鉄筋用棒鋼メーカー3社・2027年3月期中間期、増収の裏で採算格差が鮮明に
鉄筋用棒鋼メーカー3社は、そろって増収ながら営業減益となりました。建設需要の弱さに鉄スクラップや電力のコスト高が重なり、販売価格への転嫁が利益を左右しています。海外事業が伸びる共英製鋼、高い採算を保つ東京鐵鋼に対し、合同製鐵は営業赤字に転落。売上の伸びより値差と事業構成が明暗を分けた中間期です。
今期の総括
増収でも利益縮小、採算差が鮮明
業界全体の動き
3社合計では増収となった一方、全社で営業利益が前年同期を下回りました。業界平均の売上高は1,044.3億円、前年比は+8.4%ですが、利益率の差は大きく、コストを販売価格に転嫁できるかが焦点です。
| 会社 | 売上高 前年比 | 営業利益 前年比 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 合同製鐵 | 961億円 +2.8% | -2億円 -102.9% | 輸出拡大、コスト高 |
| 共英製鋼 | 1,777億円 +14.9% | 61億円 -33.6% | 海外増収、国内値差縮小 |
| 東京鐵鋼 | 395億円 +7.4% | 49億円 -26.0% | 出荷増、電力費上昇 |
- 国内需要の弱さ: 合同製鐵では建設現場の人手不足や資機材価格の高騰が、案件の延期・中止につながりました。共英製鋼も国内出荷が前年同期比4.4%減です。
- 原料・エネルギー高: 鉄スクラップ高が共英製鋼の売買価格差を18.9%縮小させました。合同製鐵は鉄スクラップやエネルギー費、東京鐵鋼は電力費の上昇が利益を押し下げています。
- 出荷先の違い: 国内が弱いなか、合同製鐵は輸出拡大に取り組み、共英製鋼は海外鉄鋼事業を伸ばしました。数量確保だけでは採算を補えない点が共通課題です。
増収でも利益が縮む構図は3社に共通します。ただし、海外事業の伸びが売上を支えた共英製鋼と、国内需要や価格転嫁の影響が強く出た各社では、売上の伸び方も利益へのつながり方も異なります。業界平均の営業利益率は5.2%で、各社の収益力には幅があります。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
勝者と敗者
収益力で存在感を示したのは東京鐵鋼で、営業利益率は12.5%でした。対照的に合同製鐵は-0.2%で営業赤字に転落し、業界平均の5.2%を大きく下回りました。共英製鋼は海外事業の増益を確保したものの、国内の採算悪化を補いきれませんでした。
- 東京鐵鋼: 鉄鋼事業の利益率は12.2%と高水準です。一方、値差縮小と電力コスト上昇で営業利益は前年同期比26.0%減となり、出荷増が利益増には結びつきませんでした。
- 共英製鋼: 海外鉄鋼事業はベトナムの増産や北米の改善で、営業利益が前年同期比128.4%増でした。しかし国内鉄鋼事業の利益率は0.3%にとどまり、スクラップ高の影響が全体の減益要因です。
- 合同製鐵: 鉄鋼事業の売上は増えた一方、同事業の利益は前年同期から59億5百万円減少しました。需要が弱い異形棒鋼を中心に価格引き上げが浸透せず、原料・エネルギー高を吸収できませんでした。
東京鐵鋼の利益率の高さは、売上規模だけでは測れない採算力を示します。合同製鐵では売上原価が前年同期の767億18百万円から850億86百万円へ増え、増収を利益に結びつけられませんでした。事業構成と価格転嫁の差が収益力を分けた決算です。
- 好調
- 東京鐵鋼
- 苦戦
- 合同製鐵

営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社の対応は、出荷先の開拓、海外事業の活用、株主還元と異なります。短期的には販売量の確保だけでなく、価格転嫁と事業ごとの採算改善を同時に進められるかが問われます。
- 合同製鐵: 国内需要が弱いなか、輸出拡大で出荷数量の確保を図りました。中期ビジョン2030の5年間は年間配当100円を下限とする方針で、中間配当40円、期末予想60円です。
- 共英製鋼: ベトナムの増産や北米の改善を通じて、海外鉄鋼事業の営業利益を前年同期比128.4%増としました。一方、通期営業利益予想は95億円に下方修正し、年間配当予想は70円で据え置きました。前期実績の90円からは減配の見込みです。
- 東京鐵鋼: 通期予想を据え置き、営業利益100億円を計画しています。年間配当予想は株式分割後換算で100円、中間40円・期末60円です。
合同製鐵の配当下限方針や東京鐵鋼の予想据え置きは、株主還元・見通しの維持を示す一方、利益が落ち込む局面では収益回復が重要になります。共英製鋼は海外事業の成長を生かしながら、国内鉄鋼事業の採算を立て直せるかが課題です。各社の戦略は異なりますが、数量確保から採算改善へ軸足を移せるかが共通の試金石です。
業界共通のリスク
最大の共通リスクは、原料・エネルギー費の上昇と販売価格の転嫁遅れです。国内需要の弱さも重なり、販売数量を確保しても利益が増えない状況が続けば、通期計画の達成や還元方針にも影響します。
- スクラップ高と値差縮小: 共英製鋼では売買価格差が前年同期比18.9%縮小し、国内鉄鋼事業の利益率は0.3%でした。今回のデータでは、国内採算への影響が特に明確です。
- 電力・エネルギー費の上昇: 東京鐵鋼は電力コスト上昇、合同製鐵は円安や中東情勢などを背景とするエネルギーコスト上昇を挙げています。合同製鐵は営業赤字となっており、コスト増を吸収できるかが重い課題です。
- 建設需要の停滞: 人手不足や資機材価格の高騰による案件延期・中止は、合同製鐵の売上を支えた輸出拡大の背景にもあります。国内出荷が前年同期比4.4%減となった共英製鋼にも、需要の弱さが表れています。
- 海外事業の変動: 共英製鋼は海外鉄鋼事業の増益が業績を支えています。海外の販売・操業が伸びを保てるかは、国内の採算悪化を補えるかに直結します。
コスト上昇の影響は各社に共通しますが、合同製鐵は赤字転落、共英製鋼は国内事業の低採算、東京鐵鋼は値差と電力費の上昇がそれぞれ表面化しています。原料価格や需要を一律に予測するのではなく、各社が販売価格へどこまで転嫁できるかを確認する必要があります。
順位変化と構造トレンド
純利益は3社とも前年同期を下回りましたが、減少幅には差が出ました。合同製鐵の純利益は前年同期比91.8%減で、業界平均の54.7%減を大幅に下回ります。東京鐵鋼は32.4%減、共英製鋼は40.0%減でした。
- 合同製鐵: 中間純利益は4億円で、前年同期比91.8%減です。営業赤字に加え、経常利益も95.9%減となりました。
- 共英製鋼: 中間純利益は33億円で、前年同期比40.0%減です。海外事業の増益だけでは、国内の利益減少を埋められませんでした。
- 東京鐵鋼: 中間純利益は30億円で、前年同期比32.4%減です。営業減益に加え、持分法による投資損失の増加も重荷となりました。
通期営業利益予想に対する中間期の進捗率は、共英製鋼が64%、東京鐵鋼が49%、合同製鐵が-9%です。共英製鋼は通期予想を下方修正し、東京鐵鋼は据え置き、合同製鐵は営業利益18億円を計画しています。進捗率だけで単純比較はできませんが、利益回復の難しさは会社ごとに異なることが分かります。
純利益 前年同期比
就活生・転職希望者へ
今回の決算からは、鉄筋用棒鋼メーカーの仕事が製造だけで完結しないことが読み取れます。原料や電力の調達、価格交渉、国内外の販売、事業ごとの採算管理が、会社の利益に結びついています。
- 合同製鐵: 国内需要の弱さを受け、輸出拡大で出荷数量を確保しています。営業赤字の背景には価格転嫁の遅れもあり、販売や調達、コスト管理が業績に直結する局面です。
- 共英製鋼: 海外鉄鋼事業の売上は1,099億円で、国内鉄鋼事業の621億円を上回りました。海外の生産・販売と国内の採算改善が、事業運営の両輪となっています。
- 東京鐵鋼: 鉄鋼事業の売上は390億円で、連結売上の中心です。値差や電力費が利益を左右しており、製造現場と営業・原価管理の連携が重要です。
就職先を比べる際は、売上規模や知名度だけでなく、国内外の事業構成や、原料高に対応する仕事の幅にも目を向けたいところです。海外展開、環境リサイクル、農業資材など、会社ごとに携われる事業領域も異なります。利益率や通期計画の変化は、事業環境と現場の課題を知る手掛かりになります。
鉄筋用棒鋼メーカーを比較
年収・業績・株価を並べて鉄鋼業界の今
掲載15社- 業界の株価(1年)
- +6.9%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +71.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 6社下方 4社
- 営業利益率(業界)
- 3.5%
- 足元の業績今期第2四半期累計は8社合計で売上高+11.8%・営業利益+16.5%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は2社、下回る企業は5社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は4社。修正幅が最も大きいのは東京製鐵(営業利益+125.0%)。




タグ#鉄筋用棒鋼#鉄鋼業界#2027年3月期#中間決算#合同製鐵#共英製鋼#東京鐵鋼#鉄スクラップ#価格転嫁#海外鉄鋼事業
この記事はいかがでしたか?
登録不要・匿名で送信Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/industry/rebar-makers/2027-Q2
関連記事
各社の決算解説(2027年3月期 第2四半期(中間期))
鉄筋用棒鋼メーカーの最新ニュース
鉄筋用棒鋼メーカーの企業ページ
他の期間
2期- 2027年3月期 第2四半期(中間期)
- 2027年3月期 第1四半期
