奥村組、2027年3月期第1四半期決算、営業減益も経常増益

奥村組の2027年3月期第1四半期決算は、建築の大型工事が前期に完了した反動で売上高が前年同期比6.3%減の653億円、営業利益は36.5%減の26億円となりました。一方、子会社の為替予約評価益などで経常利益は32.2%増の52億円。通期予想は据え置き、本業の減益を為替要因が補う形となっています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 654億円 | -6.3% | 3,040億円 | 22% |
| 営業利益 | 26億円 | -36.5% | 205億円 | 13% |
| 純利益 | 34億円 | -7.1% | 154億円 | 22% |
| 営業利益率 | 4.0% | |||
この決算のポイント
- 1建築の大型工事が前期に完了した反動で、売上高は前年同期比6.3%減の653億円。
- 2営業利益は36.5%減の26億円。売上総利益の減少と販管費の増加が響いた。
- 3石狩バイオエナジーの為替予約評価益などで、経常利益は32.2%増の52億円。
- 4土木事業の売上高は22.0%増の289億円、営業利益は特定の海外工事の損失で29.1%減。
- 5通期業績予想は据え置き。年間配当予想は前期比3円増の300円。
業績のポイント
奥村組(株式会社奥村組)は2027年3月期第1四半期、売上高が前年同期比6.3%減の653億円、営業利益は36.5%減の26億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は7.1%減の34億円でした。経常利益は32.2%増の52億円と、営業利益とは異なる動きです。
- 売上高: 建築事業の大型工事が前期に竣工した反動などで減少しました。
- 営業利益: 売上総利益が9.8%減り、販売費及び一般管理費は前年同期の53億円から59億円に増加しました。
- 経常利益: 石狩バイオエナジーの為替予約評価益14億円を営業外収益に計上し、前年同期の為替予約評価損もなくなりました。
- 純利益: 前年同期にあった非支配株主の損失が当期は利益に転じたこともあり、親会社株主に帰属する利益は7.1%減にとどまりました。
本業の減益を為替要因が補う決算です。建設投資は公共・民間とも底堅い一方、労務費の上昇や資材価格・供給への懸念が続いています。営業利益の回復には、売上高の持ち直しだけでなく、工事採算の改善と販管費の抑制が焦点となります。
セグメント別動向
主力の土木事業は増収ながら減益、建築事業は減収ながら増益でした。前年同期比は、当期から変更されたセグメント区分に基づく比較です。
土木事業は売上高が前年同期比22.0%増の289億円、営業利益は29.1%減の14億円でした。繰越工事では追加工事の獲得や原価低減で採算が改善したものの、特定の海外大型工事で多額の損失を計上しました。受注工事高も27.8%減の160億円となっています。
建築事業は売上高が25.1%減の329億円でしたが、営業利益は1.2%増の19億円でした。前期からの繰越工事で追加工事を獲得し、原価低減も進んだことが利益を支えました。一方、受注工事高は67.1%減の88億円でした。
- 不動産事業: 売上高は13.2%増の15億円、営業利益は7.8%減の6億円でした。
- インフラ運営事業等: 石狩バイオエナジーが運転を再開し、売上高は376.4%増の13億円。ただし稼働率の低さと追加メンテナンス費用で、営業損失は前年同期の6億円から14億円に拡大しました。
- 機械事業: 売上高は13.8%増の4億円で、営業損益は前年同期の損失から4,100万円の黒字に転じました。
奥村組は2030年に向け、不動産や新事業を通じた事業領域の拡大と収益基盤の強化を掲げています。今四半期からセグメントを5区分に変更したのも、事業ごとの業績管理を見直す動きです。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 土木事業 | 289億円 | 44% | 15億円 | 5.1% |
| 建築事業 | 330億円 | 50% | 19億円 | 5.9% |
| 不動産事業 | 15億円 | 2% | 6億円 | 42.6% |
| インフラ運営事業等 | 14億円 | 2% | -1,477百万円 | -108.1% |
| 機械事業 | 5億円 | 1% | 41百万円 | 8.9% |
| その他 | 2億円 | 0% | 33百万円 | 21.0% |
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、2026年5月の公表値から変更ありません。売上高は前期比1.0%減の3,040億円、営業利益は28.7%増の205億円、親会社株主に帰属する当期純利益は16.1%減の154億円を見込みます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,040億円 | 3,040億円 |
| 営業利益 | 205億円 | 205億円 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 154億円 | 154億円 |
第1四半期の通期予想に対する進捗率は、売上高が約21.5%、営業利益が約12.8%、純利益が約22.3%です。営業利益の進捗は売上高や純利益を下回っており、会社予想の達成には、今後の工事進行に伴う利益の積み上がりが重要になります。
会社は、為替差損益や石狩バイオエナジーの為替予約評価損益を業績予想に織り込んでいないと説明しています。為替相場によって営業外損益が変動するため、経常利益の着地は本業の採算だけでは判断できません。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比203億円減の4,205億円、自己資本比率は前期末の44.7%から45.6%に上昇しました。年間配当予想は300円で、前期実績の297円から3円増える計画です。
| 項目 | 2027年3月期第1四半期末・予想 | 比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 4,205億円 | 前期末比203億円減 |
| 自己資本比率 | 45.6% | 前期末比0.9ポイント上昇 |
| 中間配当予想 | 150円 | 前期実績110円 |
| 期末配当予想 | 150円 | 前期実績187円 |
| 年間配当 | 300円 | 前期実績297円から3円増 |
総資産の減少には、受取手形・完成工事未収入金などの減少が影響しました。純資産も配当金の支払いなどで前期末から52億円減っていますが、総資産の縮小により自己資本比率は上昇しています。
四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、営業・投資・財務キャッシュフローの実績は短信から確認できません。今回の短信に自社株買いの発表はなく、譲渡制限付株式報酬として自己株式を処分したことが記載されています。
リスクと課題
会社は、建設需要が底堅い一方で、労務費や資材の価格・供給、為替相場などに注意が必要としています。個別工事の採算や子会社の財務状況も、利益と資金繰りを左右する論点です。
- 労務費・資材価格: 人手不足による労務費上昇や資材供給の制約が続けば、工事原価が膨らみ、利益率を押し下げるおそれがあります。
- 海外大型工事の採算: 土木事業では特定の海外工事で多額の損失を計上しました。追加損失が生じれば、土木事業や連結営業利益の下振れにつながります。
- 石狩バイオエナジーの稼働・財務: 運転再開後も稼働率が低く、追加メンテナンス費用が発生しました。同社のノンリコース借入金では財務制限条項への抵触が確認され、奥村組は資金繰り支援のため追加融資を契約しています。
- 為替変動: 為替差損益や為替予約評価損益は通期予想に織り込まれておらず、相場次第で営業外損益が大きく動く可能性があります。
石狩バイオエナジーについて、債権者から期限の利益喪失に関わる条項の権利行使は受けていないと会社は説明しています。ただし、稼働率の改善と財務制限条項への対応は、今後も確認が必要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
5,790円
最新終値(2026/10/23)
5,240円-9.5%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#奥村組#決算#決算分析#四半期決算#建設業#営業減益#為替予約評価益#土木事業#配当
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コメント
営業利益の減少に対し、為替予約評価益で経常利益が増えた点は、決算の見た目と本業の勢いを分けて読む必要があることを示しています。とくに海外土木工事の損失と石狩バイオエナジーの稼働・財務問題は、規模だけでなく利益の安定性という面からも注視したいところです。
建築事業は売上高が減る中でも、繰越工事の採算改善で営業増益を確保しました。今後は受注の回復に加え、工事の選別や原価管理でこの採算改善を継続できるかが、通期の営業利益予想を達成するうえで重要です。
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株式会社奥村組
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