業界ダイジェスト
クラフティアホールディングス株式会社 の会社詳細
クラフティアホールディングス株式会社
クラフティア
2026年3月期 通期

クラフティア・2026年3月期通期、純利益38%増の400億円——価格転嫁が進展、大幅増配220円を決定

1959
クラフティア
増収増益
大幅増配
建設業界
データセンター関連
価格転嫁
自己資本比率
中期経営計画
累進配当
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

4,761億円

+0.5%

通期予想

5,000億円

進捗率95%

営業利益

546億円

+31.9%

通期予想

555億円

進捗率98%

純利益

401億円

+38.7%

通期予想

405億円

進捗率99%

営業利益率

11.5%

設備工事大手の株式会社クラフティアが発表した2026年3月期通期決算は、売上高が前期比 0.5% 増の 4,761億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同 38.7% 増の 400億円 となり、大幅な増益を達成しました。都市再開発やデータセンター建設といった旺盛な需要を背景に、適切な価格転嫁と資材コストの管理が利益を押し上げました。これを受け、年間配当は前期から80円増となる 220円 を決定し、積極的な株主還元姿勢を鮮明にしています。

トーク

クラフティア 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

2026年3月期の業績は、売上高が 476,123百万円(前年比 +0.5%)、営業利益は 54,600百万円(同 +31.9%)となりました。売上高は微増にとどまったものの、利益面では経常利益が 58,157百万円(同 +30.9%)、純利益が 40,053百万円(同 +38.7%)と、いずれも3割を超える大幅な伸びを記録しました。

増益の主要因は、建設業界における底堅い投資需要を背景とした「工事利益率の向上」です。特に首都圏や福岡での大規模再開発、さらには生成AI普及に伴うデータセンター関連の工事が寄与しました。資材価格や労務費の上昇が続く厳しい環境下でしたが、受注時からの価格交渉や工程管理の徹底により、営業利益率は前期の 8.7% から 11.5% へと大きく改善しました。中期経営計画「Challenge2025」の初年度として、質的な成長を証明する決算となりました。

指標2025年3月期実績2026年3月期実績前年比営業利益率
売上高473,954百万円476,123百万円+0.5%-
営業利益41,388百万円54,600百万円+31.9%11.5%
経常利益44,434百万円58,157百万円+30.9%-
純利益28,883百万円40,053百万円+38.7%-

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力の設備工事業が牽引役となり、全社利益を押し上げました。各セグメントの詳細は以下の通りです。

設備工事業
売上高は 457,524百万円(前期比 0.7% 増)、セグメント利益は 51,219百万円(同 34.8% 増)と大幅な増益を達成しました。受注面では、関西圏の統合型リゾート(IR)案件やデータセンター関連が好調で、工事受注高は 479,014百万円(同 6.0% 増)と過去最高水準を維持しています。特に物価上昇分を適切に工事請負代金へ転嫁する「価格転嫁」が進んだことが、利益率を押し上げる最大の要因となりました。

その他(材料販売・不動産・発電等)
売上高は 18,598百万円(前期比 5.0% 減)となった一方、セグメント利益は 3,292百万円(同 8.3% 増)を確保しました。材料および機器の販売事業で売上高が減少したものの、再生可能エネルギー発電事業や不動産事業などの高収益領域が下支えし、セグメント全体としての収益性は向上しています。

セグメント名売上高前期比セグメント利益前期比利益率
設備工事業457,524百万円+0.7%51,219百万円+34.8%11.2%
その他18,598百万円△5.0%3,292百万円+8.3%17.7%
調整額--89百万円--
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
設備工事業4,575億円96%512億円11.2%
その他186億円4%33億円17.7%

財務状況と資本政策

当期末の総資産は 523,268百万円 となり、前期末から 34,796百万円 増加しました。これは戦略投資としての投資有価証券の取得や、完成工事未収入金の増加が主な要因です。一方、自己資本比率は前期末の 63.5% から 66.4% へと上昇し、極めて強固な財務基盤を維持しています。

投資家にとって最大のトピックは、大幅な増配の実施です。2026年3月期の年間配当は、前回予想から上積みし、前期の140円から80円増となる 220円(中間90円、期末130円)としました。配当性向は 38.9% に達し、中期経営計画で掲げた「配当性向40%目安・累進配当」の方針を忠実に実行しています。キャッシュフロー面では、営業CFが 12,332百万円 の黒字となった一方、戦略投資により投資CFが 18,143百万円 の赤字となりましたが、手元現預金は 505億円 を確保しており、今後の成長投資に向けた余力も十分です。

リスクと課題

好決算の一方で、経営陣は外部環境の不透明感について強い警戒感を示しています。特に以下のリスク要因が挙げられています。

  • 米国の通商政策と地政学リスク: 米国による相互関税政策や中東情勢の緊迫化により、資材価格の再高騰やサプライチェーンの混乱が生じるリスクがあります。
  • 労働需給の逼迫: 建設業界全体で進む人手不足と労働コストの上昇が、今後の工事進捗や利益率に影響を及ぼす可能性があります。同社は「人的資本経営」の強化を掲げ、人材確保に注力しています。
  • 大型プロジェクトの進捗: 九州で進める「宇久島メガソーラー事業」について、EPC工事の完成時期が2026年度中から遅れる見通しであることが示されました。地盤調査の結果やFIP制度への転換など、事業性向上に向けたスキームの再検討が必要な状況です。

通期見通し

2027年3月期(次期)の業績予想については、売上高 5,000億円(前期比 +5.0%)、純利益 405億円(同 +1.1%)と、増収増益の維持を見込んでいます。需要自体は引き続き堅調ですが、人手不足やインフレによるコスト上昇圧力が継続することを想定し、保守的な利益予想となっています。配当については、次期も年間 220円 を維持する計画です。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想前期比
売上高476,123百万円500,000百万円+5.0%
営業利益54,600百万円55,500百万円+1.6%
経常利益58,157百万円59,000百万円+1.4%
純利益40,053百万円40,500百万円+1.1%
AIアナリストの視点

今回の決算で特筆すべきは、売上の伸び(+0.5%)を遥かに上回る利益の伸び(+30%超)を実現した「稼ぐ力の劇的な改善」です。かつての建設業界にありがちな「売上至上主義」から脱却し、採算重視の受注戦略が実を結んだ形といえます。

  • 営業利益率 11.5% という数字は、日本の建設・設備工事業界の中でもトップクラスの水準です。
  • 株主還元についても、年間140円から220円への一気の大幅増配はサプライズであり、投資家からの評価を強く意識した経営判断が伺えます。
  • 注目すべきは「宇久島メガソーラー事業」の遅延です。大型プロジェクトだけに、今後の収益改善スキームの見直しが次期の焦点となるでしょう。就活生にとっては、安定した財務基盤と高い利益率を誇る「優良企業」としての側面が際立つ内容となっています。