ウシオ、2027年3月期第1四半期決算、営業利益5倍超で黒字転換

ウシオの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比27.7%増、営業利益が410.5%増となり、親会社株主に帰属する四半期純損益も黒字に転じました。半導体や生成AI関連の需要回復に加え、ams OSRAMの光源事業買収効果、円安が売上を押し上げ、稼働改善や構造改革も利益を支えました。増収と採算改善が同時に進んだ決算ですが、通期予想は据え置かれています。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 490億円 | +27.7% | 2,100億円 | 23% |
| 営業利益 | 49億円 | +410.5% | 140億円 | 35% |
| 純利益 | 30億円 | — | 105億円 | 29% |
| 営業利益率 | 10.1% | |||
この決算のポイント
- 1Industrial Process事業は生成AI半導体関連の需要と買収効果で、売上高が前年同期比29.9%増。
- 2Visual Imaging事業は構造改革の効果もあり、セグメント利益が前年同期比290.9%増。
- 3通期売上高予想は2,100億円、営業利益予想は140億円で、5月公表値から変更なし。
- 4年間配当予想は70円で前期と同額。自己資本比率は前年度末の59.9%から59.8%へ小幅低下。
- 5総資産は前年度末比427億円増。主因は保有投資有価証券の含み益拡大。
業績のポイント
ウシオ(ウシオ電機)の2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比27.7%増、営業利益が410.5%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は30億28百万円となり、前年同期の純損失から黒字に転じました。営業利益率は10.1%で、前年同期の約2.5%から改善しています。
- 需要の回復: 半導体・電子デバイス関連ではパソコンやスマートフォンの需要が緩やかに回復し、設備投資も持ち直しました。生成AI向けサーバーやデータセンター関連の投資も追い風です。
- 買収効果と為替: ams OSRAM AGの光源事業買収が複数事業の増収に寄与しました。平均為替レートは米ドル160円と前年同期より15円の円安でした。
- 採算の改善: 光源事業の増収と稼働改善に加え、露光装置の需要増に伴う過去の評価損の戻し入れなどが利益を押し上げました。
- 前年の反動: 前年同期には事業構造改善費用36億5百万円などの特別損失がありました。純利益の黒字転換には、こうした前年の一時的な負担がなくなったことも影響しています。
需要回復に買収効果と採算改善が重なった一方、地域情勢や為替の先行きには不透明さが残ります。営業利益の増加要因は金額別に開示されていないため、利益の伸びが今後も続くかは、需要の持続性と買収事業の収益貢献を見極める必要があります。
セグメント別動向
主力のIndustrial ProcessとVisual Imagingが、売上と利益の拡大をけん引しました。Life ScienceとPhotonics Solutionも買収効果や収益性改善で増収増益となり、報告された各事業で利益が前年同期を上回っています。
Industrial Process事業は売上高が前年同期比29.9%増、セグメント利益が777.4%増でした。生成AI半導体関連で露光用ランプの販売が増え、光源事業の買収効果も寄与しました。直描式露光装置は伸びた一方、投影露光装置は受注が伸びても検収時期の影響で前年同期の販売を下回りました。
Visual Imaging事業は売上高が前年同期比25.8%増、セグメント利益が290.9%増でした。一般映像向けのハイエンドプロジェクターが堅調で、構造改革による収益性改善も利益を押し上げました。一方、レーザープロジェクターへの移行でランプ需要が減り、デジタルシネマプロジェクターの販売台数も前年同期を下回っています。
- Life Science事業: 売上高は前年同期比34.2%増、利益は98.6%増。光源事業の買収効果に加え、新規案件の投資対象を見極める取り組みが収益性改善に寄与しました。
- Photonics Solution事業: 売上高は前年同期比29.1%増、利益は109.2%増。半導体向けデバイス・モジュールが堅調で、案件の選択と集中も採算改善を支えました。
- その他事業: 売上高は前年同期比10.5%減でしたが、主に販売管理費の減少で前年同期の赤字から黒字に転じました。
成長の軸は半導体・生成AI関連と、映像演出向けの高付加価値製品です。買収効果が幅広い事業に表れた一方、ランプ需要の構造的な縮小や装置の検収時期が売上の振れにつながるため、製品構成の変化と受注の売上計上時期が引き続き焦点です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Industrial Process事業 | 206億円 | 42% | 29億円 | 13.9% |
| Visual Imaging事業 | 230億円 | 47% | 14億円 | 6.0% |
| Life Science事業 | 21億円 | 4% | 2億円 | 10.6% |
| Photonics Solution事業 | 30億円 | 6% | 5億円 | 15.8% |
| その他事業 | 3億円 | 1% | 29百万円 | 10.2% |
通期見通し
ウシオは2027年3月期の通期連結業績予想を、2026年5月14日に公表した内容から据え置きました。会社予想は売上高2,100億円、営業利益140億円、親会社株主に帰属する当期純利益105億円で、いずれも前期実績を上回る計画です。
| 項目(億円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(概算) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,100 | 2,100 | 約1,792 |
| 営業利益 | 140 | 140 | 約120 |
| 当期純利益 | 105 | 105 | 約80 |
前回予想と今回予想は同額で、会社は業績予想を修正していません。前期実績欄は、短信に示された前年比から算出して億円単位に丸めた概算です。第1四半期は大幅増益となりましたが、会社は今後の地政学リスクや為替変動などを踏まえ、現時点の見通しを維持したとみられます。
この先は、生成AI関連の半導体・サーバー投資が継続するか、買収した光源事業の収益貢献がどこまで広がるかが予想達成のポイントです。四半期の好調だけで上方修正を判断する段階ではなく、装置の検収時期や為替の影響を含め、次の四半期以降の進捗を確認したいところです。
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前年度末から427億54百万円増の3,738億32百万円となりました。自己資本比率は59.8%で、前年度末の59.9%からほぼ横ばいです。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 前年度末・前期比 |
|---|---|---|
| 総資産 | 3,738億32百万円 | +427億54百万円 |
| 純資産 | 2,234億51百万円 | +251億13百万円 |
| 自己資本比率 | 59.8% | 59.9% |
| 年間配当予想 | 70円 | 前期と同額 |
資産と純資産の増加は、主に保有投資有価証券の含み益拡大によるものです。現金及び預金は前年度末から減少しましたが、第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業・投資・財務活動別の資金増減は短信から確認できません。
年間配当予想は70円で前期と同額、配当予想の修正もありません。自己株式の残高は増えていますが、短信に自社株買いの実施や取得方針の説明はなく、資本政策の注目点は現時点では配当の維持と財務基盤の安定です。
リスクと課題
半導体・映像市場の回復は業績を支えていますが、地政学情勢や為替、製品の世代交代など、需要と採算を左右する不確定要素があります。会社が挙げる市場環境と各事業の説明から、主なリスクは次の通りです。
- 地政学リスク: 中東情勢に伴うエネルギー問題や日中関係の不安定化などが続いています。市場や顧客の投資判断が変化すれば、受注や生産に影響する可能性があります。
- 為替変動: 当四半期は前年同期より円安となり、売上を押し上げました。為替が反転すれば海外売上の円換算額や採算に逆風となるため、円安効果を持続的な成長と混同しない注意が必要です。
- 製品の世代交代: レーザープロジェクターの普及が進み、プロジェクター用ランプの販売は減少傾向です。新方式への移行が想定以上に進めば、既存ランプ事業の収益に影響します。
- 受注・検収の時期と稼働状況: 投影露光装置は需要や引き合いが伸びても、検収のタイミングで四半期売上が変動します。EUV光源の一部稼働停止による保守収入減少もあり、装置納入や顧客設備の稼働状況が業績の振れにつながります。
目先の利益成長だけでなく、買収事業の定着と、ランプから装置・高付加価値製品へ収益の柱を広げられるかが中長期の課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/14)
4,086円
最新終値(2026/10/23)
3,292円-19.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ウシオ#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#半導体関連#生成AI#ams OSRAM#配当
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コメント
営業利益が大きく伸びた点は前向きですが、前年同期には事業構造改善費用などの負担があり、利益の伸び率だけでは実力を測りにくい決算です。需要回復、買収効果、稼働改善が重なった結果として、利益率が改善したかを次の四半期でも確認したいところです。
特に注目したいのは、半導体関連の受注が実際の売上に結びつくタイミングと、光源事業の買収効果が一巡した後の採算です。通期予想は据え置かれており、会社が慎重な姿勢を保つなか、成長市場の追い風を継続的な利益に変えられるかが評価の分かれ目になります。
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ウシオ電機株式会社
東証 6925
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