クレハ、2027年3月期第1四半期決算、増収増益で利益急伸も通期予想を修正

クレハの2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期比15.2%増の420億円、営業利益が149.4%増の58億円、親会社株主利益が108.1%増の42億円となり、増収増益でした。PGA樹脂加工品や「NEWクレラップ」の販売増に加え、持分法投資利益の拡大が利益を押し上げました。会社は業績動向を踏まえて通期予想を修正しており、大幅増益と通期予想の修正が決算の焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 421億円 | +15.2% | 1,730億円 | 24% |
| 営業利益 | 58億円 | +149.4% | 110億円 | 53% |
| 純利益 | 43億円 | +108.1% | 75億円 | 57% |
| 営業利益率 | 13.8% | |||
この決算のポイント
- 1機能製品事業のコア営業利益は前年同期の1億円から30億円へ増加し、全社の利益成長をけん引。
- 2樹脂製品事業は「NEWクレラップ」が伸び、売上収益が前年同期比27.6%増、コア営業利益は51.9%増。
- 32027年3月期の通期売上収益予想は1,730億円、コア営業利益予想は120億円。会社は予想を修正。
- 4年間配当予想は216円で前期実績から2円増。DOE(連結株主資本配当率)5%を目安に配当。
- 5営業キャッシュフローは75億円の収入、投資キャッシュフローは69億円の支出で、設備投資を拡大。
業績のポイント
クレハ(株式会社クレハ)の2027年3月期第1四半期は、売上収益が前年同期比15.2%増の420億98百万円、営業利益が149.4%増の58億10百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が108.1%増の42億89百万円でした。営業利益は前年同期から34億81百万円増え、売上増を大幅な利益成長につなげた決算です。
- 機能材料の伸長: シェールオイル・ガス掘削向けPGA樹脂加工品や、リチウムイオン電池用バインダー向けフッ化ビニリデン樹脂の販売が増加。
- 持分法投資利益の増加: 米国のPPS樹脂合弁会社などからの持分法投資利益は14億3百万円となり、前年同期の4億1百万円から増加。
- 消費者向け商品の好調: 家庭用ラップ「NEWクレラップ」の売上増が、樹脂製品事業の増収増益に寄与。
- 利益指標の変更: 今期から非経常的な損益を除くコア営業利益を新たな管理指標として採用。前年同期の19億11百万円に対し、今期は59億5百万円でした。
利益の伸びには、機能製品事業の回復に加えて持分法投資利益の増加が寄与しました。売上総利益も前年同期の91億10百万円から128億73百万円に増えており、増収が利益率の改善を伴っています。一方、コア営業利益は今期からの新指標で、前年同期の数値も同じ基準に組み替えられています。
セグメント別動向
5事業のうち、機能製品と樹脂製品が利益を大きく伸ばしました。売上収益の前年同期比と、セグメントごとのコア営業利益の増減額を示します。
| セグメント | 売上収益の前年比 | コア営業利益の増減(億円) |
|---|---|---|
| 機能製品 | +7.1% | +29.00 |
| 化学製品 | +27.1% | +2.72 |
| 樹脂製品 | +27.6% | +8.29 |
| 建設関連 | +11.0% | -0.58 |
| その他関連 | +4.8% | +0.82 |
機能製品事業は、売上収益が前年同期比7.1%増となり、コア営業利益は前年同期の1億3百万円から30億3百万円に拡大しました。PGA樹脂加工品とフッ化ビニリデン樹脂の販売増に加え、米国のPPS樹脂合弁会社の持分法投資利益が増えました。炭素製品は前年同期並みです。
樹脂製品事業は、売上収益が前年同期比27.6%増、コア営業利益が51.9%増でした。「NEWクレラップ」の販売増が主因で、業務用食品包装材は前年同期並みでした。化学製品事業は売上収益が27.1%増えた一方、コア営業損失は1億29百万円。農薬や慢性腎不全用剤「クレメジン」は伸びましたが、工業薬品では原材料価格の上昇が利益を圧迫しました。
建設関連事業は繰越工事の進捗で増収となったものの、売上構成の変化によりコア営業利益が減少しました。その他関連事業は、廃棄物処理の売上増を背景に増収増益です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 機能製品事業 | 166億円 | 40% | 30億円 | 18.1% |
| 化学製品事業 | 74億円 | 18% | -129百万円 | -1.7% |
| 樹脂製品事業 | 111億円 | 26% | 24億円 | 21.8% |
| 建設関連事業 | 27億円 | 6% | 67百万円 | 2.5% |
| その他関連事業 | 43億円 | 10% | 5億円 | 10.6% |
通期見通し
クレハは2027年3月期の第2四半期累計と通期の連結業績予想を修正しました。通期の売上収益予想は前期比7.0%増の1,730億円、コア営業利益予想は17.1%減の120億円です。
| 指標 | 通期予想 | 前期比 | 第2四半期累計予想 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(百万円) | 173,000 | +7.0% | 85,500 |
| コア営業利益(百万円) | 12,000 | -17.1% | 7,500 |
| 営業利益(百万円) | 11,000 | — | 7,500 |
| 親会社株主に帰属する利益(百万円) | 7,500 | — | 5,000 |
| 基本的1株当たり利益(円) | 196.23 | — | 130.82 |
今回の短信には、修正前の予想額は記載されていません。修正の理由についても「昨今の業績動向を踏まえた」と説明するにとどまり、事業別の前提や修正幅の詳細は別途公表の「業績予想の修正に関するお知らせ」に委ねています。
第1四半期は大幅増益でしたが、通期のコア営業利益予想は前期を下回ります。第2四半期累計では売上収益の増加を見込む一方、コア営業利益は前年同期比0.7%減の予想で、上期以降の利益の持続性や原材料コストの影響が注目点です。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比49億63百万円増の3,434億7百万円、親会社所有者帰属持分比率は48.8%から49.3%に上昇しました。営業活動で資金を確保する一方、設備取得などへの投資支出も増えています。
| 項目 | 2026年6月末・第1四半期 | 比較・内訳 |
|---|---|---|
| 総資産 | 3,434億7百万円 | 前期末比+49億63百万円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 49.3% | 前期末48.8% |
| 営業キャッシュフロー | +75億2百万円 | 前年同期比+14億13百万円 |
| 投資キャッシュフロー | -69億32百万円 | 前年同期より支出が27億75百万円増加 |
| 現金及び現金同等物 | 300億93百万円 | 前期末比+3億66百万円 |
| 年間配当予想 | 216円 | 前期実績214円、2円増 |
投資キャッシュフローの支出増は、有形・無形固定資産の取得が増えたことなどによります。フッ化ビニリデン樹脂の生産設備増強工事が進んでおり、成長分野の供給力を高める投資が財務に反映されています。有利子負債は前期末比36億24百万円増の1,278億50百万円となりました。
年間配当は中間108円、期末108円の予想で、前期の年間214円から2円増額します。会社はDOE(連結株主資本配当率)5%を目安とする方針を示しました。今期は自己株式9,700,000株を消却しましたが、当四半期の自己株式取得によるキャッシュ支出は1百万円で、新たな大規模買い付けは短信に記載されていません。
リスクと課題
会社は世界経済の緩やかな回復を見込む一方、中東情勢などによる先行きの不透明さを指摘しています。原材料価格や投資先の動向が、増益の持続性を左右する可能性があります。
- 地政学リスク: 中東情勢などを含む国際情勢の変化が、景気や原材料の供給・価格に影響する可能性があります。
- 原材料価格の上昇: 化学製品事業では工業薬品の原材料価格上昇が利益を押し下げました。価格転嫁が遅れれば、収益改善の制約になります。
- 持分法投資利益の変動: 今期の利益増には米国のPPS樹脂合弁会社などからの投資利益増加が寄与しました。投資先の業績が変化すれば、利益の振れにつながります。
- 設備投資と資金負担: フッ化ビニリデン樹脂の生産設備増強などで投資支出が増加しています。投資の進捗や需要が想定を下回る場合、資金回収が課題となります。
- 事業構成による採算変動: 建設関連事業では繰越工事の進捗で増収となったものの、売上構成の変化で利益が減少しました。売上規模だけでは採算を判断できない点にも注意が必要です。
会社は業績予想について、現在入手できる情報と一定の前提に基づくもので、実際の業績はさまざまな要因で変動するとしています。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
4,350円
最新終値(2026/10/23)
3,880円-10.8%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#クレハ#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#NEWクレラップ#PGA樹脂#配当#業績予想修正
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コメント
この決算は、PGA樹脂加工品やNEWクレラップの伸びに加え、持分法投資利益の増加も重なり、利益の回復がはっきり表れました。特に機能製品事業の採算改善が目立ちます。
一方、通期のコア営業利益予想は前期比で減益です。第1四半期の高い伸びだけで判断せず、会社が予想を修正した背景と、上期以降に原材料コストや投資先利益がどう推移するかを確認したい決算です。
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