北陸電力、2027年3月期第1四半期決算、増収も燃調差などで減益

北陸電力の2027年3月期第1四半期決算は、営業収益が前年同期比7.0%増の1,990億円となった一方、営業利益は26.7%減の266億円、純利益は20.7%減の222億円と減益でした。総販売電力量は増えましたが、燃料費調整のタイムラグや七尾大田火力発電所2号機の停止が利益を押し下げました。売上増でも利益は減少し、通期予想は据え置かれています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,990億円 | +7.0% | 7,600億円 | 26% |
| 営業利益 | 266億円 | -26.7% | 400億円 | 66% |
| 純利益 | 222億円 | -20.7% | 250億円 | 89% |
| 営業利益率 | 13.4% | |||
この決算のポイント
- 1総販売電力量は前年同期比3.0%増の81億15百万kWh、卸販売の増加が寄与
- 2送配電事業のセグメント利益は調整力の調達費用増で70.1%減の21億円
- 3通期営業利益予想は400億円で、2026年3月期実績比54.3%減の見通し
- 4年間配当予想は25円で据え置き、中間・期末ともに1株12円50銭
業績のポイント
北陸電力株式会社(北陸電力)の第1四半期は、営業収益が前年同期比7.0%増の1,990億円、営業利益は26.7%減の266億円、親会社株主に帰属する純利益は20.7%減の222億円でした。増収ながら、電力販売の増加を利益に結び付けられず、燃料費要因などで減益となりました。
主な動きは次の通りです。
- 販売電力量: 総販売電力量は前年同期比3.0%増。卸販売が増えた一方、小売販売は気温の影響で1.9%減でした。
- 利益の下押し要因: 燃料費調整のタイムラグ差と、七尾大田火力発電所2号機の停止影響が利益を押し下げました。
- 利益指標: 経常利益は18.8%減の292億円。1株当たり四半期純利益は106円26銭で、前年同期の134円01銭から低下しました。
売上増の中心は総販売電力量の増加で、とりわけ卸販売の伸びが小売販売の減少を補いました。一方、電力会社の収益は販売量だけでなく、燃料価格と料金への反映時期、発電設備の稼働状況にも左右されます。今回の減益は、販売が伸びてもコストや供給設備の影響で利益が変動する電力事業の特徴を示しています。
セグメント別動向
セグメント利益は、発電・販売事業が減益、送配電事業も大幅減益となりました。その他事業は利益が増えましたが、両主力事業の落ち込みを補う規模には至っていません。
| セグメント | 売上高(百万円、内部取引含む) | 売上高前年比 | セグメント利益(百万円) | 利益前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 発電・販売事業 | 175,480 | +4.9% | 25,641 | -10.7% |
| 送配電事業 | 59,745 | +13.2% | 2,082 | -70.1% |
| その他 | 22,018 | -26.1% | 1,494 | +339.4% |
発電・販売事業は、総販売電力量の増加などで売上高が伸びましたが、燃料費調整のタイムラグ差や火力発電所の停止影響で利益は減りました。小売販売は気温要因で弱含んだ一方、卸電力取引所などへの販売増が売上を支えています。
送配電事業は、再生可能エネルギー電源の買い取りに伴う卸電力取引所での販売増などで売上高が増えました。一方、調整力の調達費用が膨らみ、利益は大きく減少しました。その他は、北陸電気工事が連結子会社から持分法適用会社に変わった影響で売上高が減ったものの、請負工事の受注増などで利益は増加しました。表の売上高にはセグメント間の取引を含むため、連結営業収益とは一致しません。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 発電・販売事業 | 1,626億円 | 82% | 256億円 | 14.6% |
| 送配電事業 | 229億円 | 12% | 21億円 | 3.5% |
| その他 | 136億円 | 7% | 15億円 | 6.8% |
通期見通し
北陸電力は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。営業収益は前期比3.4%減の7,600億円、営業利益は54.3%減の400億円、純利益は54.1%減の250億円を見込みます。
| 指標 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益(百万円) | 760,000 | -3.4% |
| 営業利益(百万円) | 40,000 | -54.3% |
| 経常利益(百万円) | 35,000 | -58.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 25,000 | -54.1% |
会社は2026年4月28日に公表した予想から変更していません。今回の第1四半期実績に対して通期予想を維持した形で、今後は燃料価格や為替、販売電力量、発電所の稼働状況が業績を左右します。会社の前提では為替レートを1ドル160円程度とし、前回予想の155円程度から円安方向に見直しています。原油・石炭・LNGの想定価格は前回予想から据え置きです。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比1.8%増の1兆8,744億円、自己資本比率は前期末の24.4%から25.1%へ上昇しました。配当予想は年間25円で変更がなく、自社株買いの発表もありません。
| 項目 | 2026年6月末・会社予想 | 比較 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 1,874,442 | 前期末比+1.8% |
| 自己資本比率 | 25.1% | 前期末比+0.7ポイント |
| 中間配当(1株) | 12円50銭 | 前期実績10円 |
| 期末配当(1株、予想) | 12円50銭 | 前期実績15円 |
| 年間配当(1株、予想) | 25円 | 前期実績25円 |
固定資産仮勘定の増加などで資産が膨らみ、有利子負債の増加などから負債も前期末より増えました。一方、純資産は四半期利益の計上などで増加し、自己資本比率も改善しています。短信では四半期キャッシュ・フロー計算書の詳細数値は確認できないため、営業キャッシュフローなどの評価はできません。会社は一定程度回復した自己資本比率を踏まえ、株主還元と財務基盤の強化を掲げています。
リスクと課題
利益予想の達成には、燃料・為替など外部環境への対応と、発電・送配電設備の安定運用が焦点です。会社が公表した業績見通しも、前提条件の変化によって実績が大きく異なる可能性があります。
- 燃料費調整のタイムラグ: 燃料価格の変化が電気料金に反映されるまでの時間差が利益を変動させます。今回もタイムラグ差が減益要因となりました。
- 火力発電所の稼働: 七尾大田火力発電所2号機の停止が当期利益を押し下げました。設備停止が長引けば、供給力や調達コストに影響する可能性があります。
- 原子力発電所の運転停止: 志賀原子力発電所1、2号機は引き続き運転できていません。代替電源や電力調達の状況が、供給力と収益に関わります。
- 水力発電の出水状況: 出水率は平年を下回る91.8%でした。水力発電の発電量が伸びない場合、電源構成や発電コストに影響します。
- 為替・燃料価格: 通期予想の為替前提は1ドル160円程度です。円安や原油・石炭・LNG価格の上昇が想定を超えれば、収支を圧迫するおそれがあります。
- 調整力の調達費用: 送配電事業では調達費用の増加が利益を大きく減らしました。費用の変動と適切な収益確保が課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/28)
955.2円
最新終値(2026/10/23)
1,063.5円+11.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#北陸電力#決算#決算分析#四半期決算#電力会社#燃料費調整#送配電事業#志賀原子力発電所
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コメント
売上高が伸びても利益が大きく減った点から、北陸電力の短期業績は販売量よりも燃料費調整のタイムラグや発電設備の稼働に左右されていると見られます。
通期予想は据え置かれましたが、年間利益予想は前期実績を大きく下回ります。次の四半期では、火力発電所の稼働状況に加え、円安や燃料価格の変化が会社想定の範囲に収まるかを確認したいところです。
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