東京鐵鋼、2027年3月期第1四半期決算、増収も値差縮小で営業減益
東京鐵鋼の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比4.2%増の200億8200万円と増収でした。一方、製品価格と原材料価格の差である値差が縮小し、営業利益は29.2%減の25億4200万円、純利益は33.9%減の15億4200万円となりました。出荷増が売上を押し上げたものの、採算の悪化が利益を圧迫した決算です。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 201億円 | +4.2% | 760億円 | 26% |
| 営業利益 | 25億円 | -29.2% | 100億円 | 25% |
| 純利益 | 15億円 | -33.9% | 71億円 | 22% |
| 営業利益率 | 12.7% | |||
この決算のポイント
- 1鉄鋼製品と関連商品の出荷が増え、売上高は前年同期比4.2%増の200億8200万円
- 2値差縮小で鉄鋼事業のセグメント利益は前年同期比30.3%減の24億3600万円
- 3通期営業利益予想は100億円で据え置き、前期比17.0%減を見込む
- 41株を3株に分割後の年間配当予想は1株100円で、前期と実質同水準
- 5自己株式の増加などを背景に、自己資本比率は前期末の78.8%から74.4%に低下
業績のポイント
東京鐵鋼(東京鐵鋼株式会社)の第1四半期は、売上高が前年同期比4.2%増の200億8200万円となる一方、営業利益は29.2%減の25億4200万円、親会社株主に帰属する純利益は33.9%減の15億4200万円でした。出荷増でも値差縮小が利益を圧迫しました。
- 売上高: 前年同期から8億1700万円増加。製品および関連商品の出荷量が増えました。
- 営業利益: 前年同期から10億4800万円減少。製品価格と原材料価格の差である値差の縮小が主因です。
- 経常利益: 前年同期比30.8%減の25億3200万円。持分法による投資損失も営業外費用に計上しました。
- 純利益: 前年同期比33.9%減の15億4200万円。1株当たり利益は株式分割を反映した計算で61円23銭でした。
売上総利益は前年同期の57億2500万円から48億9900万円に減り、販売費及び一般管理費も22億2300万円増加しました。売上の伸びがそのまま利益につながらず、採算改善が課題となっています。なお、TTKコリアの連結決算方法を変更しましたが、会社は四半期財務諸表への影響を軽微としています。
セグメント別動向
鉄鋼事業は増収ながら大幅減益、その他事業は増収増益でした。売上の大半を占める鉄鋼事業の採算悪化が、連結利益を押し下げています。
| セグメント | 売上高の前年同期比 | 利益の前年同期比 | 利益の増減額 |
|---|---|---|---|
| 鉄鋼事業 | +4.3% | -30.3% | -10億6000万円 |
| その他 | +7.7% | +9.7% | +800万円 |
鉄鋼事業は、製品と関連商品の出荷増で売上高が198億5200万円となり、前年同期比4.3%増えました。一方、値差縮小などによりセグメント利益は24億3600万円と30.3%減少しました。出荷量の拡大だけで利益を確保するのが難しい状況です。
その他は、貨物運送や設備メンテナンス事業などで、売上高が13億5100万円と前年同期比7.7%増、セグメント利益は9300万円と9.7%増でした。連結売上高への規模は小さく、全体の収益を左右するには鉄鋼事業の値差回復が重要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼事業 | 198億円 | 99% | 24億円 | 12.3% |
| その他 | 2億円 | 1% | 93百万円 | 38.8% |
通期見通し
2027年3月期の通期業績予想は、2026年5月7日に公表した内容から変更ありません。売上高の増加を見込む一方、利益は前期を下回る計画です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績との比較 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 760億円 | 760億円 | +4.8% |
| 営業利益 | 100億円 | 100億円 | -17.0% |
| 経常利益 | 100億円 | 100億円 | -16.9% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 71億円 | 71億円 | -12.1% |
第1四半期の営業利益は25億4200万円で、通期計画に対する進捗は約25.4%です。四半期ごとの利益の偏りは短信から確認できないため、この進捗だけで計画達成の確度を判断するのは早計です。
会社は予想を据え置きましたが、通期では増収と減益を見込んでいます。今後は出荷の伸びに加え、製品価格と原材料価格の差がどの程度回復するかが、利益計画を見極めるポイントです。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比42億1300万円増の846億6300万円、自己資本比率は74.4%でした。キャッシュ・フロー計算書は第1四半期には作成されておらず、現金の増減を示す期間キャッシュフローは開示されていません。
| 項目 | 2026年3月末または前期実績 | 2026年6月末または今期予想 |
|---|---|---|
| 総資産 | 804億4900万円 | 846億6300万円 |
| 自己資本比率 | 78.8% | 74.4% |
| 負債合計 | 170億3300万円 | 216億2300万円 |
| 年間配当 | 1株300円 | 1株100円 |
| キャッシュ・フロー計算書 | 第1四半期は作成なし | 期間数値の開示なし |
年間配当は1株100円の予想ですが、2026年4月に1株を3株に分割したため、前期の実績300円を分割後に換算すると100円となり、実質的には同水準です。自己株式は前期末の4300万円から5億4300万円に増え、純資産の減少要因となりました。会社は短信で自社株買いの実施を明記していないため、具体的な取得方針は確認できません。
資産の増加には電子記録債権の増加が影響し、負債の増加には短期借入金と長期借入金の増加が影響しました。自己資本比率は依然として高い水準ですが、借入金の増加と株主還元の両面を今後も確認したいところです。
リスクと課題
今回の減益要因として会社が挙げたのは、製品価格と原材料価格の値差縮小です。通期予想は据え置かれましたが、価格や原材料の動き次第で利益が変動する可能性があります。
- 値差の縮小: 製品価格と原材料価格の差がさらに縮まれば、鉄鋼事業の利益を一段と押し下げるおそれがあります。
- 借入金の増加: 短期・長期借入金が増え、負債合計は前期末から45億8900万円増加しました。金利負担や資金調達の動向が注目点です。
- 通期予想の不確実性: 会社は業績予想が一定の前提に基づくもので、実際の業績はさまざまな要因で大きく異なる可能性があるとしています。
- 四半期比較の留意点: TTKコリアの決算方法変更により、今期は同社の2026年1月から6月までの6カ月分を連結しています。会社は影響を軽微としていますが、比較時には変更内容を踏まえる必要があります。
鉄鋼事業の利益が連結業績に大きく影響するため、出荷増だけでなく、販売価格と原材料価格の動きが重要です。次の決算では値差の改善状況と、通期予想を維持できるだけの利益進捗が確認材料になります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/30)
1,965円
最新終値(2026/10/23)
1,941円-1.2%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東京鐵鋼#決算#決算分析#四半期決算#鉄鋼業#営業減益#値差縮小#配当#業績予想
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コメント
売上高の増加に対して営業利益が大きく減っており、今回の決算は出荷量よりも値差の動向が収益を左右する構造を示しました。鉄鋼事業が売上の中心であるため、その他事業の増益だけで全体の利益を補うのは難しいでしょう。
年間配当は株式分割を考慮すると実質横ばいで、自己株式も増加しています。通期予想が据え置かれたなか、今後は値差の回復と借入金の増加をどう管理するかに注目したいです。
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掲載企業
東京鐵鋼株式会社
東証 5445
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