京急、2027年3月期第1四半期決算、営業収益1.9%増も営業利益9.2%減

京急(京浜急行電鉄) の2027年3月期第1四半期決算は、営業収益745億2700万円(前年同期比1.9%増) と 増収 を確保したものの、鉄道事業での減価償却費増加が響き、営業利益77億4400万円(同9.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益47億1100万円(同13.2%減) と 減益 となった。同社は中東情勢等のリスクを注視しつつ、第20次総合経営計画の最終年度として事業を推進。通期業績予想は据え置き、増収も減益の幕開け となった。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 745億円 | +1.9% | 4,015億円 | 19% |
| 営業利益 | 77億円 | -9.2% | 450億円 | 17% |
| 純利益 | 47億円 | -13.2% | 300億円 | 16% |
| 営業利益率 | 10.4% | |||
業績のポイント
京急(京浜急行電鉄)の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)連結決算は、営業収益745億2700万円(前年同期比1.9%増) と増収でしたが、営業利益77億4400万円(同9.2%減)、経常利益68億5000万円(同13.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益47億1100万円(同13.2%減) と各利益段階で減益となりました。
増収の背景には、鉄道事業での定期外利用の好調や、バス事業の運賃改定効果、ホテル事業の客室単価上昇などがあります。一方、減益の主因は 鉄道事業における減価償却費の増加 です。前期にタクシー事業を譲渡した影響も減収要因となりました。全体として、収益構造の変化が明らかになった四半期です。
四半期包括利益は △14億800万円 と赤字に転落。その他有価証券評価差額金の悪化が大きく影響しました。自己資本比率は前期末の 34.4% から 33.8% に低下しましたが、依然として健全な水準です。通期業績予想は5月公表の営業収益4015億円(前期比32.0%増)、営業利益450億円(同34.1%増)、純利益300億円(同9.1%増) を据え置いており、第2四半期以降の挽回が期待されます。
セグメント別動向
京急グループの事業セグメントは、交通、不動産、レジャー・サービス、流通、その他 の5つに分かれます。それぞれの第1四半期の動向は以下の通りです。
交通事業
交通事業は、営業収益300億8400万円(前年同期比0.5%減)、営業利益45億8900万円(同9.9%減) となりました。鉄道では定期外輸送人員が好調で増収となった一方、前期末にタクシーグループ6社を譲渡したことによる約24億円の減収影響と、鉄道の減価償却費増加が重荷となりました。バス事業は運賃改定効果で増収。全体では微減収ながら、減価償却が利益を圧迫しました。
不動産事業
不動産事業は、営業収益123億2500万円(同1.2%増)、営業利益7億8300万円(同6.5%減)。分譲マンション売上の減少で減収となった一方、賃貸オフィスビルの賃料収入増加が補い、微増収。しかし、減価償却等のコスト増で営業減益となりました。
レジャー・サービス事業
営業収益84億100万円(同3.9%減)、営業利益13億8400万円(同23.2%減)。ビジネスホテル「京急EXホテル・京急EXイン」が国内需要増で客室単価・稼働率が上昇し増収でしたが、ボートレース場の改修工事影響で前年上期に集中した開催日程の反動減が大きく、減収・減益となりました。また、10月にゴルフ場子会社(㈱市原京急カントリークラブ)の全株式譲渡を7月に決議しており、事業ポートフォリオの見直しが進んでいます。
流通事業
営業収益208億6800万円(同0.2%減)、営業利益6億5800万円(同9.0%増)。百貨店業の一部売場賃貸化による収入減が響き減収となりましたが、㈱京急ストアの新店効果でストア業が増収。百貨店の減価償却費減少が利益を押し上げ、営業増益となりました。
その他事業
営業収益89億6800万円(同14.9%増)、営業利益1億4300万円(同14.0%増)。建設工事の完成増加が寄与し、増収増益となりました。
| セグメント | 営業収益(億円) | 前年同期比(%) | 営業利益(億円) | 利益率(%) | 構成比(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 交通 | 300.84 | -0.5 | 45.89 | 15.3 | 40.1 |
| 不動産 | 123.25 | +1.2 | 7.83 | 6.4 | 14.6 |
| レジャー | 84.01 | -3.9 | 13.84 | 16.5 | 10.3 |
| 流通 | 208.68 | -0.2 | 6.58 | 3.2 | 27.6 |
| その他 | 89.68 | +14.9 | 1.43 | 1.6 | 7.4 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 交通事業 | 299億円 | 40% | 46億円 | 15.4% |
| 不動産事業 | 109億円 | 15% | 8億円 | 7.2% |
| レジャー・サービス事業 | 77億円 | 10% | 14億円 | 18.1% |
| 流通事業 | 206億円 | 28% | 7億円 | 3.2% |
| その他事業 | 55億円 | 7% | 1億円 | 2.6% |
財務状況と資本政策
第1四半期末の総資産は1兆1138億5600万円となり、前期末比 148億6400万円 減少しました。現金及び預金が 670億円 から 440億円 へ大きく減少したことが主因で、手元流動性の圧縮がうかがえます。コマーシャル・ペーパー(CP)の発行が 300億円 増加し、短期借入金と合わせ有利子負債の構成に変化が見られました。純資産は 3785億5600万円 で、その他有価証券評価差額金の減少などにより前期末比 118億7300万円 減少。自己資本比率は 33.8% と、前期末の34.4%から低下しましたが、依然として安全圏です。
配当は、2027年3月期予想として 年間46円(中間23円、期末23円) を据え置き、前期と同水準を維持する方針です。また、2026年8月5日の取締役会で、役員向け株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」への追加拠出として、自己株式 190,700株 を 1株1,512円 で処分することを決議しました(総額約2.88億円)。これは資本政策の一環であり、株主還元姿勢に直接的な影響はありませんが、自己株式の持ち合い解消の動きとして注目されます。キャッシュ・フロー計算書は作成されていませんが、減価償却費は 74億9400万円(前年同期比+8.2%)と増加傾向にあります。
通期見通し
2027年3月期の業績予想は、2026年5月11日公表の数値を据え置いています。第2四半期累計では営業収益1575億円(前年同期比10.5%増)、営業利益157億円(同15.4%減)、純利益95億円(同37.7%減) を見込むものの、通期では営業収益4015億円(前期比32.0%増)、営業利益450億円(同34.1%増)、純利益300億円(同9.1%増) と大幅な回復を計画しています。
前期は営業利益がわずか 141億5100万円(前々期比208.8%増)と、大規模工事負担金等の特殊要因がありました。今期はこうした一時的要因がはく落する半面、運輸業や不動産賃貸の堅調を織り込んだ強気の予想です。第1四半期は通期計画に対し、営業収益進捗率 18.6%、営業利益進捗率 17.2% と低めですが、第2四半期以降の挽回が必要です。
| 項目 | 第2四半期累計予想 | 通期予想 | 前期実績(2026年3月期) |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 1,575億円 | 4,015億円 | 3,882億円 |
| 営業利益 | 157億円 | 450億円 | 141億円 |
| 親会社純利益 | 95億円 | 300億円 | 275億円 |
戦略トピック:ゴルフ場子会社の株式譲渡
レジャー・サービス事業の再構築の一環として、京急は2026年7月に 株式会社市原京急カントリークラブ の全株式を パシフィックゴルフマネージメント株式会社 に10月譲渡することを決議しました。同ゴルフ場は千葉県市原市に所在し、長年京急グループが運営してきましたが、ノンコア事業の売却 による経営資源の集中が目的です。前期にはタクシー事業の譲渡も行っており、選択と集中の動きが加速しています。譲渡益の詳細は明らかになっていませんが、業績への影響は軽微とみられます。
リスクと課題
京急グループが直面する主なリスクと課題は以下の通りです。
- 中東情勢や国際経済の不透明感:エネルギー価格や為替変動を通じて、運輸業の燃料費や海外旅行需要に影響を与える可能性があります。
- 鉄道事業の減価償却費負担増:大規模な設備投資(建設仮勘定の増加が示すように、現在も投資が継続中)が将来の収益を圧迫し続ける構造的要因です。
- レジャー施設の改修リスク:ボートレース場など大規模改修による営業制約が、収益の下振れ要因となります。
- 不動産市況の変動:分譲マンション販売の減少が第1四半期に見られたように、市況次第で収益が左右されます。
- 競争環境の激化:沿線人口の伸び悩みや、リモートワーク定着による通勤需要の構造変化への対応が求められます。
同社は第20次総合経営計画で「安全・安心の向上」「沿線価値の創造」「経営基盤の強化」を掲げており、これらのリスクに計画的に対処する構えです。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
1,516.5円
最新終値(2026/10/23)
1,573円+3.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#京急#決算#決算分析#四半期決算#増収減益#鉄道事業#減価償却#不動産#京急ホテル#自己株式処分
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コメント
京急の第1四半期は、増収ながら減益というやや苦しいスタートでした。特に鉄道事業の減価償却費増が重く、営業利益を圧迫しています。建設仮勘定が1995億円に膨らんでいることからも、先行投資の負荷が当面続くことが予想され、利益成長の阻害要因として注視が必要です。
一方、ビジネスホテルは客室単価・稼働率が上昇し、インバウンド需要の回復を捉えているのは明るい材料です。タクシー事業やゴルフ場の売却など、ノンコア事業の整理を進めている点は、資本効率の改善につながるでしょう。
通期予想では大幅な増益を見込んでいますが、第1四半期の進捗率は低く、目標達成には強い挽回が必要です。株主還元は安定配当を維持する方針で、配当利回り面での魅力はありますが、収益の実態とキャッシュ創出力を慎重に見極めるべき局面です。
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