HIS、2026年10月期第3四半期決算、増収も営業減益と特別損失で純損失
HISの2026年10月期第3四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比4.9%増の2,793億円となった一方、営業利益は18.1%減の51億円、親会社株主に帰属する純損益は49億円の赤字でした。旅行需要を取り込み増収を確保しましたが、旅行事業の利益減少に加え、グアムの土地購入に伴うリース解約損を特別損失に計上。通期予想は据え置き、増収でも最終赤字の内容です。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,793億円 | +4.9% | 3,950億円 | 71% |
| 営業利益 | 51億円 | -18.1% | 120億円 | 43% |
| 純利益 | -4,990百万円 | — | -1,000百万円 | — |
| 営業利益率 | 1.8% | |||
この決算のポイント
- 1旅行事業の売上高は前年同期比4.3%増の2,284億円、営業利益は40.1%減の28億円
- 2ホテル事業は売上高9.5%増、営業利益14.6%増で、国内ホテルとトルコの改善が寄与
- 3グアムの土地購入に伴うリース解約損59億円を特別損失に計上し、純損失49億円
- 4通期予想は据え置き、売上高3,950億円、営業利益120億円、純損失10億円を見込む
- 5年間配当予想は25円で前期比5円増、自己資本比率は前期末から1.1ポイント低下
業績のポイント
HIS(エイチ・アイ・エス)の2026年10月期第3四半期累計は、売上高が前年同期比4.9%増の2,793億円、営業利益が18.1%減の51億円でした。親会社株主に帰属する純損益は、前年同期の17億円の黒字から49億円の赤字に転じました。営業利益率は前年同期の約2.4%から1.8%に低下しています。
- 売上総利益: 前年同期から12億円増えた一方、販売費及び一般管理費は23億円増加し、営業利益を押し下げました。
- 特別損失: グアムの土地購入に伴う既存賃貸借契約のリース解約損59億円を計上。前年同期に同種の損失はありませんでした。
- 経常利益: 前年同期比23.8%減の46億円。補助金収入の減少なども影響しました。
旅行需要を背景に増収を確保したものの、旅行事業の採算悪化と販管費の増加で本業の利益は減少しました。最終赤字にはグアムの土地取得に伴う一時的な損失が大きく影響しており、営業段階の減益と特別損失の影響を分けて見る必要があります。
セグメント別動向
旅行事業は増収ながら営業減益、ホテル事業と九州産交グループは増収増益でした。セグメント利益の前年同期比では、旅行事業の落ち込みと、その他の各事業の改善に差が出ています。
| セグメント | 売上高の前年同期比 | 営業利益の前年同期比 |
|---|---|---|
| 旅行事業 | +4.3% | -40.1% |
| ホテル事業 | +9.5% | +14.6% |
| 九州産交グループ | +6.4% | +18.3% |
| その他 | +4.1% | +28.0% |
旅行事業は営業利益28億円で前年同期を下回りました。円安や燃油サーチャージの高騰、中東情勢による一部ツアーの中止・予約鈍化が重荷となる一方、韓国、ベトナム、豪州や国内旅行、訪日旅行が売上を支えました。法人向けでは官公庁・自治体案件の受注が堅調でした。
ホテル事業は営業利益34億円と増益でした。国内ホテルの堅調さに加え、前年上半期に開業準備費用などで損失を計上したトルコの改善が寄与しました。一方、中国からの訪日客減少や国内の価格競争、グアムの台風被害・施設補修費用が課題です。
九州産交グループは営業利益7億円でした。バス運賃改定や輸送人員の回復、貸切バスの稼働率向上に加え、熊本の観光需要を取り込みました。サクラマチ クマモトのイベントも集客を後押ししました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 旅行事業 | 2,277億円 | 82% | 28億円 | 1.2% |
| ホテル事業 | 203億円 | 7% | 34億円 | 16.8% |
| 九州産交グループ | 201億円 | 7% | 7億円 | 3.6% |
| その他 | 113億円 | 4% | 2億円 | 2.1% |
財務状況と資本政策
7月末の総資産は前期末比4.6%増の4,041億円、自己資本比率は13.3%で、前期末から1.1ポイント低下しました。第3四半期の連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の営業・投資・財務キャッシュ・フローは開示されていません。
| 項目 | 2026年7月末・予想 | 比較対象・変化 |
|---|---|---|
| 総資産 | 4,041億円 | 前期末比+177億円 |
| 純資産 | 660億円 | 前期末比-12億円 |
| 自己資本比率 | 13.3% | 前期末14.4% |
| 年間配当予想 | 25円 | 前期実績20円 |
| 中間配当 | 0円 | 前期実績10円 |
旅行前払金は前期末から93億円増え、旅行前受金も216億円増加しました。旅行予約に伴う資金の動きが総資産・負債の拡大に影響しています。年間配当予想は期初公表から変更がなく、前期実績より5円増の25円を予定しています。短信に自社株買いの発表はなく、純損失の計上と自己資本比率の低下を踏まえ、財務余力の回復も注目点です。
通期見通し
HISは2026年10月期の連結業績予想を据え置きました。第3四半期までの実績は売上高が通期予想の約70.7%、営業利益が約42.8%に相当しますが、純利益はすでに通期予想の赤字額を上回っています。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,950億円 | 3,950億円 | +5.9% |
| 営業利益 | 120億円 | 120億円 | +3.2% |
| 経常利益 | 115億円 | 115億円 | +1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | -10億円 | -10億円 | — |
会社は2026年6月12日に公表した予想から変更していません。旅行需要を取り込みながら、円安、燃油高、中東情勢の影響を受ける海外旅行の採算をどこまで改善できるかが焦点です。特別損失を含む第3四半期の純損失を踏まえると、通期の最終損益が会社計画に届くかも確認が必要です。
リスクと課題
旅行需要の回復が続く一方、外部環境の変化や旅行事業の利益率低下、財務面の制約が業績の振れにつながる可能性があります。会社は中東情勢や金融資本市場の変動など、不透明な環境への注意を挙げています。
- 為替・燃油価格: 円安基調や燃油サーチャージの高騰は海外旅行商品の価格を押し上げ、予約の鈍化や採算悪化につながるおそれがあります。
- 地政学リスク: 中東情勢の緊迫化は一部方面のツアー中止や需要減退、現地法人の運営に影響します。空域制限などによる旅行商品の供給面にも注意が必要です。
- 訪日需要の地域偏り: 訪日外客数は高水準でも、中国からの旅行者の減少や航空便の減便がホテル・旅行事業の売上を押し下げる可能性があります。
- 財務制限条項: 一部の借入金には純資産維持や経常損益に関する条件があります。自己資本比率の低下と利益の変動が続く場合、財務運営上の制約に注意が必要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/9/11)
1,172円
最新終値(2026/10/23)
1,059円-9.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#HIS#決算#決算分析#四半期決算#旅行会社#増収減益#訪日旅行#ホテル事業#円安影響
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
今回の決算は、旅行需要の回復が売上を押し上げても、利益に結びつくとは限らないことを示しています。旅行事業の減益に加え、販管費の増加も営業利益を圧迫しており、売上の伸びだけでは回復度合いを判断しにくい局面です。
ホテルと九州産交が増益を確保した点は、旅行以外の事業が収益を補う構図として前向きです。ただし、グアムのリース解約損という一時的な要因を除いても営業減益であり、海外旅行の採算改善と財務の安定が次の焦点になるでしょう。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/his/report/2026-Q3
関連記事
競合他社の最新記事
- 決算解説オリエンタルランド2027年3月期 第1四半期オリエンタルランド、2027年3月期第1四半期決算、営業利益23%増、通期予想は据え置き

- 決算解説共立メンテ2027年3月期 第1四半期共立メンテ、2027年3月期第1四半期決算、寮事業けん引で営業増益
- 決算解説リゾートトラスト2027年3月期 第1四半期リゾートトラスト、2027年3月期第1四半期決算、売上高16%増、営業利益78%増で第1四半期の過去最高を更新
- 決算解説ラウンドワン2027年3月期 第1四半期ラウンドワン、2027年3月期第1四半期決算、売上高18%増も純利益は1%減

- 投資・設備オリエンタルランド9月17日オリエンタルランド100億円新規ショー投資、収益構造の強化と就活生の注目点

- 個人情報漏洩お詫びリゾートトラスト10月9日リゾートトラストが個人情報漏洩を発表、会員・予約者約6万2千件分のデータが外部に流出
掲載企業
株式会社エイチ・アイ・エス
東証 9603
これが最新の決算解説です





