鉄鋼大手3社・2027年3月期Q1比較、黒字転換の日本製鉄と神戸製鋼の苦戦
鉄鋼大手3社の2027年3月期第1四半期は、回復の勢いに大きな差が出ました。日本製鉄は売上高が前年比40.4%増え、前年の赤字から黒字へ転換。対する神戸製鋼は増収でも営業減益でした。利益回復の質に差が見える決算です。
今期の総括
黒字転換と減益で明暗
業界全体の動き
3社合計の売上高は前年同期比で増加しました。ただし、利益の伸びは各社で異なります。鋼材需要や価格の改善に加え、前年の一時的な損失や在庫評価の影響が差を広げました。
- 需要と価格の回復が日本製鉄の増収を後押ししました。売上高は前年比40.4%増で、JFEの4.1%増、神戸製鋼の1.6%増を上回ります。
- 前年実績との比較が利益の見え方を左右します。日本製鉄は前年の構造改革費用による赤字から黒字へ転換しました。
- 在庫評価の反動はJFEの利益を押し上げました。棚卸資産評価差は前年から360億円改善し、操業改善も寄与しました。
- 事業構成の違いも明暗を分けました。神戸製鋼は鉄鋼アルミ事業が赤字となる一方、非鉄鋼事業が全体を支えました。
売上高ランキング
売上高 前年同期比
純利益 前年同期比
勝者と敗者
今期の勝者は、売上規模と利益率で先行した日本製鉄です。営業利益は1,455億円、営業利益率は5.2%でした。JFEの474億円、4.1%を上回り、神戸製鋼の204億円、3.5%にも差をつけました。規模と利益率で日本製鉄が先行しました。
売上高も日本製鉄が2兆8,212億円で首位です。JFEの1兆1,612億円、神戸製鋼の5,783億円を大きく上回ります。前年同期の大幅赤字から、純利益も753億円の黒字へ戻しました。
最も苦戦したのは神戸製鋼です。売上高は前年比1.6%増でも、営業利益は34.8%減、純利益は68.4%減でした。鉄鋼アルミ事業の赤字に加え、前年の有価証券売却益がなくなったことも響きました。
JFEは純利益が前年比338.1%増の312億円と急回復しました。ただし、在庫評価差の改善が利益を押し上げた面があります。なお、提供データではJFEの営業利益が比較表で474億円、詳細欄の事業利益で323億円と異なります。利益の定義や集計差を確認できないため、ランキングは比較表の数値を使い、単純比較には注意が必要です。
- 好調
- 日本製鉄
- 苦戦
- 神戸製鋼


営業利益ランキング
営業利益率ランキング
注目の動き・戦略比較
各社の違いは、利益を生んだ要因に表れています。新たなM&Aや大型投資の詳細は、今回の提供データからは確認できません。
- 日本製鉄は、鋼材需要の回復や価格改善が利益回復を支えました。前年同期は米国事業の構造改革費用などで営業損失を出しており、当期はその反動もあります。通期の営業利益予想は6,300億円です。
- JFEは棚卸資産評価差の改善と操業改善が柱です。通期営業利益予想は2,150億円で、神戸製鋼の1,500億円を上回ります。インド事業の存在感も注目点ですが、今回のデータでは寄与額は示されていません。
- 神戸製鋼は、非鉄鋼事業が鉄鋼アルミ事業の落ち込みを補いました。通期営業利益予想は1,500億円です。第1四半期の減益から、下期の需要回復などをどこまで実績につなげるかが焦点です。
業界共通のリスク
黒字化や増益だけでは、収益の安定性は判断できません。外部環境と利益の中身を分けて見る必要があります。
- 海外景気の減速で鋼材需要が弱まれば、販売量や価格の回復が止まる恐れがあります。
- 原料価格と鋼材価格の変動は、各社の採算を左右します。価格転嫁が遅れると利益が縮みます。
- 在庫評価の振れは、JFEのように四半期利益を大きく動かす要因です。評価差を除いた稼ぐ力も見極めたいところです。
- 為替や電力コストも注意点です。神戸製鋼では電力事業の減益が懸念材料として挙がっています。
- 設備投資と脱炭素対応の負担も続きます。投資を進めながら、価格競争力と財務の健全性を保てるかが問われます。
順位変化と構造トレンド
売上高、営業利益、営業利益率の順位は、いずれも日本製鉄、JFE、神戸製鋼の順でした。今期は首位交代ではなく、回復の強さに差が出た形です。
一方、純利益の前年比伸び率ではJFEが首位です。ただし、日本製鉄は赤字から黒字への転換で通常の前年比を比べられません。神戸製鋼は前年の売却益の反動もあり、純利益が減りました。単純な伸び率だけで企業の実力を判断しないことが大切です。
就活生・転職希望者へ
鉄鋼大手でも、仕事の安定性や成長機会は事業ごとに異なります。神戸製鋼のように複数事業を持つ会社では、鉄鋼以外の事業が全体を支える場面もあります。日本製鉄やJFEでは、操業改善や海外事業の動きも注目点です。
企業選びでは、会社全体の業績だけでなく、希望する事業の収益や投資計画も確認しましょう。景気や原料価格に向き合う力に加え、製造現場の改善や脱炭素対応に関わる機会も、キャリアを考える材料になります。
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