高砂香料、2027年3月期第1四半期決算、増収も営業減益、純利益は14.6%増

高砂香料の2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比14.2%増の661億円、営業利益は2.0%減の38億円、純利益は14.6%増の32億円でした。飲料向け香料やフレグランスが伸びて増収となる一方、販管費の増加などで営業利益は小幅減。ファインフレグランスの好調や原材料価格の低下も寄与し、純利益は増えました。売上の伸びが利益に結び付くかが焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 662億円 | +14.2% | 2,400億円 | 28% |
| 営業利益 | 39億円 | -2.0% | 110億円 | 35% |
| 純利益 | 32億円 | +14.6% | 94億円 | 35% |
| 営業利益率 | 5.8% | |||
この決算のポイント
- 1フレーバー部門は飲料向けが堅調で、売上高が前年同期比8.7%増、営業利益は2.2%増。
- 2フレグランス部門はファインフレグランスとホームケアが好調で、営業利益は137.7%増。
- 3米州は増収ながら営業利益が72.7%減。売上総利益率の低下が利益を圧迫。
- 42027年3月期の通期予想は据え置き、売上高2400億円、営業利益110億円。
- 5年間配当予想は株式分割考慮後で52円。前期の年間配当と同水準。
業績のポイント
高砂香料(高砂香料工業)は、2027年3月期第1四半期に増収となった一方、営業利益は小幅に減りました。売上高は前年同期比14.2%増、営業利益は2.0%減、親会社株主に帰属する四半期純利益は14.6%増で、金額ではそれぞれ前年同期から82億円増、0.8億円減、4.1億円増です。
- 売上の伸び: 飲料向け香料やフレグランスの販売が好調で、売上高は661億円に拡大しました。
- 営業利益の下押し: 売上総利益は前年同期から約19億円増えましたが、販売費及び一般管理費も約20億円増え、営業利益は前年同期を下回りました。
- 経常利益と純利益: 経常利益は42億円で5.6%増。為替差益の計上や営業外費用の減少などがあり、純利益も増加しました。
香料業界は世界経済の成長に沿って堅調に推移した一方、競合他社との厳しい競争が続いています。中国・東南アジアの成長に加え、欧米市場にも底堅さが見込まれる環境で、今後は増収を利益の伸びにつなげられるかが注目点です。
セグメント別動向
フレーバー部門は売上高が前年同期比8.7%増、営業利益は2.2%増でした。高砂香料とドイツ子会社で飲料向け香料が堅調に推移し、安定した利益成長を確保しました。
フレグランス部門は売上高が22.2%増、営業利益が137.7%増となりました。フランス子会社のファインフレグランス向け、シンガポール子会社のホームケア向けが好調で、原材料価格の低下も利益を押し上げました。
アロマイングリディエンツ部門は売上高が18.0%増となった一方、海外子会社の減収と原価率の悪化で営業利益は24.9%減でした。ファインケミカル部門は主要顧客への医薬品中間体の出荷再開などで売上高が19.6%増となりましたが、高砂香料での減収により営業損失は5億円に拡大しました。
地域別ではアジアが利益を伸ばした一方、米州と欧州は減益でした。米州では売上総利益率の低下、欧州では新基幹システム導入に伴う販管費の増加が響いており、地域ごとに増収の利益への反映に差が出ています。
- 日本+21.1%
- 米州-72.7%
- 欧州-14.0%
- アジア+25.6%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 217億円 | 33% | 11億円 | 5.0% |
| 米州 | 169億円 | 26% | 1億円 | 0.9% |
| 欧州 | 128億円 | 19% | 7億円 | 5.1% |
| アジア | 148億円 | 22% | 22億円 | 14.7% |
財務状況と資本政策
総資産は前期末から139億円増の2851億円となり、自己資本比率は55.2%でした。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されておらず、営業・投資・財務キャッシュ・フローの金額は開示されていません。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 2,851億円 | 前期末比139億円増 |
| 純資産 | 1,597億円 | 前期末比36億円増 |
| 自己資本比率 | 55.2% | 前期末の56.6%から低下 |
| 中間配当予想 | 26円 | 1株当たり |
| 期末・年間配当予想 | 26円・52円 | 年間では前期と同水準 |
資産の増加では、受取手形及び売掛金が前期末から約103億円増えました。負債も短期借入金や買掛金の増加を主因に拡大しており、自己資本比率は前期末より低下しています。年間配当予想に変更はなく、2025年10月の株式分割を考慮すると、前期と同じ年間52円を見込んでいます。自社株買いの発表はありません。
通期見通し
高砂香料は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。売上高は前期比6.6%増、営業利益は35.3%増を見込む一方、親会社株主に帰属する当期純利益は1.3%減の計画です。
| 項目 | 5月15日公表予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,400億円 | 2,400億円 | +6.6% |
| 営業利益 | 110億円 | 110億円 | +35.3% |
| 経常利益 | 115億円 | 115億円 | +20.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 94億円 | 94億円 | -1.3% |
今回の短信では、5月15日に公表した予想から修正はありません。第1四半期は増収ながら営業減益であり、通期の大幅な営業増益を実現するには、フレグランスなど好調な事業の継続に加え、販管費や原価率の管理が重要になります。中東情勢や原油価格、為替市場の変化が業績予想に影響する可能性も会社は挙げています。
リスクと課題
世界市場の成長を取り込む機会がある一方、原材料価格や為替、地域ごとの利益率の変化が業績を左右します。会社が示した環境認識と今回の地域別・部門別の実績から、次の点に注意が必要です。
- 中東情勢と原油価格: 原油価格の上昇は景気や物価の下押し要因となり、金融・為替市場を通じて事業環境に影響する可能性があります。
- 為替変動: 為替の動きは海外売上高や利益の円換算額に影響します。会社は今後の市場への波及を注視しています。
- 競争の激化: 香料業界では競合他社との厳しい競争が続いており、販売の伸びや利益率を維持できるかが課題です。
- 原価率・販管費の上昇: アロマイングリディエンツでは原価率悪化、米州では売上総利益率の低下、欧州ではシステム導入に伴う販管費増加が利益を圧迫しました。
中国や東南アジアの成長、欧米市場の底堅さは追い風となる一方、売上の拡大が利益に直結するとは限りません。地域・製品ごとの採算改善と、費用増を吸収する運営が通期計画の達成を左右します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/4)
1,180円
最新終値(2026/10/23)
1,306円+10.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#高砂香料#決算#決算分析#四半期決算#香料業界#フレグランス#営業減益#通期業績予想#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
売上高の伸びに対し営業利益がわずかに減った点は、決算の見どころです。増収分を販管費の増加が吸収しており、売上拡大だけでなくコスト管理が重要になっています。
一方、フレグランス部門は販売好調に原材料価格の低下も重なり、利益が大きく伸びました。地域別にはアジアが増益をけん引する半面、米州の利益率低下が目立ちます。通期予想は据え置かれているため、次の四半期で米州の採算が改善するか、そしてフレグランスの勢いが続くかを確認したいところです。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/takasago/report/2027-Q1
関連記事
競合他社の最新記事
- 決算解説三菱ケミカル2027年3月期 第1四半期三菱ケミカル、2027年3月期第1四半期決算、コア営業利益2倍で中間予想を上方修正

- 決算解説富士フイルム2027年3月期 第1四半期富士フイルム、2027年3月期第1四半期決算、増収も減益、通期売上高を上方修正

- 決算解説旭化成2027年3月期 第1四半期旭化成、2027年3月期第1四半期決算、営業利益51.5%増で全セグメント増収増益

- 決算解説東レ2027年3月期 第1四半期東レ、2027年3月期第1四半期決算、営業利益72%増で中間決算を上方修正

- 事業譲渡富士フイルム9月9日富士フイルム、刷版製造拠点を日本に集約し中国売却 グラフィック事業の収益性向上へ

- 株式譲渡東レ5月29日東レ、曽田香料の株式を韓国サムヤンに譲渡 事業ポートフォリオ再構築の一環

掲載企業

高砂香料工業株式会社
東証 4914
これが最新の決算解説です





