富山第一、2027年3月期第1四半期決算、経常利益62%増で株式売却益も寄与

富山第一の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、経常収益は前年同期比57.0%増の213億600万円、経常利益は62.4%増の109億700万円、純利益は56.5%増の76億9200万円と大幅な増収増益でした。貸出金利息や有価証券利息配当金に加え、株式等売却益が収益を押し上げました。一方、通期予想は据え置きで、株式売却益の変動や預金金利上昇による費用増が今後の焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 213億円 | +57.0% | — | — |
| 営業利益 | 109億円 | +62.4% | 180億円 | 61% |
| 純利益 | 77億円 | +56.5% | 130億円 | 59% |
この決算のポイント
- 1銀行業の経常収益は前年同期比56.5%増、経常利益は58.3%増と全体の増益をけん引
- 2預金等残高は前年同期末比300億5800万円増、貸出金残高も359億5100万円増加
- 3連結自己資本比率は6月末に13.14%と、前年同期末から0.25ポイント上昇
- 4年間配当予想は75円で前期実績84円を下回る一方、200万株の自己株式を取得
- 5通期の経常利益予想は180億円で前期比14.2%減、会社は5月公表値を据え置き
業績のポイント
富山第一(富山第一銀行)の第1四半期は、経常収益、経常利益、純利益がそろって前年同期を上回りました。利益の増加額を収益と費用の変化に分けると、次の通りです。
経常収益の増加には、資金運用収益と株式等売却益などの増加が寄与しました。特に株式等売却益を含むその他経常収益の伸びが大きく、預金利息や国債等債券売却損の増加による費用負担を補いました。業務粗利益も前年同期比5億2500万円増の82億1900万円となり、経費の増加を吸収して単体の業務純益は第1四半期として2年連続で最高益を更新しました。
利息収入と株式売却益が増益を主導した一方、株式売却益は市場環境によって振れやすい収益です。利益の伸びがそのまま毎四半期続くとは限らず、今後は本業の資金利益がどこまで増益を支えるかが焦点になります。
- 前年同期67.2億円
- 経常収益増+77.4億円
- 経常費用増-35.4億円
- 端数調整-0億円
- 当期109億円
セグメント別動向
銀行業が連結の増益をけん引し、リース業とその他も前年同期から利益を伸ばしました。セグメント別の経常収益の前年同期比は次の通りです。
銀行業は外部顧客向け経常収益が前年同期比56.5%増、セグメント利益は58.3%増でした。貸出金利息や有価証券利息配当金の増加に加え、株式等売却益が収益を押し上げました。単体でも資金利益が増え、経費の増加を上回る利益成長につながっています。
リース業は経常収益が52.6%増、セグメント利益は前年同期の25百万円から62百万円に増加しました。その他はクレジットカード業務、金銭貸付業務などを含み、経常収益は136.5%増、利益は45百万円から143百万円に伸びました。
銀行業の収益増は利息収入と有価証券関連収益が支えましたが、株式売却益などは継続性に注意が必要です。リース業やその他の増益も確認できるものの、連結業績に占める規模は銀行業が中心です。
- 銀行業+56.5%
- リース業+52.6%
- その他+136.5%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業 | 187億円 | 88% | 113億円 | 60.2% |
| リース業 | 22億円 | 10% | 62百万円 | 2.8% |
| その他 | 4億円 | 2% | 1億円 | 38.8% |
通期見通し
富山第一は2027年3月期の連結業績予想を据え置きました。第2四半期累計では増益を見込む一方、通期では経常利益、純利益とも前期実績を下回る計画です。
| 期間 | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 第2四半期累計予想 | 11,000 | 8,000 | +8.9%、+9.5% |
| 通期予想 | 18,000 | 13,000 | -14.2%、-13.7% |
前年比は各期間の経常利益、純利益の順です。会社は2026年5月12日に公表した予想から変更していません。第1四半期の利益は中間期予想に近づいていますが、株式等売却益などの市場要因を含むため、単純に四半期実績を年換算するのではなく、残る期間の利益推移を確認する必要があります。
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前期末比174億2300万円減の1兆6841億3700万円、連結自己資本比率は11.4%でした。補足資料の国内基準による連結自己資本比率は13.14%で、前年同期末から0.25ポイント上昇しています。
| 項目 | 2026年6月末・実績 | 比較対象 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1兆6841億3700万円 | 前期末比 -1.0% |
| 預金等残高 | 1兆4453億900万円 | 前年同期末比 +300億5800万円 |
| 貸出金残高 | 1兆440億6900万円 | 前年同期末比 +359億5100万円 |
| 年間配当予想 | 75円 | 前期実績84円 |
| 自己株式取得 | 200万株 | 取得額50億1200万円 |
株主還元では、2026年5月の取締役会決議に基づく自己株式取得を実施し、取得株式の一部である130万9700株を消却しました。年間配当予想は中間・期末それぞれ37円50銭で、前期実績から9円減る計画です。第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、現金収支の増減は確認できません。預金が増える一方で貸出金と有価証券は前期末から減少しており、資金運用や有価証券の入れ替えを含むバランスシートの動きにも注目が必要です。
リスクと課題
利益は大きく伸びましたが、株式等売却益や金利環境の変化に左右される面があります。会社は、実際の業績がさまざまな要因により予想と大きく異なる可能性があるとしています。
- 株式売却益の変動: 株式等売却益の増加が収益を押し上げましたが、市場環境や売却のタイミングにより、利益への寄与が変わる可能性があります。
- 預金金利の上昇: 預金利息は前年同期の7億3500万円から15億4700万円に増加しました。調達費用の伸びが貸出金利息などの増加を上回れば、資金利益を圧迫します。
- 有価証券の価格変動: 有価証券評価差額金などの変動を受け、四半期包括利益は前年同期比66.8%減の26億2400万円でした。評価損益の変化は純資産にも影響します。
- 貸出先の信用リスク: 貸出金残高が前年同期末より増える中、景気悪化などで取引先の返済力が弱まれば、信用コストや貸倒引当金が増えるおそれがあります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/31)
2,911円
最新終値(2026/10/23)
3,155円+8.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#富山第一#決算#決算分析#四半期決算#銀行業#増収増益#自己株式取得#配当予想#金利上昇
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コメント
富山第一の今回の増益は、貸出金・有価証券の利息収入が伸びたことに加え、株式等売却益が大きく寄与した点が特徴です。銀行業の本業収益も拡大している一方、四半期の利益成長率だけを通期の勢いとみなすのは慎重であるべきでしょう。
株主還元では自己株式取得を進めましたが、年間配当予想は前期実績を下回ります。今後は預金金利上昇による費用増を貸出金利息の伸びで吸収できるか、そして株式売却益に頼らない利益の持続力を確認したい決算です。
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