あいHD、2026年6月期通期決算、増収増益も純利益は前期の反動で減少
あいHDの2026年6月期決算を分析すると、売上高は前年比28.4%増の850億円、営業利益は21.1%増の107億円となり、ナカヨの連結化などを背景に増収増益でした。一方、親会社株主に帰属する純利益は43.7%減の119億円。前期に計上した負ののれん発生益の反動が大きく、2027年6月期は営業増益を見込む一方、純利益は減少する計画です。

決算の数字通期
1年間の確定値(前年比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 今期予想 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 850億円 | +28.4% | 860億円 |
| 営業利益 | 108億円 | +21.1% | 110億円 |
| 純利益 | 119億円 | -43.7% | 90億円 |
| 営業利益率 | 12.7% | ||
この決算のポイント
- 1情報通信はナカヨの連結化で売上高が前年比129.2%増、設計事業も大口受注で33.6%増
- 2カード機器・事務用機器は主力製品の切り替え期となり、売上高が前年比21.0%減
- 3年間配当は前期の100円から125円へ増配、2027年6月期は140円を計画
- 4自己資本比率は前期末の77.7%から80.8%へ上昇し、現金同等物は545億円に増加
業績のポイント
あいHD(あい ホールディングス)の2026年6月期は、売上高が前年比28.4%増の850億24百万円、営業利益が21.1%増の107億62百万円、親会社株主に帰属する純利益が43.7%減の119億37百万円でした。売上高は188億27百万円、営業利益は18億73百万円増えた一方、純利益は92億65百万円減りました。売上・営業利益は増加、純利益は前期の反動で減少した決算です。
- 売上拡大: 情報通信事業にナカヨの通信機器事業が加わり、設計事業も伸長しました。
- 利益の押し上げ: セグメント利益では設計事業の伸びが目立ち、情報通信も増益となりました。
- 純利益の反動: 前期は負ののれん発生益178億78百万円を計上しましたが、当期は同益がなく、純利益を押し下げました。
- 経営の軸: 資本コストを意識し、環境変化に応じた体制整備と採算性を重視する経営を進めました。
前期の純利益にはM&Aに伴う一時的な利益が含まれており、単純な前年比だけでは本業の変化を捉えにくい点に注意が必要です。当期は固定資産売却益も計上しましたが、営業利益と経常利益はいずれも増加しました。増収の大きな要因は連結範囲の拡大であり、今後は買収した事業の収益力やグループ内の相乗効果が問われます。
セグメント別動向
セグメントの売上高の前年比では、ナカヨの連結化を受けた情報通信の伸びが突出しました。以下のグラフは各事業の売上高前年比を示し、続く自動表示の表では売上高や営業利益の規模を確認できます。
セキュリティ機器は、マンション向け分譲の新規案件が好調で、官公庁向けにAI画像解析を使った次世代システムを受注しました。安定した基盤事業として、売上と利益を確保しました。
カード機器及びその他事務用機器は、病院向けカード機器が回復傾向となり、金融機関向けの即時キャッシュカード発行機も案件を獲得しました。一方、鉄骨CADは主力製品の切り替え期にあり、売上・利益ともに厳しい結果でした。
情報機器は、業務用カッティングマシンが安定して推移しました。個人向けは低価格の新製品を投入したものの、事業全体の売上は減少し、利益は増加しました。
計測機器は前年並みに安定して推移しましたが、利益は減少しました。情報通信はナカヨの通信機器事業が新たに加わり、売上・利益が大きく伸びました。
設計事業は構造設計の受注が安定し、大口の耐震診断も獲得して増収増益となりました。その他も売上・利益を伸ばしました。
- セキュリティ+4.5%
- カード等-21.0%
- 情報機器-6.1%
- 計測機器+8.8%
- 情報通信+129.2%
- 設計事業+33.6%
- その他+16.9%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| セキュリティ機器 | 159億円 | 19% | 62億円 | 38.9% |
| カード機器及びその他事務用機器 | 25億円 | 3% | 3億円 | 12.6% |
| 情報機器 | 127億円 | 15% | 6億円 | 4.4% |
| 計測機器 | 54億円 | 6% | 8億円 | 14.4% |
| 情報通信 | 271億円 | 32% | 12億円 | 4.6% |
| 設計事業 | 74億円 | 9% | 15億円 | 19.9% |
| その他 | 140億円 | 17% | 4億円 | 2.8% |
通期見通し
2027年6月期は、売上高860億円、営業利益110億円を見込み、前期比でそれぞれ1.1%増、2.2%増と小幅な増収増益を予想します。一方、経常利益は6.7%減、純利益は24.6%減の計画です。
| 項目 | 2026年6月期実績 | 2027年6月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 850.24 | 860.00 | +1.1% |
| 営業利益(億円) | 107.62 | 110.00 | +2.2% |
| 経常利益(億円) | 125.35 | 117.00 | -6.7% |
| 純利益(億円) | 119.37 | 90.00 | -24.6% |
会社は新製品の開発・販売、販路拡大、営業体制の強化と採算性を重視した事業運営を掲げています。営業利益は増加を見込む一方、経常利益と純利益は減る計画で、利益の質や一時的な損益の影響を見極める必要があります。中東情勢や米国の通商政策、金融市場の変動などを不透明要因として挙げています。
財務状況と資本政策
総資産は前期末比3.4%増の1,456億74百万円、自己資本比率は77.7%から80.8%へ上昇しました。営業キャッシュ・フローは前期の76億47百万円から108億7百万円に増加し、期末の現金及び現金同等物は545億77百万円となりました。
| 項目 | 2025年6月期 | 2026年6月期 | 前年比・変化 |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 1,408.27 | 1,456.74 | +3.4% |
| 自己資本比率 | 77.7% | 80.8% | +3.1ポイント |
| 営業CF(億円) | 76.47 | 108.07 | +41.3% |
| 投資CF(億円) | 70.84 | 59.15 | -16.5% |
| 財務CF(億円) | -53.84 | -79.76 | 支出増 |
| 現金同等物(億円) | 447.90 | 545.77 | +21.8% |
配当は2026年6月期に中間55円、期末70円の年間125円となる予定で、前期の年間100円から25円増えます。2027年6月期は中間・期末各70円、年間140円を計画し、配当方針はDOE6%と配当性向50%のいずれか大きい額を基準としています。自社株買いの発表はなく、当期の自己株式取得による支出は2百万円でした。
営業CFの増加には税引前利益や減価償却費などが寄与しました。投資CFは固定資産売却収入などでプラスを保ち、財務CFは主に配当金の支払いでマイナスとなっています。自己資本比率の上昇と現金の積み上がりは財務余力を示す一方、買収事業の成長投資と株主還元のバランスが今後の焦点です。
戦略トピック
あいHDは、M&Aでグループに加わった岩崎通信機とナカヨの融合を進め、情報通信事業の相乗効果を早期に実現する方針です。売上拡大に寄与したナカヨの通信機器事業を、グループ全体の収益力向上につなげられるかが次の課題です。
- 情報通信の統合: 岩崎通信機とナカヨの連携を深め、販路や事業基盤の活用を進めます。
- 脱炭素事業: 株式会社アイグリーズの成長を国内外で加速させる方針です。
- 営業・製品の強化: 新製品の開発・販売と販路拡大、営業体制の強化に取り組みます。
買収した事業の規模を取り込むだけでなく、製品・販売網の連携や採算改善を実現できるかが重要です。会社は脱炭素事業も成長領域に位置づけており、情報通信とあわせて次期以降の成長投資の成果が注目されます。
リスクと課題
会社は国内経済の緩やかな回復を見込む一方、外部環境の不透明さを指摘しています。事業ごとの受注環境やM&A後の統合進捗も、業績の振れにつながる要素です。
- 地政学リスク: 中東情勢の影響が長引けば、景気や企業活動を通じて受注環境に影響する可能性があります。
- 通商政策: 米国の通商政策をめぐる動向が変化すれば、顧客の投資判断や市場環境に影響するおそれがあります。
- 金融市場の変動: 株式・為替など金融資本市場の変動が、業績や資産価値に影響する可能性があります。
- 製品切り替えと受注: 鉄骨CADは主力製品の切り替え期にあり、カード機器なども需要回復や案件獲得の継続が課題です。
- M&A後の連携: 岩崎通信機とナカヨの統合や販路活用が計画どおり進まなければ、期待する相乗効果の実現が遅れる可能性があります。
次期予想では営業利益の伸びに対して経常利益と純利益が減る計画です。外部環境に加え、買収後の統合や各事業の採算改善が進むかを確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
2,885円
最新終値(2026/10/23)
3,155円+9.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#あいHD#決算#決算分析#通期決算#増収増益#情報通信#ナカヨ#配当増額#M&A
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コメント
売上高と営業利益の増加は前向きですが、売上の伸びにはナカヨの連結化が大きく寄与しており、既存事業の成長だけで説明できる決算ではありません。
前期の負ののれん発生益によって純利益の前年比は大きく見劣りします。利益の実力を判断するうえでは、営業利益の推移と、情報通信・設計事業の成長が継続するかを分けて見るのがよさそうです。
買収事業の取り込みから相乗効果の実現へ。増配と厚い自己資本は安心材料ですが、次期は営業利益が小幅増にとどまる見通しで、M&A後の統合や脱炭素事業への投資がどの程度収益に結びつくかに注目します。
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掲載企業
あい ホールディングス株式会社
東証 3076
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