牧野フライス、2027年3月期第1四半期決算、受注最高で営業益2.4倍

牧野フライスの2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比25.9%増、営業利益は137.1%増、純利益は353.7%増と大幅な増益でした。中国を中心にアジアの設備投資需要が堅調で、連結受注高は前年同期比61.3%増と過去最高を更新。通期予想は据え置き、需要増に対応する富士吉田工場の新棟も稼働しました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 698億円 | +25.9% | 2,760億円 | 25% |
| 営業利益 | 76億円 | +137.1% | 276億円 | 28% |
| 純利益 | 57億円 | +353.7% | 221億円 | 26% |
| 営業利益率 | 10.9% | |||
この決算のポイント
- 1連結受注高は前年同期比61.3%増の921億円で、四半期として過去最高を記録
- 2中国の金型・部品加工やAIインフラ関連が好調で、アジアの受注高は前年同期比49.7%増
- 3欧州の受注高は前年同期比150.2%増、航空宇宙や発電関連向けの需要が寄与
- 4通期予想は据え置き、売上高2,760億円、営業利益276億円を見込む
- 52026年10月に1株を5株に分割予定、分割前換算の年間配当予想は340円
業績のポイント
牧野フライス(牧野フライス製作所)の2027年3月期第1四半期は、売上高697億70百万円(前年同期比25.9%増)、営業利益75億90百万円(同137.1%増)、親会社株主に帰属する純利益56億61百万円(同353.7%増)でした。経常利益も81億75百万円と同121.9%増です。
- 売上の拡大: 中国を中心としたアジアの設備投資需要が好調で、国内でも半導体製造装置関連向けが回復。円安による換算影響も受注高を押し上げました。
- 営業利益の増加: 売上高の伸びに伴い、売上総利益は前年同期の158億83百万円から234億70百万円へ増加しました。
- 純利益の伸び: 投資有価証券売却益6億80百万円を計上。前年同期にあった公開買付関連費用10億43百万円もなくなりました。
受注の最高更新が増益を後押し。連結受注高は921億43百万円と前年同期比61.3%増で、会社は過去最高と説明しています。地政学リスクやエネルギー価格の変動が続く一方、アジアを中心に需要が広がり、業績を押し上げました。受注の伸びが今後の売上にどの程度つながるかが、通期計画の達成度を測るポイントです。
セグメント別動向
地域別では、アジア、米州、欧州で販売が伸び、国内セグメントは小幅な減収でした。下表は前年同期比で、セグメント利益は各セグメントの報告値です。
| セグメント | 売上高前年比 | セグメント利益前年比 |
|---|---|---|
| Ⅰ 国内など | -1.3% | +521.1% |
| Ⅱ アジア | +14.6% | +133.1% |
| Ⅲ 米州 | +56.2% | +140.6% |
| Ⅳ 欧州 | +68.2% | 赤字縮小 |
セグメントⅠは売上高が前年同期を下回りましたが、利益は増加しました。国内受注は半導体製造装置関連の部品加工や航空宇宙向けを中心に前年を上回っており、受注と売上の時間差がうかがえます。
セグメントⅡは売上高、利益ともに増加しました。中国では自動車メーカーのモデルチェンジ周期の短期化を背景に、金型・部品加工向けが伸長。電子部品関連の金型やAIインフラ関連の受注も堅調でした。
セグメントⅢは航空宇宙関連が好調で、ジョブショップ向けを中心に部品加工も堅調でした。セグメントⅣは航空宇宙に加え、AIインフラ向け発電関連の部品加工で5軸制御マシニングセンタの受注が増え、損失が縮小しました。セグメント利益の合計と連結営業利益には、未実現利益の消去などによる差があります。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Ⅰ 国内など | 85億円 | 12% | 34億円 | 10.7% |
| Ⅱ アジア | 333億円 | 48% | 36億円 | 9.6% |
| Ⅲ 米州 | 239億円 | 34% | 13億円 | 5.5% |
| Ⅳ 欧州 | 41億円 | 6% | -522百万円 | -12.8% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から176億72百万円増の4,406億98百万円、自己資本比率は60.9%でした。株式分割を予定するなか、分割前換算の年間配当予想は前期実績を上回ります。
| 項目 | 2026年3月末・前期実績 | 2026年6月末・2027年3月期予想 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 423,026 | 440,698 |
| 自己資本比率 | 61.7% | 60.9% |
| 現金及び預金(百万円) | 75,137 | 72,431 |
| 年間配当(円、分割前換算) | 270 | 340 |
| キャッシュ・フロー計算書 | — | 第1四半期は作成なし |
資産の増加には、富士吉田工場の新棟稼働に伴う建物・構築物の増加や、棚卸資産の積み上がりが影響しました。自己資本比率は前期末より低下したものの、6割台を維持しています。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、現金の増減だけで営業活動による資金創出力を判断することはできません。
牧野フライスは2026年10月1日を効力発生日として、普通株式を1株から5株に分割する予定です。配当予想は分割前換算で中間160円、期末180円、年間340円となり、前期実績から増配となる見込みです。短信には自社株買いの発表は記載されていません。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年4月30日に公表した前回予想から変更ありません。通期では増収増益を見込み、上期の計画も据え置きました。
| 項目 | 前回予想(4月30日) | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 276,000 | 276,000 | +5.7% |
| 営業利益(百万円) | 27,600 | 27,600 | +10.2% |
| 経常利益(百万円) | 28,400 | 28,400 | +4.0% |
| 純利益(百万円) | 22,100 | 22,100 | +5.3% |
第1四半期の売上高は通期予想の約25%、営業利益は約28%に相当します。受注の大幅な伸びは先行きの売上を支える材料ですが、会社は需要環境の変化を踏まえつつ、現時点では予想を修正しない判断をしました。地政学的リスクや為替変動が続くなか、今後は受注の売上計上と利益率の維持が計画達成の焦点になります。
戦略トピック
需要の増加に対応するため、富士吉田工場の新棟が2026年6月に稼働しました。航空宇宙関連向けの大型機や、自動車関連の金型向け大型機を中心に生産する計画です。
- 生産能力の拡充: 新棟の稼働により、受注増が続く大型機の生産体制を強化します。
- 展示会での販売活動: 米国のIMTSや日本のJIMTOFに出展予定です。5軸制御マシニングセンタに加え、加工物のストックシステムを組み合わせ、自動運転時間を延ばす提案を行います。
- 新機種の需要開拓: 欧州では新機種「a630iT」を含む5軸制御機が、AIインフラ関連の発電設備部品向けで受注を伸ばしました。
設備投資と製品提案を、航空宇宙、自動車、半導体製造装置、AIインフラなど複数の需要分野につなげる方針です。新棟の稼働は受注拡大を取り込むための供給面の手当てですが、投資効果は生産の立ち上がりと受注残の売上転換を確認する必要があります。
リスクと課題
受注は強いものの、工作機械の需要は設備投資の動向や国際情勢に左右されます。会社が挙げる市場環境に加え、増産投資の効果が計画どおりに出るかも注視が必要です。
- 地政学リスク: 中東情勢などの不透明感が続いており、顧客の設備投資判断が遅れれば受注や売上に影響する可能性があります。
- 為替変動: 円安は海外売上の換算額を押し上げる一方、為替が反転すれば業績への追い風が弱まる可能性があります。
- 需要の変化: 中国の自動車・金型や半導体製造装置、航空宇宙、AIインフラ関連の需要に勢いがありますが、分野ごとの投資動向が変われば受注の伸びも変化します。
- 生産能力の立ち上げ: 富士吉田工場の新棟で増産を進めるなか、需要に合わせた生産と受注残の納期対応が課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/24)
2,942円
最新終値(2026/10/23)
3,070円+4.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#牧野フライス#決算#決算分析#四半期決算#工作機械#受注高#半導体製造装置#5軸制御マシニングセンタ#株式分割#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
今回の決算で目を引くのは、利益の伸びだけでなく、受注高が過去最高を更新したことです。アジアに加えて米州・欧州でも受注が増えており、需要の広がりが見える点は心強い材料です。
一方、受注がそのまま当期の売上や利益になるわけではありません。新棟の稼働で供給力を高めながら受注残を着実に売上へ移せるか、また円安や特別利益に頼らず利益成長を続けられるかが、次の四半期以降の見どころです。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/makino/report/2027-Q1
関連記事
工作機械の最新記事
- 決算解説オークマ2027年3月期 第1四半期オークマ、2027年3月期第1四半期決算、営業利益2.8倍で通期予想上方修正

- 決算解説アマダ2027年3月期 第1四半期アマダ、2027年3月期第1四半期決算、売上収益29.7%増、営業利益84.0%増
- 決算解説DMG森精機2026年12月期 第2四半期DMG森精機、2026年12月期第2四半期決算、営業利益43%増で通期予想を上方修正

- 決算解説ツガミ2027年3月期 第1四半期ツガミ、2027年3月期第1四半期決算、売上収益35%増で過去最高益、中国需要がけん引

- 裁判終結のお知らせDMG森精機10月2日DMG森精機、ドイツ子会社をめぐる10年間の訴訟が終結し法的不確実性が解消されたことを発表。株式買取価額と継続補償の金額が確定。

- 業績予想・配当予想修正ツガミ10月20日ツガミ、2027年3月期中間営業利益予想を29.2%上方修正、配当も61円へ増額

掲載企業

株式会社牧野フライス製作所
東証 6135
これが最新の決算解説です





