熊谷組、2027年3月期第1四半期決算、減収も営業利益42.2%増で採算改善

熊谷組の2027年3月期第1四半期決算は、完成工事高が前年同期比5.1%減の1,000億円となる一方、営業利益は同42.2%増の28億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同23.5%増の14億円でした。期首の手持ち工事が減り売上は減少しましたが、完成工事総利益率の改善が利益を押し上げました。売上減でも採算改善で増益となり、通期予想は据え置いています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,000億円 | -5.1% | 5,000億円 | 20% |
| 営業利益 | 29億円 | +42.2% | 309億円 | 9% |
| 純利益 | 14億円 | +23.5% | 204億円 | 7% |
| 営業利益率 | 2.9% | |||
この決算のポイント
- 1完成工事高は期首手持ち工事の減少などで前年同期比5.1%減の1,000億円
- 2営業利益は完成工事総利益率の改善を受け、前年同期比42.2%増の28億円
- 3土木の受注高は官庁工事を中心に前年同期比107.7%増、建築は同42.1%減
- 42027年3月期の通期営業利益予想は309億円で、5月公表値から変更なし
- 5年間配当予想は50円で、前期実績の47円から3円増配の見込み
業績のポイント
熊谷組(熊谷組、証券コード1861)の連結完成工事高は前年同期比5.1%減、営業利益は同42.2%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は同23.5%増でした。売上高が減る一方で利益が伸び、営業利益率は前年同期の1.9%から2.9%へ上昇しました。
営業利益の増加は、完成工事総利益の伸びが販売費及び一般管理費の増加を上回ったことによります。増減の金額は次の通りです。
| 利益の増減要因(億円) | 金額 |
|---|---|
| 前年同期の営業利益 | 20 |
| 完成工事総利益の増加 | +14 |
| 販売費及び一般管理費の増加 | -5 |
| 当第1四半期の営業利益 | 29 |
売上高の減少は、期首に保有していた手持ち工事が前年より少なかったことなどが影響しました。一方、工事採算の改善で完成工事総利益率が前年同期の7.6%から9.4%に上がり、売上の減少を補いました。建設業界では民間設備投資や公共投資が底堅く、受注環境は総じて良好と会社は説明しています。
- 前年同期20億円
- 完成工事総利益+14億円
- 販管費の増加-5億円
- 当期29億円
セグメント別動向
利益の伸びは建築事業がけん引しました。土木事業は売上が前年同期を上回ったものの利益は減少し、子会社も売上、利益ともに前年同期を下回っています。
土木事業は売上高277億円で前年同期比0.4%増でしたが、セグメント利益は5億円と前年同期比42.4%減りました。官庁土木の受注増は先行きの工事量を支える材料ですが、当四半期は売上の伸びに利益が伴わず、採算面の回復が課題です。
建築事業は売上高478億円で前年同期比8.4%減となった一方、セグメント利益は17億円と大きく伸びました。売上の減少に対して利益が増えた背景には、完成工事の採算改善があります。連結全体の利益率上昇を支えた中心セグメントです。
子会社は売上高245億円で前年同期比4.2%減、セグメント利益は7億円で同9.5%減でした。全体として、利益の改善が建築事業に偏っているため、土木事業や子会社にも採算改善が広がるかが今後の焦点です。
- 土木事業-42.4%
- 建築事業+378.7%
- 子会社-9.5%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 277億円 | 28% | 5億円 | 1.9% |
| 建築事業 | 478億円 | 48% | 17億円 | 3.5% |
| 子会社 | 245億円 | 25% | 7億円 | 2.8% |
通期見通し
熊谷組は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。完成工事高は前期比2.5%増の5,000億円、営業利益は同14.1%増の309億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.7%増の204億円を見込んでいます。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 完成工事高 | 5,000 | 5,000 | 4,877 |
| 営業利益 | 309 | 309 | 271 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 204 | 204 | 201 |
前回予想は2026年5月15日公表値で、今回の決算発表時点で変更はありません。2026年度に連結売上高5,000億円、連結経常利益300億円、ROE10%以上を目指す中期経営計画を掲げており、会社は第1四半期の実績を踏まえても通期目標を維持しました。公共投資や企業の設備投資が堅調な一方、原材料費や地政学リスクの影響を見極める必要があります。
財務状況と資本政策
第1四半期末の総資産は前期末比4.9%減の4,271億円、自己資本比率は前期末から1.3ポイント上昇し43.1%でした。年間配当は前期実績を上回る50円を予想しています。
| 項目 | 2027年3月期第1四半期末・予想 | 前期末・前期実績との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 4,271億円 | 前期末比4.9%減 |
| 自己資本比率 | 43.1% | 前期末比1.3ポイント上昇 |
| 現金預金 | 636億円 | 前期末の647億円から減少 |
| 中間配当予想 | 25円 | — |
| 期末配当予想 | 25円 | — |
| 年間配当予想 | 50円 | 前期実績47円から3円増 |
総資産の減少には、受取手形・完成工事未収入金などの回収が進んだことが影響しました。負債も仕入債務の減少などで前期末より縮小し、自己資本比率は上がっています。第1四半期の連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の営業キャッシュ・フローは確認できません。決算短信に自社株買いの発表はありません。
リスクと課題
会社は、景気や投資需要の緩やかな回復を見込む一方、資材価格や地政学情勢など複数の不確実要因への警戒を示しています。工事採算の改善を継続できるかに加え、受注構成の変化にも注意が必要です。
- 原材料・エネルギー価格: 価格の高止まりが続けば工事原価が上がり、請負金額への転嫁が遅れた場合は利益を圧迫します。会社は価格転嫁の進展や物価スライド条項の活用を挙げています。
- 中東情勢と供給網: 緊迫化が長引けば、建設物価や物流コストの上昇、サプライチェーンの混乱につながる可能性があります。顧客の設備投資計画が中止・先送りされるリスクもあります。
- 建設現場の人手・規制対応: 労働時間規制、安全管理の強化、DX推進への対応には、現場運営や生産性向上に向けた投資が必要です。対応が遅れると工期やコストに影響する恐れがあります。
- 受注と採算のばらつき: 当四半期は土木受注が増えた一方、建築受注は減少しました。受注量だけでなく、工事の採算や完成時期が利益計画に与える影響を見極める必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/29)
1,426円
最新終値(2026/10/23)
1,211円-15.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#熊谷組#決算#決算分析#四半期決算#建設業#営業利益増#受注高#配当
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コメント
今回の決算は、売上高の伸びではなく工事採算の改善が利益を押し上げた点が見どころです。とくに建築事業の利益改善が目立つ一方、土木事業の利益は減少しており、改善が全社に広がったとまでは言い切れません。
通期予想を維持した判断は、公共投資や民間設備投資の底堅さを踏まえたものとみられます。今後は受注残の積み上がりだけでなく、資材価格や人件費の上昇を吸収しながら、建築以外でも利益率を保てるかが注目点です。
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株式会社熊谷組
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