モス、2027年3月期第1四半期決算、増収も原材料高で営業利益53%減

モスの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比3.6%増の246億36百万円となった一方、原材料費の高騰などで営業利益は52.9%減の8億11百万円、純利益は53.8%減の5億83百万円だった。国内モスバーガーの既存店売上高は伸びたが、コスト増が利益を圧迫。通期予想は据え置き、7月には和食ブランドを展開する企業を子会社化した。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 246億円 | +3.6% | 1,100億円 | 22% |
| 営業利益 | 8億円 | -52.9% | 58億円 | 14% |
| 純利益 | 6億円 | -53.8% | 36億円 | 16% |
| 営業利益率 | 3.3% | |||
この決算のポイント
- 1国内モスバーガーの既存店売上高は前年同期比3.8%増、客数も3.0%増えた。
- 2海外事業は売上高が1.7%増えた一方、営業利益は64.5%減の5200万円にとどまった。
- 32027年3月期の営業利益予想は57億50百万円で据え置き、前年実績比12.4%減を見込む。
- 4年間配当予想は34円で前期と同額、取得済みのビー・ワイ・オーは第2四半期から連結予定。
- 5総資産は前期末比14億42百万円減の859億円、自己資本比率は68.0%に上昇した。
業績のポイント
モス(モスフードサービス)の第1四半期は、増収ながら原材料費の上昇などで大幅な営業減益となった。売上高は前年同期比3.6%増の246億36百万円、営業利益は52.9%減の8億11百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は53.8%減の5億83百万円だった。
- 売上高: 前年同期から8億49百万円増。国内モスバーガーの既存店売上高や客数の増加が寄与した。
- 利益: 営業利益は前年同期から9億11百万円減。売上原価が3億35百万円増え、販売費及び一般管理費も5億76百万円増加した。
- 経常利益・EPS: 経常利益は49.7%減の8億93百万円、1株当たり四半期純利益は18円92銭で、前年同期の40円94銭を下回った。
- EBITDA: 19億7百万円と前年同期の26億97百万円から減少。減価償却費の増加だけでは補えない利益の落ち込みが表れた。
増収を確保したものの、売上原価の増加と販管費の増加が重なり、営業利益率は前年同期の約7.2%から約3.3%へ低下した。国内の販売は底堅い一方、コスト上昇を価格や生産性改善で吸収できるかが、今後の利益回復を左右する。
セグメント別動向
主力の国内モスバーガー事業は増収ながら減益で、海外事業も売上高の伸びに対して利益の落ち込みが大きかった。セグメント利益は全社費用を含まない各事業の営業利益で、連結営業利益とは集計範囲が異なる。
国内モスバーガー事業は、売上高が前年同期比4.2%増の201億94百万円、セグメント利益が26.4%減の15億44百万円。既存店売上高は3.8%増、客数は3.0%増となり、テリヤキバーガーの刷新や高価格帯商品、朝食・カフェ商品の拡充が販売を支えた。一方、原材料費の高騰が利益を押し下げた。
海外事業は、売上高が1.7%増の39億32百万円、セグメント利益が64.5%減の5200万円。既存国の店舗収益力改善を優先し、台湾の新工場稼働や共同調達による供給網強化を進める段階にある。店舗数は台湾などでの減少により、2026年3月末時点で計409店となった。
- グロース事業: 売上高は4.5%減の4億74百万円、営業損失は7900万円と前年同期から損失が1800万円拡大。玄米食堂あえんなどで省人化・低投資モデルの育成を進める。
- その他の事業: 売上高は17.4%減の3400万円、営業利益は4.3%減の3200万円。衛生管理やグループ内業務支援を担う。
国内では商品開発と店舗運営の改善が客数増につながったが、利益への転換が課題として残る。海外は既存市場の立て直しと食材供給機能の整備を並行しており、投資が収益改善に結び付く時期を見極めたい。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内モスバーガー事業 | 202億円 | 82% | 15億円 | 7.6% |
| 海外事業 | 39億円 | 16% | 52百万円 | 1.3% |
| グロース事業 | 5億円 | 2% | -79百万円 | -16.7% |
| その他の事業 | 34百万円 | 0% | 32百万円 | 94.1% |
通期見通し
モスは2027年3月期の連結業績予想を据え置いた。売上高1,100億円、営業利益57億50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益36億円を見込む。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績との比較 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,100億円 | 1,100億円 | +7.0% |
| 営業利益 | 57億50百万円 | 57億50百万円 | -12.4% |
| 経常利益 | 57億円 | 57億円 | -19.8% |
| 純利益 | 36億円 | 36億円 | -21.5% |
会社は2026年5月15日に公表した予想から変更していない。通期では増収を見込むものの、利益は前期を下回る計画で、第1四半期の減益を残る期間でどこまで挽回できるかが焦点となる。7月に子会社化したビー・ワイ・オーの今期業績への影響は、開示すべき事項が生じた場合に公表するとしている。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から減少した一方、自己資本比率は小幅に上昇した。キャッシュ・フロー計算書は第1四半期には作成されておらず、営業・投資・財務キャッシュフローの数値は開示されていない。
| 項目 | 2026年6月末など | 前期末・前期との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 859億円 | 前期末比14億42百万円減 |
| 純資産 | 589億44百万円 | 前期末比6億75百万円減 |
| 自己資本比率 | 68.0% | 前期末から0.4ポイント上昇 |
| 年間配当予想 | 34円 | 前期と同額 |
| 配当の内訳 | 中間17円、期末17円 | 前期は中間15円、期末19円 |
現金及び預金は税金、賞与、配当金の支払いなどで前期末から減少した。設備投資による有形固定資産の増加もあり、台湾の新工場関連ではリース債務が増えている。配当予想に変更はなく、自社株買いの発表も短信には記載されていない。
戦略トピック
モスは2026年7月31日、和食業態を運営するビー・ワイ・オーの全株式を取得し、子会社化した。取得対価は111億97百万円で、同社は2027年3月期第2四半期から連結対象となる予定だ。
- 対象ブランド: 「和食・酒 えん」「おぼん de ごはん」「だし茶漬け+肉うどん えん」などを展開する。
- 狙い: モスのフランチャイズ運営、店舗開発、物流・調達、海外事業の基盤と、ビー・ワイ・オーの和食ブランドや店舗運営ノウハウを組み合わせる。
- 期待する効果: 新規出店やフランチャイズ展開の加速、共同販促・共同調達による収益力向上、海外展開機会の拡大を目指す。
- 費用など: 取得関連のアドバイザリー費用等は概算1億47百万円。のれんの金額や償却期間は現時点で確定していない。
今回の買収は、既存のハンバーガー事業に依存しない外食ポートフォリオを広げる一手となる。買収後はブランドの個性を保ちながら、調達や出店、海外展開で具体的な相乗効果を出せるかが問われる。
リスクと課題
第1四半期は売上が伸びても利益が大きく減少し、コスト上昇への対応が課題として表れた。会社は業績見通しについて、さまざまな要因で実績が予想と異なる可能性があると説明している。
- 原材料費の上昇: 食材価格の高騰が国内モスバーガー事業の利益を圧迫した。価格改定や商品構成の工夫で、客数を維持しながらコストを吸収できるかが焦点。
- 店舗運営コスト: 家賃や建築費の高騰が続くと、新規出店の採算性や既存店の利益に影響する。会社は高収益モデルの開発や低収益店舗の閉鎖を進める。
- 海外事業の収益改善: 海外売上高は増えたものの、セグメント利益は大幅に減少した。既存国の店舗収益力を高め、台湾新工場やグローバル調達を着実に成果へつなげる必要がある。
- 買収後の統合と投資負担: ビー・ワイ・オーの連結により事業機会が広がる一方、統合費用や投資負担が発生する可能性がある。今期業績への影響はまだ確定していない。
- 店舗人材・生産性: 人手不足を見据え、セルフレジや注文デジタル化を進めている。導入効果が人員配置やサービス品質の改善に結び付くかが課題となる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
3,665円
最新終値(2026/10/23)
4,220円+15.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#モス#決算#決算分析#四半期決算#外食#原材料費高騰#モスバーガー#ビー・ワイ・オー買収
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コメント
国内の既存店売上高と客数が伸びている点は、ブランドの集客力を示す明るい材料です。ただ、増収が利益の回復に結び付かなかったため、値上げだけに頼らず、商品構成や調達、店舗運営の改善でコスト増を吸収できるかが重要です。
ビー・ワイ・オーの買収は、和食ブランドを取り込んで成長の幅を広げる戦略として注目されます。買収額に見合う出店・調達面の相乗効果を示せるか、そして海外事業の収益改善と並行して投資負担を管理できるかを追いたい決算です。
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