横浜フィナンシャルグループ・2026年3月期、純利益28.6%増の1,065億円——L&F子会社化が寄与、5期連続増益で次期47円へ増配
売上高
4,907億円
+22.9%
営業利益
1,550億円
+26.2%
通期予想
1,915億円
純利益
1,065億円
+28.6%
通期予想
1,290億円
営業利益率
31.5%
横浜フィナンシャルグループが発表した2026年3月期連結決算は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比 28.6%増 の 1,065億2,300万円 となり、5期連続の増益を達成した。2025年4月に実施した 「株式会社L&Fアセットファイナンス」の完全子会社化 が収益を大きく押し上げたほか、ソリューションビジネスの深化により貸出金利息や手数料収益が堅調に推移した。好調な業績を背景に、2027年3月期の年間配当は前期比9円増の 47円 を予定しており、株主還元への積極姿勢も鮮明にしている。
業績のポイント
2026年3月期の連結業績は、売上高にあたる経常収益が前期比 22.9%増 の 4,907億2,400万円、経常利益が同 26.2%増 の 1,550億1,800万円 と大幅な増収増益となった。国内の金利環境の変化を捉え、貸出金利息や有価証券利息配当金が増加したことが資金運用収益の拡大を牽引した。また、法人向けを中心とした役務取引等収益(手数料収入)も堅調に推移し、本業の稼ぐ力が着実に高まっている。
一方で、市場環境の変化に伴うコスト増も発生している。預金利息の増加により資金調達費用が膨らんだほか、債券ポートフォリオの入れ替えや投資信託の損切り(売却損の計上)により、その他業務費用が増加した。しかし、これらのコスト増を上回る収益成長を実現したことが、過去最高水準の利益計上につながった。
| 項目 | 2025年3月期(実績) | 2026年3月期(実績) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 経常収益 | 3,991億円 | 4,907億円 | +22.9% |
| 経常利益 | 1,227億円 | 1,550億円 | +26.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 828億円 | 1,065億円 | +28.6% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
同社グループは銀行業の単一セグメントだが、傘下の各銀行および新子会社の動向に顕著な変化が見られる。主力の 横浜銀行 は、ソリューションビジネスの強化により預貸金利息や法人向け役務利益が大きく伸長した。特にコア業務純益は前期比で大幅なプラスを維持しており、地域金融機関としての盤石な収益基盤を再確認する内容となった。
2025年4月に子会社化した 株式会社L&Fアセットファイナンス の寄与も大きい。同社は不動産担保融資の専門ノウハウを持ち、銀行が十分に対応できていなかったニッチな金融ニーズ(築古物件や外国人向けローン等)を補完している。今回の純利益増益分のうち、L&Fの連結化による収益貢献は約 237億円 にのぼり、M&Aを通じた非銀行領域への事業拡大が戦略的に功を奏した形だ。
一方で、東日本銀行については、経常利益が前期の 63億円 から 75億円 へと増加したものの、依然として経営効率の改善が課題となっている。グループ全体では、神奈川銀行の完全子会社化後のシナジー創出も進んでおり、3行合算での業務粗利益は前期比 289億円増 の 2,733億円 に達した。
| 銀行別・実績(3行合算ベース) | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 増減額 |
|---|---|---|---|
| 業務粗利益 | 2,444億円 | 2,733億円 | +289億円 |
| 役務取引等利益 | 446億円 | 470億円 | +24億円 |
| 当期純利益 | 804億円 | 990億円 | +185億円 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業(連結全体) | 4,907億円 | 100% | 1,550億円 | 31.5% |
財務状況と資本政策
2026年3月末の総資産は、前期末比 8,773億円増 の 25兆6,704億円 となった。貸出金がソリューション営業の成果により 17兆6,674億円(前期比 9,217億円増)まで伸びたことが主因である。自己資本比率(バーゼルIII速報値)は 14.94% と、規制水準を大きく上回る高い資本水準を維持しており、攻めの投資と安定した還元の両立を可能にしている。
株主還元については、積極的な姿勢が際立つ。2026年3月期の配当は前期から9円増配の 38円 とした。さらに2027年3月期には、配当性向 40% 程度を維持するという方針のもと、さらに9円増配の年間 47円 を見込んでいる。これは5期連続の増益という安定した収益力への自信の表れであり、投資家にとって魅力的な還元利回りを示唆している。
通期見通し
2027年3月期の通期連結業績予想について、同社はさらなる増収増益を見込んでいる。経常利益は前期比 23.5%増 の 1,915億円、純利益は同 21.1%増 の 1,290億円 となる見通しだ。引き続き貸出金利ざやの改善や、L&Fアセットファイナンスとのシナジーによる非金利収益の拡大を計画している。
| 連結業績予想 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 経常利益 | 1,550億円 | 1,915億円 | +23.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,065億円 | 1,290億円 | +21.1% |
| 1株当たり当期純利益 | 94.02円 | 116.06円 | +23.4% |
リスクと課題
好調な業績の一方で、以下のリスク要因が挙げられている。
- 金利変動リスク: 国内外の金利上昇は利ざや改善に寄与する反面、保有する債券の評価損拡大や外貨調達コストの上昇を招く懸念がある。
- 信用コストの動向: 与信関係費用は低水準で推移しているが、物価高騰や人手不足に悩む取引先の業況悪化による不良債権比率の上昇には警戒が必要だ。
- 人口減少と社会構造の変化: 地盤とする神奈川・東京地域でも、中長期的には人口減少や空き家問題が深刻化する可能性があり、L&Fのような新領域での収益源確保が持続成長の鍵となる。
今回の決算で最も注目すべきは、三井住友信託系から買収した L&Fアセットファイナンスの連結化が「即戦力」として利益に貢献した 点です。地銀セクターでは純金利収益(利ざや)に頼るモデルが限界を迎える中、横浜FGは不動産担保ローンというニッチな強みを持つ外部リソースを取り込むことで、独力ではリーチできなかった顧客層を開拓しました。
- 強み: 5期連続増益を達成する安定した収益力と、配当性向40%を掲げた積極的な増配姿勢。
- 注目ポイント: 2027年3月期の予想も非常に強気(2割超の増益)であり、金利上昇の恩恵をフルに享受する体制が整っていること。
- 懸念点: 債券関連の損切り(その他業務費用)が継続的に発生しており、ポートフォリオの健全化をいつ完了させるかが焦点となります。
就活生にとっては、従来の銀行業務を超えた「ソリューション・カンパニー」への変革を具体的なM&Aで実行しているスピード感のある企業として映るでしょう。
