新日本空調、2027年3月期第1四半期決算、増収も営業減益、売却益で純利益増

新日本空調の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、完成工事高は前年同期比15.9%増の355億円となった一方、営業利益は51.6%減の9億円で、増収減益でした。政策保有株式の売却益を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する四半期純利益は73.4%増の27億円です。資機材価格や労務費の上昇が利益を圧迫するなか、通期予想は据え置きました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 355億円 | +15.9% | 1,600億円 | 22% |
| 営業利益 | 10億円 | -51.6% | 160億円 | 6% |
| 純利益 | 27億円 | +73.4% | 128億円 | 21% |
| 営業利益率 | 2.7% | |||
この決算のポイント
- 1完成工事高は前年同期比15.9%増の355億円、受注工事高は6.7%減の576億円
- 2営業利益は51.6%減の9億円、完成工事総利益の減少と販管費の増加が響く
- 3政策保有株式の売却益26億円を計上し、四半期純利益は73.4%増の27億円
- 4繰越工事高は前年同期比8.8%増の1,708億円、原子力施設設備工事は30.9%増
- 5通期予想は売上高1,600億円、営業利益160億円で据え置き、年間配当は120円を予定
業績のポイント
新日本空調(正式社名:新日本空調株式会社)の第1四半期は、完成工事高が前年同期比15.9%増の355億円となった一方、営業利益は51.6%減の9億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は73.4%増の27億円でした。増収でも本業は減益、株式売却益が純利益を押し上げました。
営業利益の前年差を押し下げた主な要因は、次の通りです。
- 完成工事総利益の減少: 完成工事高は伸びたものの、完成工事原価の増加で粗利益が縮小しました。
- 販売費及び一般管理費の増加: 人件費などを含む販管費が前年同期を上回り、営業利益をさらに圧迫しました。
建設業界では首都圏の再開発や製造業の設備投資が堅調ですが、資機材価格、労務費、運搬費の上昇が続いています。純利益の増加は本業の収益改善を示すものではなく、政策保有株式の売却益による一時的な押し上げを分けて見る必要があります。
- 前年同期20億円
- 粗利益減-6億円
- 販管費増-4億円
- 当期10億円
セグメント別動向
新日本空調は設備工事事業のみの単一セグメントで、セグメント別の損益は開示していません。工事の種類別では、一般設備工事の受注が前年同期を下回る一方、原子力施設設備工事の受注や繰越工事高は増加しました。
| 工事区分・指標 | 前年同期(百万円) | 当期(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 受注工事高・一般設備 | 56,674 | 52,134 | -8.0% |
| 受注工事高・原子力施設 | 5,035 | 5,429 | +7.8% |
| 完成工事高・一般設備 | 29,438 | 34,133 | +15.9% |
| 完成工事高・原子力施設 | 1,193 | 1,380 | +15.7% |
| 繰越工事高・合計 | 156,946 | 170,796 | +8.8% |
完成工事高の伸びには、海外の一般設備工事が前年同期比117.4%増えたことも寄与しました。一方、受注工事高の合計は6.7%減で、一般設備工事の減少を原子力施設設備工事の増加だけでは補えませんでした。繰越工事高は積み上がっており、今後の完成工事高を支える基盤となる一方、受注の持続性や工事採算の確保が焦点です。
- 一般受注-8.0%
- 原子力受注+7.8%
- 一般完成+15.9%
- 原子力完成+15.7%
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比131億円減の1,222億円、自己資本比率は前期末の61.0%から66.2%に上昇しました。政策保有株式の売却を進め、売却益を特別利益に計上しています。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末・予想 | 増減・前年比 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 135,391 | 122,227 | 前期末比 -13,164 |
| 自己資本比率 | 61.0% | 66.2% | +5.2ポイント |
| 中間配当(円) | 40 | 60(予想) | +20 |
| 期末配当(円) | 70 | 60(予想) | -10 |
| 年間配当(円) | 110 | 120(予想) | +10 |
総資産の減少には、現金預金や受取手形・完成工事未収入金等の減少が影響しました。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの内訳は確認できません。年間配当は前期実績から10円増の計画で、自己株式取得の発表は短信に記載されていません。
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、2026年5月公表値から変更ありません。会社は売上高1,600億円、営業利益160億円、親会社株主に帰属する当期純利益128億円を見込み、いずれも前期比で増加する計画です。
| 指標 | 今回予想 | 前回予想との比較 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 160,000 | 変更なし | +3.3% |
| 営業利益(百万円) | 16,000 | 変更なし | +5.8% |
| 経常利益(百万円) | 16,500 | 変更なし | +3.9% |
| 当期純利益(百万円) | 12,800 | 変更なし | +5.3% |
第1四半期の営業利益は前年同期を下回りましたが、会社は業績予想を維持しました。四半期の利益には工事の進捗や完成時期が影響するため、今後は繰越工事を着実に売上へ結びつけるとともに、資機材価格や労務費の上昇を吸収できる採算管理が計画達成の鍵になります。
戦略トピック
新日本空調は、2026年度を初年度とする4カ年の中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅢ」を始動しました。既存事業の収益力強化に加え、デジタルやグリーン分野、人材・施工体制の強化、価値共創、将来事業の創造を掲げています。
- デジタルフロンティア戦略: デジタル技術やAIの活用による業務プロセスの高度化、生産性向上を進めます。
- グリーンイノベーション戦略: 成長分野の事業機会を取り込み、環境関連の取り組みを強化します。
- 人的資本・施工体制: 就業環境の整備や処遇改善を通じ、技術者・技能労働者の確保と定着を目指します。
- 資本政策: 政策保有株式の削減を進め、今回の四半期には売却益を特別利益に計上しました。
建設業界では人手不足やサプライチェーンの制約が続き、受注量だけでなく施工能力と採算の両立が重要です。計画に掲げたデジタル化や人材確保が、利益率の回復や成長分野での受注につながるかが中期的な評価ポイントです。
リスクと課題
会社は、建設需要が堅調な一方で、コスト上昇や人材不足、サプライチェーンの制約が続くと説明しています。第1四半期の利益動向や受注の変化も踏まえると、主な確認点は次の通りです。
- 資機材・労務費の上昇: 原材料や資機材、労務費、運搬費の上昇が続けば、工事原価が膨らみ、採算や利益率を押し下げる可能性があります。
- 技術者・技能労働者の不足: 担い手の確保が難しい場合、施工体制の維持や工事の進捗に影響し、受注機会を十分に生かせないおそれがあります。
- サプライチェーンの制約: 資材の調達や納期に制約が生じると、工期や完成工事高に影響する可能性があります。
- 受注の変動: 一般設備工事の受注が前年同期を下回りました。繰越工事高の増加を今後の売上につなげられるか、受注の回復と工事採算を合わせて見る必要があります。
通期予想は据え置かれていますが、第1四半期は増収と営業減益が同時に表れました。今後の決算では、受注残の消化だけでなく、コスト上昇を価格転嫁や施工効率の改善でどこまで補えるかが重要です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
3,390円
最新終値(2026/10/23)
2,948円-13.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#新日本空調#決算#決算分析#四半期決算#設備工事#営業減益#政策保有株式#配当増額#SNK Vision 2030
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コメント
売上高と繰越工事高は伸びていますが、営業利益は大きく減少しており、工事量の拡大がそのまま利益成長につながっていない点が気になります。純利益の増加は株式売却益によるため、本業の回復と混同しない読み方が必要です。
一方、年間配当の増額計画や自己資本比率の上昇は、株主還元と財務の安定性を示す材料です。投資家は今後、受注高の持ち直しに加え、資材・労務費上昇下で営業利益率を改善できるかを注視したいところです。
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