東北電力、26年11月より託送コスト反映で電気料金を値上げ。家庭は月485円増、連結300億円収支改善へ
託送費の価格転嫁が完了する 2026年11月1日 より、東北電力は電気料金の基本・電力量単価を一括して引き上げる。平均的な世帯で月額約485円の負担増が見込まれる一方、連結業績には 概ね300億円程度 の収支改善効果を見込む。

家庭向け料金の具体値上げ幅と単価改定の詳細
東北電力は、一般送配電事業者である東北電力ネットワークの託送料金改定を受け、電気料金を見直すことを決定した。対象は低圧・高圧・特別高圧すべてのお客さまとし、2026年11月1日より新単価が適用される。特に消費者の関心が高い家庭向け(小売規制料金「従量電灯B」)では、基本料金が 10Aあたり41.11円 値上げされ、電力量料金は 1kWhにつき1.39円 の値上げとなる。平均的なモデル(契約30A、月間使用量260kWh)における負担増は、月額 485円(税別)に相当する。これは従来の料金水準に対して 約5.9% の上昇となる。
低圧自由料金プラン「よりそう+eねっとバリュー」でも同様の内容となり、同モデルで月額 485円 の値上げ(値上げ率 5.95%)が適用される。これにより、託送料金の増加分は顧客負担として確実に価格転嫁される体制が整った。なお、経済産業大臣に対し特定小売供給約款の変更届出も完了しており、法的な手続きは終了している。
法人向け料金改定とモデルケースでの影響額比較
法人向けの料金改定においても、託送料金の変動分を基本料金および電力量料金の単価に反映させる。低圧電力(工場など)では、基本料金が 1kWあたり100.01円 値上げされ、電力量料金は季節により 1kWhにつき1.35円 の値上げとなる。
高圧以上の契約を持つ事務所ビルや商業施設などの場合、「業務用電力」プランにおいて基本料金が 1kWあたり156.80円、電力量料金が 1kWhにつき0.24円 値上げされる。モデルケース(契約90kW、月間20,700kWh使用)では、月額約 1.7万円 の値上げとなり、値上げ率は 約2.5% となる。
一方、特別高圧の顧客向けには基本料金が 1kWあたり79.80円、電力量料金が 1kWhにつき0.05円 の値上げとなる。比較のために市場の水増し価格との差異を整理すると以下の通りである。
| 契約種別 | モデルケース | 月額値上げ額 | 値上げ率 |
|---|---|---|---|
| 従量電灯B | 30A, 260kWh/月 | +485円 | +5.91% |
| 低圧電力 | 6kW, 340kWh/月 | +1,029円 | +7.29% |
| 業務用電力(高圧) | 90kW, 20,700kWh/月 | +約1.7万円 | +2.46% |
家庭や小規模店舗向けに比べて、大口法人向けは値上げ率が 約5%ポイント 低く抑えられており、大規模契約における価格競争力の維持意図がうかがえる。
連結業績への影響とレベニューキャップ制度の背景
今回の見直しの背景には、2023年度から導入された「レベニューキャップ制度」の期中調整がある。一般送配電事業者は当初想定外だった物価や労務費、金利の上昇などを理由に託送料金を見直し、これを東北電力が電気料金に反映させる形となる。
連結業績への影響については、当社連結子会社である東北電力ネットワークの託送料金変更による 2026年度 の収支改善効果を 概ね300億円程度 と見込んでいる。これは他の小売・発電事業者向け託送料金の変更影響も含んだ数値である。ただし、中東情勢や燃料価格の先行き不透明さ、および需給調整関連収支の動向などの不確定要素が依然として存在するため、 2026年度連結業績については未定 としており、合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示する方針だ。
託送コストの価格転嫁は完了したが、利益水準の確定には外部環境の安定化が依然として必須である。今後は電気の効率的な利用方法の提案を通じて、お客さまのご負担軽減にも取り組んでいくとする。
開示前後の株価推移
開示当日の終値(2026/9/28)
1,344円
最新終値(2026/10/23)
1,282円-4.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#9506#東北電力#電気料金値上げ#託送料金#レベニューキャップ制度#エネルギー価格#2026年度業績
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コメント
コストの透明化と収益性の回復が今回の開示の本質である。レベニューキャップ制度による「期中調整」を通じ、送配電部門の人件費・資本コスト上昇分を小売価格に完全に転嫁したことは、長期的な収益基盤の安定化にとって重要なマイルストーンとなる。特に注目すべきは、連結ベースで 300億円 という規模感だ。これは規制された輸送料金の高騰がそのまま利益悪化要因となっていた事実を逆転させ、実質的な採算性を回復させることを意味する。投資家は、2026年度の実績発表において、この300億円の寄与分がどのように固定費削減や株主還元へ繋がったかを監視すべきだ。また、法人向け(約2.5%)と家庭向け(約6%)で値上げ率に乖離がある点も、大口契約の維持戦略を反映しており、需要家の選別効果にも留意が必要である。
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