テクマトリックス、2027年3月期第1四半期決算、売上19%増で最高更新
テクマトリックスの決算を分析すると、2027年3月期第1四半期は売上収益が前年同期比19.0%増、営業利益が26.4%増、親会社株主に帰属する利益が24.3%増となり、四半期売上高は過去最高でした。クラウド型セキュリティ製品の需要拡大や、サブスクリプション収益の積み上がりが業績を押し上げました。通期予想は据え置く一方、決算発表日に最大32億円の自社株買いと取得株の消却を決めました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 189億円 | +19.0% | 818億円 | 23% |
| 営業利益 | 16億円 | +26.4% | 82億円 | 20% |
| 純利益 | 11億円 | +24.3% | 54億円 | 20% |
| 営業利益率 | 8.5% | |||
この決算のポイント
- 1情報基盤事業はクラウド型セキュリティ製品が伸び、売上収益が前年同期比20.9%増
- 2アプリケーション・サービス事業は増収となり、前年同期の営業赤字から黒字に転換
- 3医療システム事業は売上収益が16.7%増、メドメインを連結子会社化して病理AIを強化
- 4年間配当予想は前期比2円増の54円、自社株を最大230万株取得し全株消却へ
- 5通期予想は据え置き、売上収益818億円、営業利益82億円を見込む
業績のポイント
テクマトリックス(正式名称:テクマトリックス株式会社)は2027年3月期第1四半期、売上収益が前年同期比19.0%増、営業利益が26.4%増、親会社の所有者に帰属する四半期利益が24.3%増となりました。四半期売上高は過去最高を更新し、増収増益で期初を滑り出しました。
営業利益の増加を支えた主な要因は、売上総利益の増加です。一方、人件費などを含む販売費及び一般管理費も増え、利益の伸びを一部押し下げました。
売上総利益の拡大は、サイバーセキュリティ製品やクラウドサービスの販売拡大、受注残からの売上計上が寄与しました。生成AIの活用が広がるなか、機密情報保護やAIガバナンスへの関心が高まり、企業のセキュリティ投資が追い風になっています。国内では省力化・デジタル化投資も底堅く、複数事業でサブスクリプション収益が積み上がりました。
- 前年同期12.7億円
- 売上総利益+6.2億円
- 販管費増-3.1億円
- その他+0.3億円
- 当期16.1億円
セグメント別動向
情報基盤事業は売上収益が前年同期比20.9%増となり、四半期として過去最高を更新しました。クラウド型セキュリティ製品の新規受注と更新が伸び、AIを活用したSOC業務自動化ソリューションの提案も進みました。メールセキュリティや脆弱性管理の導入実績も増え、販管費の増加を事業の成長で吸収しました。
アプリケーション・サービス事業は売上収益が前年同期比11.8%増となり、前年同期の営業損失から黒字に転換しました。CRMやソフトウェア品質保証ではサブスクリプション契約が積み上がり、車載ソフトウェア向けテストツールの需要も堅調でした。教育分野では新規学校への導入が売上を押し上げた一方、製品開発や人員増強などの投資を続けています。
医療システム事業は売上収益が前年同期比16.7%増となり、営業利益も前年同期を上回りました。医用画像管理システムの契約施設増加とクラウド型製品の販売拡大が寄与し、病理診断支援AIのメドメインも連結対象に加わりました。同社は投資段階にあり利益を押し下げましたが、既存事業の増収と収益性改善で吸収しています。
3事業とも増収となり、なかでも情報基盤事業の伸びが全体をけん引しました。アプリケーション・サービス事業は教育分野などで先行投資を続けるため、売上の伸びがそのまま利益に結びつくかが今後の焦点です。
- 情報基盤+20.9%
- アプリ・サービス+11.8%
- 医療システム+16.7%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 情報基盤事業 | 139億円 | 74% | 15億円 | 10.7% |
| アプリケーション・サービス事業 | 26億円 | 14% | 47百万円 | 1.8% |
| 医療システム事業 | 24億円 | 13% | 66百万円 | 2.8% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末から1.2%増え、自己資本比率は21.4%でした。現金及び現金同等物は前期末より47億円減少し、メドメインの株式取得などが主な要因です。
| 項目 | 2026年3月末・前期実績 | 2026年6月末・今回 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 1,215億円 | 1,229億円 | 前期末比1.2%増 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 21.7% | 21.4% | 前期末から0.3ポイント低下 |
| 現金及び現金同等物 | 358億円 | 310億円 | 前期末比47億円減 |
| 年間配当 | 52円 | 54円予想 | 前期比2円増 |
| 自社株買い | なし | 最大32億円 | 上限230万株、取得株は消却予定 |
会社は第1四半期のキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業キャッシュ・フローや投資キャッシュ・フローは確認できません。配当予想は中間22円、期末32円で、前期の中間21円、期末31円からそれぞれ1円引き上げる計画です。自社株買いは資本効率の改善と株主還元の拡充を目的に、2026年8月から2027年2月まで実施し、取得した株式は2027年3月末に消却する方針です。
リスクと課題
サイバーセキュリティやクラウド需要は成長の追い風ですが、外部環境の不透明さや先行投資の負担には注意が必要です。会社が挙げる事業環境と今回の決算に表れた影響は次の通りです。
- 景気・政策の不透明感: 原材料・エネルギー価格の高止まり、中東情勢、金利上昇、海外経済や通商政策の不透明さが続き、企業のIT投資判断に影響する可能性があります。
- サイバー攻撃の高度化: ランサムウェアなどの脅威が深刻化する一方、顧客の機密情報保護やAIガバナンスへの要求も高まっています。需要拡大の好機であると同時に、製品・サービスの対応力が問われます。
- 成長投資による費用増: アプリケーション・サービス事業では開発、マーケティング、エンジニアや営業人員の増強を続け、教育分野などで営業損失が拡大しました。投資を継続収益や利益成長につなげられるかが課題です。
- 医療AIの事業化: メドメインは投資段階で、病理診断支援AIの臨床利用や医療機器承認への対応には時間と費用がかかる可能性があります。連携によるサービス開発を進めながら、収益化の進捗を見極める必要があります。
また、今期はメドメイン取得に伴いのれんが増えています。買収後の技術・サービス統合を進め、期待する事業拡大につなげられるかも中期的な確認点です。
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年5月8日に公表した内容から変更ありません。売上収益は前期比14.0%増、営業利益は5.7%増、親会社の所有者に帰属する当期利益は3.9%増を見込みます。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績との比較 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 818億円 | 818億円 | +14.0% |
| 営業利益 | 82億円 | 82億円 | +5.7% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 53億8,000万円 | 53億8,000万円 | +3.9% |
前回予想と今回予想が同じなのは、会社が予想を据え置いたためです。第1四半期は増収増益で、セキュリティ製品やストック型サービスの受注も積み上がりましたが、会社は通期予想を引き上げていません。第2四半期累計の予想は売上収益390億円、営業利益34億円で、下期を含めて通期計画を達成できるか、受注の売上化と先行投資の回収が焦点になります。
戦略トピック
テクマトリックスは2026年4月30日、病理診断支援AIを手掛けるメドメインを連結子会社化しました。従来保有していた持分に加えて株式を取得し、議決権比率は72.05%となりました。
- 病理AIと医療クラウドの統合: メドメインの病理診断関連技術と、PSPが持つクラウド型PACSや遠隔画像診断の技術を組み合わせ、デジタル病理診断プラットフォームの開発・サービス化を目指します。
- 臨床利用に向けた体制づくり: 病理診断支援AIの臨床利用を見据え、医療機器承認への対応や、デジタル病理データの医学研究への活用を進める方針です。
- 短期的には投資負担: 取得後のメドメインは売上収益を計上した一方、四半期損失となりました。会社は投資段階の影響を期初計画に織り込んでおり、既存医療事業の成長と合わせて統合効果を狙います。
今回の連結子会社化は、医療システム事業のクラウドシフトに病理AIを加え、新たな市場領域を取り込むための一手です。買収後の売上規模だけでなく、製品開発や承認対応がどの段階で継続収益に結びつくかが、今後の評価を左右します。
受注・ストック収益
第1四半期末の受注残高は合計1,095億円で、売上収益の先行指標として大きな規模を保っています。会社単体などを対象に集計したストック比率は、3事業合計で84.6%でした。
| セグメント | 受注高(億円) | 受注残高(億円) | ストック比率 |
|---|---|---|---|
| 情報基盤事業 | 163 | 812 | 89.2% |
| アプリケーション・サービス事業 | 37 | 82 | 74.6% |
| 医療システム事業 | 30 | 201 | 71.3% |
| 合計 | 229 | 1,095 | 84.6% |
情報基盤事業ではクラウド型セキュリティ製品の新規・更新受注が伸び、アプリケーション・サービス事業ではCRMや品質保証のサブスクリプションが積み上がりました。医療システム事業もクラウド型PACSの契約施設増加が続いています。受注残の消化時期やストック比率の集計範囲には違いがあるため、売上収益と同じものではありませんが、継続収益を積み上げる事業構造が強まっている点は注目されます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/31)
2,042円
最新終値(2026/10/23)
3,485円+70.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#テクマトリックス#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#サイバーセキュリティ#メドメイン#自社株買い#ストック収益
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コメント
売上高の過去最高更新に加え、利益も前年同期を上回っており、セキュリティ需要と継続課金型サービスの強さが表れた決算です。特に受注残と高いストック比率は、短期の案件計上だけに頼らない収益基盤を示しています。
一方、医療AIや教育分野では先行投資が続き、買収後の統合効果もこれからです。通期予想を据え置いた判断は慎重で、今後は受注残が計画通り売上に変わるか、投資負担を吸収しながら利益率を維持できるかを見たいところです。
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掲載企業
テクマトリックス株式会社
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