長谷川香料、2026年9月期第3四半期決算、増収増益で米国事業が黒字転換

長谷川香料の2026年9月期第3四半期決算を分析すると、売上高と営業利益がそろって前年同期を上回る増収増益となりました。食品部門の伸長やベトナム子会社の連結開始、円安が売上と営業利益を押し上げ、純利益は投資有価証券の売却益も加わり17.7%増です。米国事業が赤字から黒字に転じた一方、通期予想は据え置きました。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 594億円 | +8.8% | 765億円 | 78% |
| 営業利益 | 78億円 | +8.1% | 94億円 | 83% |
| 純利益 | 63億円 | +17.7% | 73億円 | 86% |
| 営業利益率 | 13.2% | |||
この決算のポイント
- 1食品部門は米国子会社やベトナム子会社の寄与で7.9%増、売上高は5万2,587百万円。
- 2米国セグメントは売上高が18.0%増、前年の3億72百万円の損失から黒字に転換。
- 3投資有価証券売却益6億8百万円を計上し、四半期純利益は前年同期比17.7%増。
- 4年間配当予想は100円で、前期実績の74円から26円増配。予想は期初公表から変更なし。
- 5ベトナムの香料会社を連結子会社化。買収費用や統合後の成長が今後の注目点。
業績のポイント
長谷川香料(長谷川香料株式会社)の2026年9月期第3四半期累計は、売上高が前年同期比8.8%増、営業利益が8.1%増、親会社株主に帰属する四半期純利益が17.7%増でした。営業利益率は13.2%で、前年同期の13.3%からほぼ横ばいです。
- 売上の伸長: 食品部門は米国子会社と当社単体の増収に加え、ベトナム子会社の連結開始が寄与しました。
- 利益の押し上げ: 売上増と円安による為替効果が、人件費やベトナム子会社買収に伴う一過性費用の増加を補いました。
- 純利益の増加: 投資有価証券売却益608百万円を特別利益に計上しました。
営業利益は591百万円増、経常利益は675百万円増となり、本業の増収が利益の伸びを支えています。一方、純利益の伸びには有価証券売却益も含まれるため、来期以降の利益を見る際は、本業の収益力と一時的な特別利益を分けて捉える必要があります。香料業界では国内市場の成熟化や競争激化が続き、同社は品質管理・安全性を重視しながら、高付加価値製品の開発を進めています。売上増と円安が本業利益を押し上げ
セグメント別動向
売上は日本、アジア、米国の全地域で増加しました。中でも米国は売上の伸びが最も大きく、前年の赤字から黒字へ転換しています。
| セグメント | 売上高の前年比 | セグメント利益の前年比・状況 |
|---|---|---|
| 日本 | +4.3% | +4.0% |
| アジア | +9.0% | -0.6% |
| 米国 | +18.0% | 赤字から黒字へ転換 |
日本は売上高33,023百万円、セグメント利益3,843百万円でした。当社単体の売上増加が寄与し、利益も増加しました。国内市場は成熟化と競争激化が続くため、品質や技術力を生かした高付加価値製品の提案が収益を保つうえで重要です。
アジアは売上高14,812百万円、セグメント利益3,814百万円でした。ベトナム子会社の連結開始などで売上は伸びた一方、利益はわずかに減少しました。売上の拡大を利益成長につなげられるかが焦点です。
米国は売上高13,829百万円、セグメント利益113百万円となり、前年同期の372百万円の損失から黒字化しました。現地通貨ベースの売上も13.1%増で、円安による換算効果だけでなく、現地での販売増も売上を支えています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 310億円 | 52% | 38億円 | 12.4% |
| アジア | 147億円 | 25% | 38億円 | 26.0% |
| 米国 | 137億円 | 23% | 1億円 | 0.8% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前期末比9.8%増の161,644百万円、自己資本比率は83.4%でした。年間配当予想は前期実績から増額する一方、業績予想に変更はありません。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 161,644百万円 | 前期末比+9.8% |
| 自己資本比率 | 83.4% | 前期末83.5% |
| 中間配当 | 50円 | 前期中間37円 |
| 期末配当予想 | 50円 | 前期末37円 |
| 年間配当予想 | 100円 | 前期実績74円、+35.1% |
資産の増加には、建設仮勘定の増加やベトナム子会社の取得に伴うのれんの増加が含まれます。純資産は為替換算調整勘定の増加などを受け、134,998百万円となりました。自己株買いの実施は短信に記載がありません。
四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの実績は確認できません。設備投資や買収を進める中でも自己資本比率は高水準ですが、今後は投資の回収と利益成長をあわせて見る必要があります。
通期見通し
通期予想は2025年11月7日の公表値から据え置きました。第3四半期累計の進捗率は、売上高が77.6%、営業利益が83.1%、純利益が86.5%です。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 76,500百万円 | 76,500百万円 | 本短信に記載なし |
| 営業利益 | 9,430百万円 | 9,430百万円 | 本短信に記載なし |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7,320百万円 | 7,320百万円 | 本短信に記載なし |
今回予想の前期比は、売上高+4.1%、営業利益+10.7%、純利益+5.8%です。年間配当も100円の予想を維持しています。
累計の利益進捗は売上高を上回っていますが、会社は予想を引き上げていません。人件費や買収に伴う一時費用、為替変動などを踏まえ、残る第4四半期の動向を見極める姿勢とみられます。前期実績の金額はこの短信の記載範囲にないため、比較値は記載していません。
戦略トピック
長谷川香料はベトナムのHoang Anh Flavors and Food Ingredients Joint Stock Companyの全株式を取得し、第1四半期から連結に加えました。第3四半期累計では食品部門の増収要因の一つとなり、アジア事業の拡大に向けた足場が広がっています。
- 連結開始: 新たに1社を連結し、ベトナム子会社の売上が第2四半期から加わりました。
- 取得後の会計処理: 取得原価の配分は完了しておらず、短信では暫定的な会計処理としています。
- 買収費用: 取得に伴う一過性費用が販売費及び一般管理費を押し上げました。
買収は売上規模の拡大に寄与する一方、短期的には費用負担やのれんの償却が利益に影響します。今後は現地での販売拡大に加え、既存のアジア拠点との連携や、買収費用を吸収する収益力を築けるかが評価のポイントです。
リスクと課題
会社は、原材料・資源エネルギー価格や為替の変動などを含め、先行きの不透明さが続くと説明しています。国内市場の成熟化や品質保証への要求増加も、事業運営上の課題です。
- 原材料・エネルギー価格: 中東情勢の緊迫化などを背景とする価格上昇が続けば、製造コストを通じて利益を圧迫する可能性があります。
- 為替変動: 円安は海外売上の円換算額を押し上げましたが、為替が反転すれば業績や海外資産の換算額に逆風となる場合があります。
- 国内市場と競争: 成熟市場で同業者との競争が激しく、価格競争や顧客ニーズの変化が売上・採算に影響するおそれがあります。
- 買収後の統合: ベトナム子会社の収益化や統合が計画どおり進まない場合、買収費用やのれんが負担となる可能性があります。
- 品質・安全性への要求: 品質保証の基準が高まる中、対応が不十分な場合は顧客の信頼や販売機会を損なうリスクがあります。
会社は品質管理と安全性の確保を優先し、研究・技術開発力の向上に取り組んでいます。外部コストや為替の影響だけでなく、買収した事業を安定して成長させられるかも、次の決算で確認したい点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/3)
3,295円
最新終値(2026/10/23)
3,395円+3.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#長谷川香料#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#香料業界#海外展開#ベトナム買収#配当増額
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コメント
米国事業の黒字転換と、売上・営業利益がそろって伸びた点は前向きに評価できます。とくに米国は現地通貨ベースでも売上が増えており、為替換算だけに頼らない成長が見えます。
一方、純利益の伸びには有価証券売却益が含まれ、アジアでは増収でも利益がわずかに減りました。買収後の成長を継続的な利益に変えられるかが、今後の評価を左右しそうです。
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掲載企業

長谷川香料株式会社
東証 4958
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