コスモ、2027年3月期第1四半期決算、営業利益1,269億円で大幅増益

コスモ(コスモエネルギーホールディングス)の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比17.4%増の7,616億円、営業利益が1,269億円と前年同期の79億円から急拡大し、赤字セグメントが一掃され全セグメント黒字となった。原油価格の上昇や石油化学市況の改善が業績を大きく押し上げ、純利益は840億円と黒字転換した。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,616億円 | +17.4% | 2.9兆円 | 27% |
| 営業利益 | 1,269億円 | — | 1,020億円 | 124% |
| 純利益 | 840億円 | — | 440億円 | 191% |
| 営業利益率 | 16.7% | |||
業績のポイント
2027年3月期第1四半期の売上高は前年同期比17.4%増の7,615億92百万円、営業利益は同14.9倍の1,269億15百万円、経常利益は1,330億43百万円と、全利益項目で大幅な増加を達成した。前年同期は石油事業を中心にセグメント損失を計上していたが、当期は原油価格の上昇や石油化学製品市況の回復が収益を押し上げ、全主要セグメントが黒字化した。最終利益は親会社株主に帰属する四半期純利益で840億6百万円と、前年同期の20億25百万円の赤字から大幅な黒字転換を遂げている。
売上総利益は1,715億73百万円と前年同期の525億19百万円から3.3倍に拡大し、粗利率も8.1%から22.5%へ急改善した。これは主に石油事業の在庫評価益の増加や利幅改善によるものである。一方で販管費は446億57百万円とほぼ横ばいで、増収効果がそのまま利益に反映された。
また、会計上の変更として、連結子会社の丸善石油化学と京葉エチレンがエチレン製造装置の統廃合に伴い固定資産の耐用年数を見直し、営業利益が9億16百万円押し上げられている。この特殊要因を除いても実力ベースの収益力は大幅に向上していると判断できる。
セグメント別動向
全セグメントが黒字を確保し、特に中核の石油事業が劇的な回復を遂げた。各セグメントの外部顧客向け売上高とセグメント利益は以下の通り。
| セグメント | 売上高 (百万円) | セグメント利益 (百万円) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 石油事業 | 688,581 | 117,950 | 17.1% |
| 石油化学事業 | 93,892 | 7,192 | 7.7% |
| 石油開発事業 | 16,073 | 7,610 | 47.3% |
| 再生可能エネルギー事業 | 3,858 | 281 | 7.3% |
| その他 | 19,478 | 1,250 | 6.4% |
石油事業は、原油価格の上昇に加え、前期に計上した在庫評価損の反動や石油製品マージンの改善により、売上高が6,886億円(前年同期比19.6%増)、セグメント利益は1,180億円と前年同期の65億円の損失から一転して大きな稼ぎ頭となった。国内燃料油販売は堅調で、輸出環境も改善した。
石油化学事業は、ナフサ価格上昇の価格転嫁と需要回復により、売上高939億円(同13.8%増)、セグメント利益72億円を確保した。前年は設備トラブルや市況低迷で29億円の赤字だったが、エチレンプラントの稼働率改善とプロダクトミックスの適正化が奏功した。
石油開発事業は、アラブ首長国連邦(UAE)や東南アジアでの原油生産量減少や販売数量減により売上高は161億円(同45.8%減)と縮小したが、コスト削減と持ち分法投資利益の増加でセグメント利益は76億円と前年比1.4%減にとどまり、依然として高収益を維持している。
再生可能エネルギー事業は、あぶくま南風力発電所の運転開始などにより発電量が増加し、売上高39億円(同14.7%増)、利益2億81百万円と黒字幅を拡大した。規模はまだ小さいが、成長ドライバーとして期待される。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 石油事業 | 6,886億円 | 87% | 1,180億円 | 17.1% |
| 石油化学事業 | 939億円 | 11% | 72億円 | 7.7% |
| 石油開発事業 | 161億円 | 1% | 76億円 | 47.3% |
| 再生可能エネルギー事業 | 39億円 | 1% | 3億円 | 7.3% |
| その他 | 195億円 | 1% | 13億円 | 6.4% |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は2兆5,515億円と前期末比3,549億円増加した。これは主に原油価格上昇による棚卸資産の増加(商品・製品が2,658億円、原材料・貯蔵品が4,637億円)や売上債権の拡大による流動資産の増加が要因だ。
有利子負債は短期借入金が2,270億円、CPが810億円、社債528億円、長期借入金1,905億円と、総額で5,513億円程度。自己資本比率は26.5%と前期末の27.6%からやや低下したが、純資産は8,100億円と安定した財務基盤を維持している。
配当予想は中間75円、期末90円の年間165円で、前期実績(株式分割調整後換算で実質年165円相当)と同水準を維持する。自社株買いや増配の発表はないが、好業績を背景に今後の還元拡充が期待される。
なお、第1四半期の連結キャッシュフロー計算書は作成されていないが、減価償却費は141億5百万円で、設備投資は継続的に行われているとみられる。
リスクと課題
決算短信で明示的に言及されたリスク要因は少ないが、業績予想に関する注意書きとして、原油価格や為替、市況変動の影響を受ける可能性が指摘されている。具体的なリスクと課題は以下の通り。
- 原油価格の変動: 石油事業の利益は原油在庫の評価損益や製品マージンに直結し、今後の原油価格下落は業績下振れ要因となる。
- 石油化学市況の不透明感: 中国経済の減速や新興国需要の停滞が続けば、製品価格が再び下落するリスクがある。
- 再生可能エネルギー事業の収益化: 設備投資負担が大きく、計画通りの発電量確保や売電価格の維持が課題。
- 脱炭素化への構造転換: 長期的には石油需要減少に備えた事業ポートフォリオ転換の成否が問われる。
これらのリスクが顕在化した場合、通期予想(営業利益1,020億円)に対して変動が生じる可能性がある。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年5月12日公表の数値から修正なく据え置かれた。売上高2兆8,700億円(前期比7.2%増)、営業利益1,020億円(同29.6%減)、経常利益1,150億円(同22.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益440億円(同40.6%減)と、大幅な減益を見込む慎重な計画だ。
第1四半期だけで営業利益が1,269億円と通期予想の124%に達しているが、会社側は「一時的な在庫評価益や市況改善の反動がある」とみて、予想を据え置いたと推測される。原油価格の動向次第では、今後上方修正の余地が大きいとの見方もある。
| 項目 | 2027年3月期 通期予想 | 2026年3月期 実績 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,870,000百万円 | 2,677,000百万円 | +7.2% |
| 営業利益 | 102,000百万円 | 144,800百万円 | -29.6% |
| 経常利益 | 115,000百万円 | 149,100百万円 | -22.9% |
| 当期純利益 | 44,000百万円 | 74,100百万円 | -40.6% |
(注)2026年3月期実績値は予想増減率から逆算した概算値。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
3,811円
最新終値(2026/10/23)
4,255円+11.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#コスモ#決算#四半期決算#決算分析#増収増益#石油事業#石油化学#再生可能エネルギー#原油価格#セグメント別#黒字転換
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
コスモの第1四半期決算は、原油価格上昇の追い風を受けて過去最大級の利益を叩き出した。前期に石油事業が在庫評価損で赤字に沈んだ反動も大きく、持続性には注意が必要だが、全セグメント黒字化はポジティブなサインだ。
通期予想は保守的で、1,269億円の営業利益に対し予想は1,020億円と、すでに第1四半期のみで超過している。これは意図的な下方バイアスともとれ、今後の上方修正がほぼ確実視される。一方で、原油価格下落時の収益脆弱性は依然として課題であり、再生可能エネルギー事業の育成加速が急務。
投資家としては、配当利回りが約3%と安定しており、好業績が続けば増配の期待も高まる。石油化学事業の構造改革やUAE沖合油田開発の進捗にも注目したい。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/cosmo-energy/report/2027-Q1
関連記事
石油元売りの最新記事
- 決算解説ENEOS2026年3月期 通期ENEOSホールディングス・2026年3月期通期決算、営業利益339%増の4,666億円、自社株買いも発表

- 決算解説出光興産2027年3月期 第1四半期出光興産、2027年3月期第1四半期決算、営業利益3075億円と大幅黒字転換

- 決算解説三愛オブリ2027年3月期 第1四半期三愛オブリ、2027年3月期第1四半期決算、営業利益3.4倍で石油事業が黒字転換

- 決算解説INPEX2026年12月期 第2四半期(中間期)INPEX、2026年12月期第2四半期決算、親会社に帰属する中間利益17.7%増で通期予想を上方修正

- 自己株式消却ENEOS9月28日ENEOSホールディングスが3963万株を消却、発行済株式総数が1.5%減少し資本効率強化へ向けて decisive な行動へ

- 重要契約の獲得INPEX6月26日INPEX、アブダビ油田追加開発でEPC受注 「Vision 2035」達成へ長期成長を加速






