共英製鋼、2027年3月期第2四半期決算、増収も利益下方修正で減益

共英製鋼の2027年3月期第2四半期決算を分析すると、海外鉄鋼事業の伸長で売上高は前年同期比14.9%増えた一方、国内の鋼材価格と鉄スクラップ価格の差が縮まり、営業利益は33.6%減の増収減益となりました。国内の需要低迷に加え、米国拠点の操業不調などを受け、会社は通期業績予想を下方修正。年間配当予想は据え置きました。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,777億円 | +14.9% | 3,620億円 | 49% |
| 営業利益 | 61億円 | -33.6% | 95億円 | 64% |
| 純利益 | 33億円 | -40.0% | 48億円 | 68% |
| 営業利益率 | 3.4% | |||
この決算のポイント
- 1海外鉄鋼事業はベトナムの増産や北米の改善で、営業利益が前年同期比128.4%増
- 2国内鉄鋼事業は出荷量が4.4%減り、鉄スクラップ高で売買価格差が18.9%縮小
- 3通期営業利益予想を9,500百万円に下方修正、前年比では44.0%減の見通し
- 4年間配当予想は70円で据え置き、前期実績の90円からは20円減配の見込み
業績のポイント
共英製鋼(共英製鋼株式会社)の中間期は、売上高が前年同期比14.9%増の177,703百万円となる一方、営業利益は33.6%減の6,112百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は40.0%減の3,262百万円でした。売上高が伸びても利益が減る、採算悪化が目立つ決算です。
- 海外事業の拡大: 海外鉄鋼事業の出荷増などが売上高を押し上げました。
- 国内の採算悪化: 鉄スクラップ価格の上昇に製品価格の引き上げが追いつかず、売買価格差が縮小しました。
- 利益の減少: 国内鉄鋼事業の利益が大きく落ち込み、海外の増益だけでは補えませんでした。
海外の成長を国内の採算悪化が打ち消す構図です。売上原価は前年同期比で増加し、売上総利益は減少しました。海外の販売拡大は成長を支える一方、国内で原材料高を製品価格に転嫁できるかが、今後の利益回復の焦点です。
セグメント別動向
海外鉄鋼事業が増収増益となった一方、国内鉄鋼事業は大幅減益でした。以下はセグメント営業利益の前年同期比です。
| セグメント | 営業利益の前年比 |
|---|---|
| 国内鉄鋼 | -97.6% |
| 海外鉄鋼 | +128.4% |
| 環境リサイクル | +522.0% |
| その他 | -8.1% |
国内鉄鋼事業は営業利益が168百万円にとどまりました。建設・物流現場の人手不足、資材高、猛暑などで工事が低調となり、出荷量は前年同期比4.4%減。鉄スクラップ価格が26.6%上昇したのに対し、製品価格の上昇は1.1%にとどまり、採算を圧迫しました。
海外鉄鋼事業は営業利益が5,942百万円に増えました。ベトナムでは旺盛な需要を背景に出荷が増え、新圧延工場の操業や増産によるコスト低減も寄与。北米は米国拠点の操業不調が続いたものの、良好な市況やカナダの製品構成が支え、全体では増収増益となりました。
環境リサイクル事業は廃棄物処理の受託量増加や難処理物案件の獲得で改善しました。その他事業は増収ながら減益で、全社では海外事業の伸びが国内の落ち込みを補う形となりました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内鉄鋼事業 | 621億円 | 35% | 2億円 | 0.3% |
| 海外鉄鋼事業 | 1,099億円 | 62% | 59億円 | 5.4% |
| 環境リサイクル事業 | 32億円 | 2% | 5億円 | 14.5% |
| その他の事業 | 25億円 | 1% | 3億円 | 10.6% |
通期見通し
会社は2027年3月期の連結業績予想を下方修正しました。修正後の営業利益は9,500百万円で、前期比44.0%減を見込みます。今回の短信には修正前予想と前期実績の金額は記載されていないため、確認できる比較情報をまとめました。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績・前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 短信に記載なし | 362,000 | 前期比 +14.9% |
| 営業利益(百万円) | 短信に記載なし | 9,500 | 前期比 -44.0% |
| 経常利益(百万円) | 短信に記載なし | 9,000 | 前期比 -44.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) | 短信に記載なし | 4,800 | 前期比 -51.3% |
国内では下期も建設用鋼材需要が低調で、出荷量が計画に届かない見通しです。鉄スクラップ価格が想定を上回り、売買価格差も計画より縮むと会社は見ています。海外ではベトナムとカナダはおおむね計画通りの一方、米国拠点は設備の老朽化による生産不調と減価償却費の増加が重荷となり、通期予想を下方修正しました。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は前期末比1.3%増の377,931百万円、自己資本比率は56.6%でした。営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や棚卸資産の増加などで支出となりました。
| 項目 | 2027年3月期中間期・期末 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 377,931 | 前期末比 +1.3% |
| 自己資本比率 | 56.6% | 前期末の56.7%から低下 |
| 営業CF(百万円) | -4,121 | 前年同期は+14,132 |
| 投資CF(百万円) | +5,000 | 前年同期は-7,495 |
| 財務CF(百万円) | +4,319 | 前年同期は-10,757 |
| 現金同等物(百万円) | 51,728 | 前期末比 +5,369 |
営業CFのマイナスには、売上債権や棚卸資産の増加が響きました。投資CFは定期預金等の払戻収入が有形固定資産の取得支出を上回り、プラスとなっています。年間配当予想は70円(中間30円、期末40円)で、前期実績の90円から減る計画ですが、今回の業績予想修正に伴う配当予想の変更はありません。自社株買いの実施については、この短信に記載がありません。
リスクと課題
利益回復には、国内で原材料高を製品価格に反映できるか、海外の生産設備を安定稼働させられるかが重要です。会社は下期の業績見通しに複数の不確実要因を織り込んでいます。
- 国内鋼材需要の低迷: 建設工事の停滞や人手不足が続けば、製品出荷量が計画を下回り、国内鉄鋼事業の収益を押し下げる可能性があります。
- 鉄スクラップ価格の上昇: 原材料費の上昇分を製品価格に転嫁できなければ、売買価格差がさらに縮まり、利益回復が遅れるおそれがあります。
- 米国拠点の設備老朽化: 生産不調や設備の耐用年数短縮に伴う減価償却費の増加が見込まれ、下期も赤字となる見通しです。
- 地政学・金融市場の変動: 中東情勢や金融資本市場の変動、自然災害などが、原材料価格や事業環境に影響する可能性があります。
海外事業は成長を支える一方、米国の操業問題が残ります。国内の価格転嫁と米国設備の安定化が、通期予想の達成度を左右する課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
1,787円
最新終値(2026/10/30)
1,787円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
共英製鋼をライバルと比較
年収・業績・株価を並べて鉄鋼業界の今
掲載15社共英製鋼は鉄鋼業界の掲載15社中、売上高で5位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +6.9%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +71.1%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 6社下方 4社
- 営業利益率(業界)
- 3.5%
- 共英製鋼−22.2%
- 鉄鋼(業界平均)+6.9%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第2四半期累計は8社合計で売上高+11.8%・営業利益+16.5%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は2社、下回る企業は5社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは6社、下方修正は4社。修正幅が最も大きいのは東京製鐵(営業利益+125.0%)。




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売上高の伸びだけを見ると好調に映りますが、利益を稼ぐ国内事業の採算が急速に悪化しており、決算の質は厳しいと見ます。海外事業の成長が穴を埋めているものの、会社自身が通期予想を引き下げた点からも、短期的には国内の価格転嫁と米国拠点の操業改善が重要です。
中長期ではベトナムの需要拡大や生産効率の改善が支えになります。投資家は、下期の出荷回復だけでなく、鉄スクラップ高を販売価格に反映できたか、米国の生産不調が解消に向かうかを確認したいところです。
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