.6TE向け光トランシーバー開発などを受け、関連する測定器の需要が高まりました。前年に米国の関税政策の影響で先送りされていた顧客投資が回復したことも、通信計測事業の伸びを後押ししました。
- 受注高+95.0%
- 受注残高+69.1%
- 売上収益+38.0%
セグメント別動向
主要3事業はいずれも増収増益となり、なかでも通信計測事業が利益の伸びをけん引しました。事業別の売上収益の伸びには、DEWETRONの連結寄与があった環境計測事業と、データセンター需要を取り込んだ通信計測事業で差が出ています。
| セグメント | 売上収益の前年同期比 | 営業利益の前年同期比 |
|---|---|---|
| 通信計測 | +33.6% | +148.7% |
| PQA | +15.7% | +36.2% |
| 環境計測 | +323.1% | 前年の損失から黒字 |
| その他 | +18.4% | +60.6% |
通信計測事業は、売上収益193億7900万円、営業利益31億5300万円でした。AI関連のデータセンター投資を受けた光トランシーバー市場の需要が好調で、先送りされていた顧客投資の回復も寄与しました。通信計測が回復を主導し、受注高は336億2900万円、受注残高は423億700万円に達しています。
PQA事業は、売上収益78億9400万円、営業利益7億7200万円でした。食品メーカーの人手不足を背景に、異物検査や包装検査など品質保証工程の自動化・省人化需要が続きました。北米では食肉市場を中心にX線検査機の需要を獲得しています。
環境計測事業は、売上収益36億円、営業利益1億9700万円となり、前年同期の営業損失3億9400万円から黒字に転じました。DEWETRON GmbHの連結寄与に加え、同社のデータ収集システム需要が堅調でした。一方、EV・電池向け試験装置は国内顧客の投資に先延ばしがみられます。
その他の事業は、売上収益17億1000万円、営業利益6億500万円でした。センシング&デバイス、物流、厚生サービス、不動産賃貸などで構成され、売上・利益とも前年同期を上回りました。
- 通信計測+33.6%
- PQA+15.7%
- 環境計測+323.1%
- その他+18.4%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 通信計測 | 194億円 | 60% | 32億円 | 16.3% |
| PQA | 79億円 | 24% | 8億円 | 9.8% |
| 環境計測 | 36億円 | 11% | 2億円 | 5.5% |
| その他 | 17億円 | 5% | 6億円 | 35.4% |
通期見通し
アンリツは2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。第1四半期の売上収益は通期予想の約23.3%、営業利益は約21.4%に相当します。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 | 今回予想の前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益(百万円) | 140,000 | 140,000 | 117,462 | +19.2% |
| 営業利益(百万円) | 20,000 | 20,000 | 14,828 | +34.9% |
| 親会社帰属当期利益(百万円) | 15,000 | 15,000 | 11,677 | +28.4% |
会社は、データセンター関連を含む通信計測事業の伸長などを見込み、売上収益1400億円、営業利益200億円を計画しています。前回公表した予想から変更はなく、為替の想定レートは1米ドル=150円です。中東情勢については、第2四半期までに把握できる影響を織り込む一方、第3四半期以降は事業に重大な影響が及ばない前提で予想を策定しています。
財務状況と資本政策
資産は前期末から増加し、自己資本比率にあたる親会社所有者帰属持分比率は高水準を保ちました。営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローはいずれも前年同期を上回り、現金及び現金同等物も前期末から増えています。
| 項目 | 2027年3月期第1四半期末・実績 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産 | 175,758百万円 | 前期末比+2,500百万円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 75.8% | 前期末76.6% |
| 営業キャッシュフロー | 6,510百万円 | 前年同期4,332百万円 |
| フリーキャッシュフロー | 5,073百万円 | 前年同期3,474百万円 |
| 現金及び現金同等物 | 50,941百万円 | 前期末比+1,626百万円 |
年間配当予想は1株50円で、前期実績と同額です。中間配当を25円、期末配当を25円とする計画で、前期の中間20円、期末30円から配分を変更しています。第1四半期の自己株式取得による支出は実質的になく、財務活動によるキャッシュフローの主な支出は配当金の支払いでした。
営業キャッシュフローの増加には、税引前利益の計上が寄与しました。一方、棚卸資産は前期末から25億8300万円増加しており、受注拡大に伴う運転資金の動きにも目配りが必要です。有利子負債は72億8800万円、デット・エクイティ・レシオは0.05で、会社は低い水準を維持しています。
研究開発・成長投資
成長分野への投資を継続する方針です。第1四半期の研究開発費は25億6300万円で、前年同期の21億2300万円から20.7%増となりました。
- 年間研究開発費: 110億円を計画し、前期実績の101億7900万円から8.1%増を見込みます。
- 年間設備投資額: 110億円を計画し、前期実績の57億6600万円から90.8%増を見込みます。
- 技術開発の方向: 800GEや1.6TEに対応する光通信の測定需要に加え、PCIe Gen6・Gen7、Wi-Fi 7、5G・6G、衛星通信の開発需要を見据えています。
データセンターの高速・大容量化や次世代通信規格への対応は、通信計測事業の中長期的な商機につながります。設備投資の大幅な増加計画と研究開発費の拡大は、足元の需要回復を将来の製品・サービスにつなげる姿勢を示しています。
リスクと課題
会社は、外部環境や需要の変化によって実際の業績が予想と異なる可能性を示しています。とくに、通期計画に織り込む中東情勢の前提や、受注を売上に結び付ける進捗が今後の確認点です。
- 中東情勢: 第3四半期以降に事業へ重大な影響が及ばない前提で通期予想を策定しています。情勢が変化すれば、需要や供給、業績見通しに影響する可能性があります。
- 通信計測需要の変動: データセンター投資や顧客の設備投資が想定どおり続くかが焦点です。受注残の売上化の時期によって、四半期ごとの業績は変動し得ます。
- EV・電池向け投資の先延ばし: 国内では顧客の投資に延伸がみられ、環境計測事業の試験装置需要には不透明さが残ります。
- 競争・為替: 競争激化による価格下落圧力や為替変動は、製品の採算や海外売上に影響し得ます。会社の業績予想は米ドル150円を前提としています。
受注高の急増は先行きの支えとなる一方、受注残がいつ売上・利益に転換するかは別の論点です。中東情勢やEV関連投資の動向を含め、需要の持続性と通期計画への進捗を継続して確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/29)
3,438円
最新終値(2026/10/23)
2,717.5円-21.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#アンリツ#決算#決算分析#四半期決算#通信計測#データセンター#生成AI#受注高#配当
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コメント
今回の決算は、データセンター向け通信計測需要の回復が、受注だけでなく売上と利益にも表れた点が評価材料です。受注残の大幅な増加も、今後の売上を支える余地を示しています。
ただし、環境計測の急伸にはDEWETRON GmbHの連結寄与が含まれ、EV・電池向け試験装置の需要そのものが一様に回復したわけではありません。通期予想は据え置かれたため、次の四半期以降に受注を売上へ転換できるか、中東情勢や顧客投資の変化を踏まえて見極めたい決算です。
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