
鹿島建設・2026年3月期Q3、営業利益81.6%増の1,718億円——国内建設の採算改善で通期予想を上方修正
売上高
2.1兆円
+5.9%
通期予想
3.0兆円
営業利益
1,718億円
+81.6%
通期予想
2,280億円
純利益
1,222億円
+64.0%
通期予想
1,700億円
営業利益率
8.0%
国内の大型工事が順調に進み、営業利益が前年比1.8倍と大幅に伸びました。収益性の向上を受けて通期予想を引き上げ、年間配当を28円増額する方針も発表。受注も前年比 13.0%増 と絶好調です。
業績のポイント
売上高は 2兆1,460億円(前年比 5.9%増)となりました。国内の土木・建築ともに大型案件が順調に進んでいます。
利益面は大幅な伸びを記録しました。営業利益は 1,718億円(前年比 81.6%増)、純利益は 1,222億円(前年比 64.0%増)です。
主な要因は、国内建設事業での原価低減や、追加契約による採算の改善です。受注時からの徹底したリスク管理が実を結んでいます。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 土木事業: 売上高 3,144億円(前年比 5.4%増)。大型工事の進捗に加え、原価低減で利益が 2.3倍 に拡大しました。
- 建築事業: 売上高 8,668億円(前年比 15.8%増)。竣工間近の大型案件が寄与。利益率は 11.8%(前年 9.4%)へ向上しました。
- 開発事業等: 売上高 494億円(前年比 40.7%増)。不動産物件の売却が完了し、利益は 82.7%増 と大幅に増えました。
- 国内関係会社: 売上高 2,797億円(前年比 9.6%増)。建設資材販売や専門工事が好調で、増収増益を達成しました。
- 海外関係会社: 売上高 7,425億円(前年比 3.7%減)。米国での物件売却が減りました。一方、アジア等の建設施工は採算が改善しました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 3,144億円 | 15% | 574億円 | 18.2% |
| 建築事業 | 8,655億円 | 40% | 643億円 | 7.4% |
| 開発事業等 | 466億円 | 2% | 94億円 | 20.2% |
| 国内関係会社 | 1,771億円 | 8% | 206億円 | 11.6% |
| 海外関係会社 | 7,424億円 | 35% | 192億円 | 2.6% |
財務状況と資本政策
総資産は 3兆5,764億円 となり、前期末から 1,218億円 増えました。株価上昇で保有株の価値が上がったことが主な理由です。
配当金は大幅に増やします。年間配当は前期の 104円 から 132円(前回予想比 28円増)へ増額する予定です。
また、自己株式を約 547万株 取得するなど、株主への還元を強化しています。自己資本比率は 37.2% で、安定した水準を保っています。
リスクと課題
- 建設資材や人件費の高騰への対応が引き続き重要です。
- 米国の金利動向や不動産市況の変化が、開発物件の売却価格に影響する恐れがあります。
- 国内外の政治情勢や通商政策の変化による、投資環境の不透明感があります。
通期見通し
好調な実績を受けて、通期予想を上方修正しました。
- 売上高: 3兆300億円(前回予想比 1.0%増)
- 営業利益: 2,280億円(前回予想比 12.9%増)
国内建設の収益性が当初の想定を上回る見込みです。第4四半期には国内・米国ともに複数の不動産売却も予定しており、着実な利益上積みを目指します。
今回の決算で最も注目すべきは、国内建設事業(土木・建築)の利益率の劇的な改善です。資材高騰などの逆風がある中で、設計変更の契約締結や原価低減を徹底し、利益を前年の2倍近くまで押し上げた点は、同社の施工管理能力の高さを示しています。
一方で、海外(特に米国)の開発事業については、市況を見極めて売却時期を来期以降に遅らせるなど、「利益の質」を重視した慎重な経営判断も見られます。足元の好調を背景に、大幅な増配と自社株買いをセットで打ち出したことは、投資家から高く評価されるポイントでしょう。
就活生にとっては、安定した公共投資に加え、データセンターやエネルギー施設など、成長分野への投資に支えられた高い需要水準を維持している点が、同社の将来性を考える上での好材料となります。
