共英製鋼、2027年3月期第1四半期決算、増収も利益減で通期予想を下方修正

共英製鋼の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比17.5%増の871億円となった一方、営業利益は20.9%減の34億円、純利益は28.8%減の19億円でした。海外鉄鋼事業の伸びが増収をけん引しましたが、国内で鉄スクラップ高を製品価格に転嫁しきれず、会社は通期の利益予想を引き下げました。海外の成長で国内の採算悪化を補いきれず、今後は価格転嫁の進み具合が焦点です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 871億円 | +17.5% | 3,620億円 | 24% |
| 営業利益 | 34億円 | -20.9% | 155億円 | 22% |
| 純利益 | 19億円 | -28.8% | 84億円 | 23% |
| 営業利益率 | 3.9% | |||
この決算のポイント
- 1海外鉄鋼事業の増収が寄与し、売上高は前年同期比17.5%増の871億円。
- 2国内鉄鋼事業はスクラップ高と販売価格の転嫁遅れで、営業利益が92.7%減の2億円。
- 3ベトナムの需要と増産効果で、海外鉄鋼事業の営業利益は435.5%増の31億円。
- 4通期営業利益予想を前回から5億円引き下げ、155億円に修正。
- 5年間配当予想は前期の90円から70円に減額、自己資本比率は57.3%に上昇。
業績のポイント
共英製鋼(共英製鋼株式会社)の2027年3月期第1四半期は、売上高が前年同期比17.5%増の871億円、営業利益が20.9%減の34億円、親会社株主に帰属する純利益が28.8%減の19億円でした。増収ながら減益となり、営業利益率は前年同期の5.8%から3.9%に低下しました。
- 海外鉄鋼事業: 売上高は前年同期比36.3%増。ベトナムの出荷増と価格引き上げ、増産に伴うコスト低減が利益を押し上げました。
- 国内鉄鋼事業: 売上高は4.3%減、営業利益は92.7%減。出荷量が2.7%減る一方、鉄スクラップ価格は26.0%上昇し、売買価格差が縮小しました。
- 環境リサイクル事業: 売上高は24.0%増、営業利益は953.2%増。利益率の高い難処理廃棄物やフロン類の処理案件が寄与しました。
- 純利益の減少: 親会社株主に帰属する純利益は前年同期から7億8,500万円減少。非支配株主に帰属する利益が前年同期の損失から7億1,100万円に転じたことも、親会社株主に帰属する利益を押し下げました。
売上高の伸びは海外事業が支えましたが、営業利益では国内の採算悪化を補いきれませんでした。鉄スクラップ価格の上昇に対し製品価格の改定が出荷までの時間差で遅れたため、売上高が増えても利益が減る結果となっています。米国の通商政策や中東情勢など、先行きの不透明さも残ります。
- 国内鉄鋼-92.7%
- 海外鉄鋼+435.5%
- 環境リサイクル+953.2%
- その他-21.5%
セグメント別動向
国内鉄鋼事業は売上高312億6,800万円、営業利益2億8,800万円でした。建設・物流現場の人手不足による工事の遅れなどで鋼材需要が弱く、出荷量は前年同期比2.7%減の33万7,000トン。鉄スクラップ価格が上がる一方、製品価格への転嫁には時間がかかり、採算が悪化しました。
海外鉄鋼事業は売上高529億2,400万円、営業利益31億7,100万円でした。ベトナムでは旧正月の不需要期も需要が底堅く、各拠点の出荷が前年同期を大きく上回りました。販売価格の引き上げや増産によるコスト低減も利益を押し上げました。北米は米国拠点の設備不調で出荷が減ったものの、市況の堅調さから赤字幅が縮小し、カナダも生産・販売が堅調でした。
環境リサイクル事業は売上高16億6,600万円、営業利益3億1,100万円でした。医療廃棄物処理は厳しい状況が続きましたが、利益率の高い難処理廃棄物やフロン類の案件獲得が業績改善につながりました。
- その他の事業: 売上高は12億5,900万円、営業利益は1億4,000万円。ベトナムの港湾事業や国内・ベトナムの鋳物事業などを含み、売上高は前年同期比2.9%減、営業利益は21.5%減でした。
海外鉄鋼の拡大と環境リサイクルの改善が目立つ一方、国内鉄鋼は売上高の規模に対して利益が大きく落ち込みました。利益の回復には、国内の鋼材需要に加え、原料高を販売価格に反映できるかが重要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内鉄鋼事業 | 313億円 | 36% | 3億円 | 0.9% |
| 海外鉄鋼事業 | 529億円 | 61% | 32億円 | 6.0% |
| 環境リサイクル事業 | 17億円 | 2% | 3億円 | 18.7% |
| その他 | 13億円 | 1% | 1億円 | 11.1% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比1.2%減の3,687億円、自己資本比率は前期末の56.7%から57.3%に上昇しました。純資産は前期末比4億7,300万円増の2,192億円で、四半期利益や為替換算調整勘定の増加が配当による利益剰余金の減少を補いました。
| 項目 | 2026年3月末・前期実績 | 2026年6月末・2027年3月期予想 | 比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 373,127 | 368,722 | -1.2% |
| 自己資本比率 | 56.7% | 57.3% | +0.6ポイント |
| 現金及び預金(百万円) | 62,947 | 48,694 | -14,253 |
| 年間配当(円) | 90 | 70 | -22.2% |
| 配当(円) | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 中間 | 30 | 30 | 変更なし |
| 期末 | 60 | 40 | -33.3% |
| 年間 | 90 | 70 | -22.2% |
第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの実績は開示されていません。現金及び預金は前期末から減少しましたが、会社は流動資産の減少要因として現預金の減少などを挙げています。配当予想は前期実績を下回る水準で、短信では自社株買いの発表はありません。
通期見通し
共英製鋼は2027年3月期の通期業績予想を修正し、売上高を前回予想から20億円引き上げる一方、営業利益を5億円、純利益を6億円引き下げました。修正後の営業利益予想は前期実績を8.6%下回り、純利益予想は14.8%下回る水準です。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 2026年3月期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 360,000 | 362,000 | 315,106 |
| 営業利益 | 16,000 | 15,500 | 16,967 |
| 経常利益 | 14,000 | 14,000 | 16,211 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 9,000 | 8,400 | 9,864 |
国内鉄鋼事業では中間期の出荷量はおおむね想定通りとする一方、売買価格差が計画を下回り、中東情勢の影響によるエネルギー費などの増加も見込んでいます。ベトナムと北米の事業環境は良好で計画通りの進捗を見込むものの、海外の増益だけでは国内の下振れを埋められないと判断しました。中間期の営業利益予想も前回の70億円から65億円へ、純利益予想は39億円から33億円へ修正しています。
リスクと課題
会社は国内鉄鋼の採算悪化を理由に中間期・通期の利益予想を引き下げました。国内外の需要、原料・エネルギー価格、海外拠点の操業状況が今後の業績を左右します。
- 国内の鋼材需要: 建設・物流現場の人手不足による工事の遅延・長期化が需要を弱め、出荷量や設備稼働率の低下につながる可能性があります。
- 原料高と価格転嫁の遅れ: 鉄スクラップ価格が上昇しても、契約から出荷までの時間差で製品価格への反映が遅れると、売買価格差が縮小し利益を圧迫します。
- エネルギー費と地政学リスク: 中東情勢の影響によるエネルギー費の上昇が見込まれています。米国の通商政策や地政学的リスクも、原料・製品市況や事業環境の不確実性を高めます。
- 海外拠点の操業・競争環境: ベトナムでは需要が堅調な一方、競争は厳しい状況です。北米では米国拠点の老朽化設備による操業不調が出荷減につながっており、修繕や安定操業が課題です。
海外事業の成長は収益を支える一方、国内の価格転嫁や設備の安定稼働が遅れれば、会社予想をさらに下回るリスクがあります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/30)
2,018円
最新終値(2026/10/23)
1,914円-5.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#共英製鋼#決算#決算分析#四半期決算#鉄鋼#海外展開#業績予想修正#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
この決算は、海外鉄鋼事業の拡大が国内事業の苦戦を覆い隠すのではなく、両者の収益力の差をはっきり示しました。特に国内では、原料価格の上昇を販売価格へ反映するまでの時間差が利益に直結しています。
今後はベトナムの需要や北米の市況だけでなく、国内の売買価格差がどの程度回復するか、米国拠点の操業が安定するかに注目したいところです。売上高の伸びだけでなく、営業利益率の改善と下期の利益回復を確認する必要があります。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/kyoei-steel/report/2027-Q1
関連記事
鉄筋用棒鋼メーカーの最新記事
- 決算解説合同製鐵2027年3月期 第1四半期合同製鐵、2027年3月期第1四半期決算、増収も営業利益85%減
- 決算解説東京鐵鋼2027年3月期 第1四半期東京鐵鋼、2027年3月期第1四半期決算、増収も値差縮小で営業減益
- 決算解説日本製鉄2027年3月期 第1四半期日本製鉄、2027年3月期第1四半期決算、売上収益40%増で黒字転換、通期予想も大幅増益

- 決算解説JFE2027年3月期 第1四半期JFE、2027年3月期第1四半期決算、事業利益99%増の323億円も通期予想は据え置き

- 経営統合検討解約日本製鉄9月29日日本製鉄の子会社とカナデビアが経営統合検討を解消、日鉄エンジニアリングとの連携白紙へ

- 業績配当予想修正JFE8月5日JFEホールディングス、2027年3月期中間業績予想を初公表、年間配当80円に据え置き

掲載企業

共英製鋼株式会社
東証 5440
これが最新の決算解説です





