株式会社安川電機 の会社詳細
株式会社安川電機
安川電機
2026年2月期 通期

安川電機・2026年2月期通期、売上高は5,421億円で微増――AI投資が回復を牽引、次期は27%営業増益を予想

安川電機
6506
産業用ロボット
AI投資
半導体市場回復
増収減益
次期増配
i3-Mechatronics
工作機械
設備投資
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

5,421億円

+0.8%

通期予想

5,800億円

進捗率93%

営業利益

473億円

-5.7%

通期予想

600億円

進捗率79%

純利益

352億円

-38.2%

通期予想

470億円

進捗率75%

営業利益率

8.7%

安川電機が4月10日に発表した2026年2月期連結決算は、売上収益が前期比 0.8%増5,421億22百万円 となった。下半期からAIサーバー関連や半導体市場での投資回復が顕著となり、主力製品の需要を押し上げた。一方で、営業利益は為替変動や間接費増が重なり 5.7%減473億7百万円 に、当期利益は前期の資産売却益の反動(剥落)で 38.2%減 となったが、2027年2月期は大幅な増収増益増配への転換を計画している。

トーク

安川電機 2026年2月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

安川電機の2026年2月期連結決算は、外部環境の不透明さが続く中、売上収益が 5,421億22百万円(前期比 0.8%増)と微増を確保し、着実な成長を維持した。特に期後半にかけて、AI(人工知能)関連投資を背景とした半導体・電子部品市場の回復が鮮明となり、サーボモータなどの受注が持ち直したことが寄与している。

利益面では、営業利益が 473億7百万円(前期比 5.7%減)となった。これは、売上高の増加による付加価値の積み上げがあったものの、円高方向への為替変動による利益押し下げ影響や、将来の成長に向けた人件費、研究開発費などの間接費の増加を完全に吸収できなかったためである。

親会社の所有者に帰属する当期利益は 352億40百万円(前期比 38.2%減)と大幅な減少を記録した。しかし、この大きな減少幅は、前期(2025年2月期)に関連会社である煙台東星磁性材料の株式譲渡に伴う一過性の利益を計上していたことによる特殊要因の反動であり、本業の収益力が急激に悪化したわけではない点に注意が必要だ。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力のモーションコントロールセグメントは、売上収益が 2,360億53百万円(前期比 1.1%減)となったが、営業利益は 243億84百万円(前期比 6.0%増)と増益を達成した。上期こそ半導体市場の停滞で苦戦したものの、第4四半期にはAI関連投資に牽引される形でACサーボモータの販売が想定を上回るペースで回復したことが利益率の向上に繋がった。

ロボットセグメントは、売上収益が 2,470億12百万円(前期比 4.0%増)と伸長した一方で、営業利益は 204億18百万円(前期比 14.0%減)となった。中国やアジアでの自動車産業向け大口案件を獲得したことで売上は伸びたが、大口案件特有の収益性の低さや、日本・米州・欧州での自動車向け投資案件の延期が利益を圧迫した。同社は今後、自律型AIロボットによる高付加価値化で収益性の改善を図る方針だ。

システムエンジニアリングセグメントは、売上収益 387億44百万円(前期比 1.0%増)、営業利益 49億89百万円(前期比 8.3%増)と堅調に推移した。鉄鋼プラントや社会システム市場において、脱炭素や省人化を目的とした更新需要が底堅く推移し、増収増益に寄与した。

セグメント売上収益前年比営業利益前年比営業利益率
モーションコントロール2,360億円△1.1%243億円+6.0%10.3%
ロボット2,470億円+4.0%204億円△14.0%8.3%
システムエンジニアリング387億円+1.0%49億円+8.3%12.9%
その他203億円△12.3%19億円+24.9%9.8%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
モーションコントロール2,361億円44%244億円10.3%
ロボット2,470億円46%204億円8.3%
システムエンジニアリング387億円7%50億円12.9%

財務状況と資本政策

2026年2月末時点の連結財政状態は、総資産が前期末比 685億90百万円 増の 8,123億65百万円 となった。将来の需要増に備えた棚卸資産の積み増しや、生産能力増強のための有形固定資産への投資が資産を押し上げている。親会社所有者帰属持分比率は 59.5%(前期末は58.0%)となり、自己資本の拡充により財務の安定性はさらに向上している。

キャッシュ・フロー面では、営業活動によるキャッシュ・フローが 521億70百万円 の収入となったものの、新工場の建設や設備取得などの投資活動に 442億16百万円 を支出した。株主還元については、当期の年間配当を前期と同額の 68円 としたが、次期(2027年2月期)は業績の改善を見込み、年間 72円 への増配を予定しており、積極的な還元姿勢を示している。

リスクと課題

経営陣が注視すべきリスクとして、以下の要因を挙げている。

  • 地政学的リスクと通商政策: 米中対立や関税政策の変化は、主力市場である中国や米州での投資マインドに直接的な影響を及ぼすリスクがある。
  • 自動車市場の投資動向: ロボット需要の大きなシェアを占める自動車業界において、案件の延期や見直しが継続しており、投資回復のタイミングが焦点となる。
  • コスト管理と人財確保: 部材価格の変動に加え、グローバルでの競争力維持に向けた優秀なエンジニアの確保に伴う労務費の増加が利益率の押し下げ要因となり得る。
  • 新領域への転換: 従来のハードウェア販売から、AIやデータを活用した「i3-Mechatronics」によるソリューション型ビジネスへの移行を加速させ、価格競争からの脱却が急務となっている。

通期見通し

2027年2月期の通期連結業績予想について、安川電機は売上・利益ともに力強い回復を見込んでいる。売上収益は前期比 7.0%増5,800億円、営業利益は同 26.8%増600億円 を計画。AI・半導体関連の旺盛な需要継続に加え、インドなどの新興市場でのインフラ需要の取り込みを成長の原動力とする。

想定為替レートは、1ドル 145.0円、1ユーロ 170.0円 と設定されており、保守的な前提に基づきながらも、構造改革と新製品投入による利益率の改善を見込んでいる。

項目2026年2月期実績2027年2月期予想前年比
売上収益5,421億円5,800億円+7.0%
営業利益473億円600億円+26.8%
税引前利益495億円650億円+31.1%
当期利益352億円470億円+33.4%
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、ACサーボモータを主軸とする「モーションコントロール事業」の下半期における急回復です。これは製造業の景気循環において、安川電機の製品が「先行指標」として機能していることを改めて示しており、AIサーバーやデータセンター向けの投資が、いよいよ実体経済の設備投資へと波及し始めたシグナルと捉えられます。

一方で、ロボット事業が「増収減益」となった点は、中国市場を中心とした価格競争の激化を示唆しており、懸念材料です。次期の営業利益26.8%増という強気な計画を達成するためには、単純なロボット販売から脱却し、ソフトウェアやAIを融合させたソリューションの収益化が不可欠です。就活生の視点では、伝統的な「モノづくり」から「データ駆動型」の企業へと変革しようとする同社の戦略的転換期に注目すると、より深い企業理解に繋がるでしょう。