東北電力、2027年3月期第1四半期決算、売上高46.7%増も営業利益6.6%減

東北電力の2027年3月期第1四半期決算・業績は、売上高が前年同期比46.7%増の7,853億円と大幅増収でしたが、女川原子力発電所2号機の稼働減と燃料費調整タイムラグにより、営業利益は6.6%減の600億円となりました。増収減益に終わった形です。一方、域外取引の拡大や需給調整費用の減少が収益を下支えしました。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,853億円 | +46.7% |
| 営業利益 | 601億円 | -6.6% |
| 純利益 | 361億円 | -4.2% |
| 営業利益率 | 7.7% |
業績のポイント
東北電力(東北電力株式会社)は2027年3月期第1四半期決算で、売上高が前年同期比46.7%増の7,853億円、営業利益が同6.6%減の600億円、経常利益が同5.4%減の544億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同4.2%減の361億円となりました。大幅増収ながら減益という構図です。
増収の主因は、間接オークションに伴う自己約定を含む域外取引の増加です。売上高に含まれる自己約定分は1,551億円と前年同期比1,473億円増加しましたが、費用も同額計上されるため収支への影響はありません。実質的な事業収益の改善は、市場や販売環境の変化に伴う収支改善や需給調整費用の減少などによるものです。
一方、営業利益が減益となった最大の要因は、女川原子力発電所第2号機の定期事業者検査等に伴う稼働減による収支悪化と、燃料費調整制度のタイムラグ影響です。電力先渡取引等の時価評価影響が利益を押し上げましたが、減益を補いきれませんでした。
セグメント別動向
セグメント別(セグメント間内部取引消去前)には、発電・販売事業が売上高6,653億円(前年同期比46.7%増)、経常利益623億円(同21.9%減)となりました。小売販売電力量は新規顧客獲得や電力需要増により前年同期比8.7%増の144億kWh、卸売は3.3%減の45億kWhで、全体では5.6%増の188億kWhとなりました。しかし、女川2号機の稼働減が利益を大きく圧迫しました。
送配電事業は、売上高2,271億円(同15.7%増)、経常損失85億円(前年同期は112億円の損失)と赤字幅が縮小しました。再生可能エネルギー電気卸供給の増加が増収に寄与し、需給調整費用の減少が損益改善につながりました。
その他事業は、総合設備エンジニアリング事業における原子力関連工事の増加などから、売上高395億円(同19.4%増)、経常利益17億円(同165.5%増)と好調でした。
| セグメント | 売上高(億円) | 前年同期比 | 経常利益(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 発電・販売 | 6,653 | 46.7%増 | 623 | 21.9%減 |
| 送配電 | 2,271 | 15.7%増 | △85 | 赤字縮小 |
| その他 | 395 | 19.4%増 | 17 | 165.5%増 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 発電・販売事業 | 6,399億円 | 82% | 623億円 | 9.7% |
| 送配電事業 | 1,340億円 | 17% | -8,520百万円 | -6.4% |
| その他 | 114億円 | 2% | 17億円 | 14.9% |
財務状況と資本政策
総資産は前連結会計年度末比0.9%減の5兆6,817億円となりました。現金及び預金が減少したことなどが主因です。負債は同1.7%減の4兆5,202億円、純資産は四半期純利益の計上などにより同2.3%増の1兆1,615億円となり、自己資本比率は20.0%と0.6ポイント改善しました。
配当は中間配当20円、期末配当20円の年間40円を予定しており、直近に公表された配当予想からの修正はありません。自社株買い等の発表はありません。四半期キャッシュフロー計算書は作成していませんが、減価償却費は前年同期比で増加し586億円となりました。
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、現時点で未定としています。中東地域での戦闘再開など地政学的リスクの再燃により燃料価格等の動向が不透明なことに加え、東北電力ネットワークにおける「託送供給等に係る収入の見通し」の期中調整申請に伴う託送料金の改定や需給調整関連収支の動向など、業績に影響を及ぼす複数の不確定要素が存在するためです。合理的な算定が可能になった時点で、速やかに公表するとしています。
リスクと課題
東北電力は以下のようなリスクと課題に直面しています。
- 燃料価格の変動:地政学的リスクの高まりにより原油・LNG・石炭価格が不安定に推移する可能性がある。
- 燃料費調整制度のタイムラグ:燃料価格変動が料金反映までに時間差があり、短期的な利益を圧迫する。
- 原子力発電所の稼働状況:女川2号機の定期事業者検査など計画的な停止が収支に大きな影響を与える。
- 制度・規制リスク:託送料金の改定や需給調整関連収支の見通しが不透明で、業績予想の未定要因となっている。
- 電力需要の変動:気温や産業生産動向に左右され、暖房需要の減少などが販売電力量に影響する。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/29)
1,192.5円
最新終値(2026/10/23)
1,282円+7.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東北電力#決算#決算分析#四半期決算#増収減益#女川原子力発電所#燃料費調整#東北電力ネットワーク
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コメント
第1四半期は売上高が約5割増という派手な数字に見えますが、その大部分は間接オークションに伴う自己約定であり、実質的な収益貢献は限定的です。むしろ注目すべきは、女川2号機の稼働減による発電量減少が利益を大きく削った点でしょう。
燃料費調整制度のタイムラグも収益を圧迫しており、燃料価格が高止まりすれば当面は逆風が続く可能性があります。一方で、送配電事業の赤字縮小や域外取引の拡大は、電力システム改革への適応力を示す好材料です。
通期予想を未定としたことは、外部環境の不確実性の高さを反映しており、投資家としては燃料価格の動向と女川2号機の再稼働時期、託送料金改定の行方を注視する必要があるでしょう。
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