神戸製鋼、2027年3月期第1四半期決算、営業利益35%減も通期予想は増益見通し

神戸製鋼(神戸製鋼所)が2026年8月5日に発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比1.6%増の5,783億円と微増収ながら、営業利益は同34.8%減の204億円、純利益は同68.4%減の121億円と大幅減益となった。主力の鉄鋼アルミ事業が赤字に転落したほか、前年に計上した投資有価証券売却益の反動減も響いた。一方、通期業績予想は修正され、営業利益は前期比15.5%増の1,500億円を見込む。
決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,783億円 | +1.6% | 2.7兆円 | 21% |
| 営業利益 | 204億円 | -34.8% | 1,500億円 | 14% |
| 純利益 | 122億円 | -68.4% | 1,000億円 | 12% |
| 営業利益率 | 3.5% | |||
業績のポイント
神戸製鋼の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)決算は、鉄鋼アルミ事業が赤字転落した影響で減益となったが、非鉄鋼事業の好調が下支えした。売上高は5,783億円(前年同期比1.6%増)とわずかに伸びたものの、営業利益は204億円(同34.8%減)と大きく落ち込んだ。営業外では持分法投資利益の増加や為替差益があったが、経常利益も226億円(同21.2%減)にとどまった。親会社株主に帰属する四半期純利益は121億円(同68.4%減)と急減。前年同期に計上した投資有価証券売却益144億円が剥落した影響が大きい。税金費用も増加し、実質的な収益力低下が浮き彫りとなった。
売上総利益率は前年同期の17.1%から15.9%に低下。販管費も増加し、営業減益幅を拡大させた。一方で、持分法投資利益が50億円(前年同期37億円)に拡大したことや、為替が円安方向に振れたことは下支え要因。通期業績予想は修正され、売上高2兆6,900億円(前期比10.4%増)、営業利益1,500億円(同15.5%増)と回復を見込む。
セグメント別動向
報告セグメント全体の外部売上高は前年同期比1.6%増の5,770億円、セグメント損益合計は前年同期の282億円から230億円へ減少した。以下、主要セグメントの動向を比較する。
| セグメント | 売上高(億円) | 前年同期比 | セグメント損益(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼アルミ | 2,416 | -3.0% | -23 | 黒字→赤字 |
| 素形材 | 909 | +25.1% | 81 | +110倍超 |
| 溶接 | 259 | +15.4% | 23 | +154% |
| 機械 | 568 | -8.7% | 62 | -40.3% |
| エンジニアリング | 392 | +22.4% | 60 | +416% |
| 建設機械 | 874 | +4.8% | 9 | -24.2% |
| 電力 | 348 | -23.9% | 16 | -80.5% |
| その他 | 9 | -7.9% | 15 | +439% |
鉄鋼アルミは、鋼材需要の低迷や原料価格高止まりにより赤字に転落。売上高減少に加え、棚卸資産評価差によるコスト増も響いた。素形材は自動車向け鍛造品などが好調で大幅増益。エンジニアリングはプラント工事の進捗が寄与し、利益が急拡大した。機械は前期の大型案件反動や研究開発費増で減益。電力は卸電力市場の価格低下や燃料費調整のタイムラグにより大幅減益となった。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼アルミ | 2,417億円 | 42% | -2,337百万円 | -1.0% |
| 素形材 | 909億円 | 16% | 81億円 | 8.9% |
| 溶接 | 260億円 | 5% | 23億円 | 9.0% |
| 機械 | 569億円 | 10% | 63億円 | 11.0% |
| エンジニアリング | 392億円 | 7% | 61億円 | 15.4% |
| 建設機械 | 875億円 | 15% | 9億円 | 1.0% |
| 電力 | 349億円 | 6% | 17億円 | 4.8% |
| その他 | 9億円 | - | 15億円 | - |
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は2兆8,301億円(前期末比350億円減)。売掛金回収が進んだ一方、棚卸資産が増加した。負債は社債償還や借入返済により同296億円減の1兆5,050億円。純資産は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上と配当支払により同53億円減の1兆3,251億円。自己資本比率は44.4%(前期末比0.4ポイント上昇)と財務安全性は改善した。
配当予想は据え置きで、中間・期末各40円、年間80円を予定。前期実績と同水準を維持する方針で、株主還元に変更はない。四半期キャッシュフロー計算書は作成されていないが、減価償却費は305億円(前年同期300億円)とほぼ横ばい。
リスクと課題
神戸製鋼の業績は、以下のリスク要因に左右される可能性が高い。
- 鉄鋼需要の変動:国内建設・自動車向け鋼材需要の不透明感が続く。
- 原料価格:鉄鉱石や石炭など主要原料の価格高止まりが収益を圧迫。
- 為替変動:想定以上の円高は輸出競争力に悪影響。
- 電力事業:市場価格連動型の収益構造により、燃料費調整の遅れや市況下落が減益要因に。
- グローバル経済:米中貿易摩擦や地政学リスクが建設機械・素形材の需要に波及する可能性。
通期見通し
神戸製鋼は、2027年3月期通期の業績予想を修正した。修正後の予想は、売上高2兆6,900億円(前期比10.4%増)、営業利益1,500億円(同15.5%増)、経常利益1,200億円(同1.1%減)、純利益1,000億円(同6.7%増)。第1四半期の減益にもかかわらず、通期では営業増益を見込む背景には、素形材やエンジニアリングの好調持続に加え、下期の鉄鋼事業の収益改善期待がある。
| 項目 | 2027年3月期 通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,690,000百万円 | +10.4% |
| 営業利益 | 150,000百万円 | +15.5% |
| 経常利益 | 120,000百万円 | -1.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 100,000百万円 | +6.7% |
前期に計上した特別利益の反動で純利益の伸びは限定的だが、事業利益ベースでの回復を想定している。なお、通期配当は年間80円を据え置く。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
1,972円
最新終値(2026/10/23)
2,018円+2.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#神戸製鋼#決算#四半期決算#決算分析#増収減益#鉄鋼アルミ#通期予想#営業利益#素形材#神戸製鋼所
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コメント
今期の神戸製鋼は、鉄鋼アルミ事業の赤字という厳しいスタートとなったが、素形材やエンジニアリングなど非鉄鋼事業が全体を下支えしている。通期予想の修正は、これらの事業の好調と、下期の鉄鋼需要回復への期待を織り込んだものとみられる。
一方で、電力事業の大幅減益や建設機械の伸び悩みは懸念材料だ。非鉄鋼事業の成長が全体を下支えする構図は鮮明で、収益構造の転換途上にあると言える。しかし、依然として売上・利益に占める鉄鋼アルミのウェイトは大きく、市況次第で業績が大きく振れるリスクは残る。投資家は、今後の原料価格動向と自動車向け需要の回復ペースに注目する必要がある。
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