ARCHION、2027年3月期第1四半期決算、販売増で増収、統合益で純利益急伸
ARCHIONの2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期の結合財務情報比14.3%増の5,979億円となり、販売台数の増加が業績を押し上げました。営業利益は経営統合に伴う負ののれん発生益2,332億円を計上し、2,623億円に急増しています。一時的な統合益を除く営業利益も32.1%増で、実際の稼ぐ力の改善が見られます。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,979億円 | +14.3% | 2.4兆円 | 25% |
| 営業利益 | 2,623億円 | +1094.3% | 3,432億円 | 76% |
| 純利益 | 2,515億円 | +1279.8% | 3,032億円 | 83% |
| 営業利益率 | 43.9% | |||
この決算のポイント
- 1世界販売は前年同期比14%増の約6万台、国内の供給改善と東南アジアの政府受注が寄与。
- 2新車販売収益は前年同期比18%増の3,617億円、国内販売の伸びが海外を上回った。
- 3負ののれん発生益を除く営業利益は前年同期比32.1%増の290億円。
- 4通期営業利益予想は3,432億円、1株配当予想は年間8円で据え置き。
- 5営業キャッシュフローは44億円のマイナス、投資キャッシュフローは統合に伴う資金流入で2,937億円のプラス。
業績のポイント
ARCHION(ARCHION株式会社)の第1四半期は、売上収益が5,979億円と前年同期の結合財務情報比14.3%増、営業利益が2,623億円、親会社株主に帰属する四半期利益が2,515億円となりました。統合前後で連結範囲が異なるため、前年同期比は会社が示す結合財務情報との比較で、監査法人のレビューを受けていない数値です。
利益の急増には、2026年4月の経営統合で計上した負ののれん発生益が大きく影響しました。下の増減内訳が示す通り、この一時益を除いた営業利益も前年同期比32.1%増となっています。
販売台数の増加が売上を伸ばす一方、原材料価格の高騰や製造コスト、物流費の増加が利益を圧迫しました。それでも増収効果がコスト増を上回り、本業の利益は改善しています。統合益と本業改善が併存しており、営業利益の大幅増だけで持続的な収益力を判断せず、今後は一時益を除く利益の推移を追う必要があります。
- 前年同期220億円
- 負ののれん+2,332億円
- 本業の改善+70.5億円
- 当期2,623億円
セグメント別動向
ARCHIONは大型・中型車、小型車、エンジン・部品などを手がけますが、短信では単一セグメントとして開示しており、事業別の営業利益は公表していません。売上収益の内訳では、新車販売が最も大きく伸び、補給部品・サービスやその他事業も増収となりました。
| 売上の区分 | 当期売上高(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 新車販売 | 3,617 | +17.9% |
| 補給部品・サービス | 1,286 | +5.7% |
| その他事業 | 1,075 | +13.6% |
世界のトラック・バス販売台数は前年同期比14%増の約6万台でした。国内は製品供給能力の改善で販売が伸び、海外では中東の地域情勢による減少を、インドネシアの政府受注など東南アジアの増加が補いました。新車販売の伸びが全体をけん引した一方、部品・サービスの増収は販売後の収益基盤が拡大していることを示します。国内供給の回復と東南アジアの受注が販売をけん引しました。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は2兆2,814億円、親会社所有者帰属持分比率は41.3%でした。比較可能性を考慮した統合後の2026年3月末の結合財務情報と比べ、総資産は1,098億円減少し、持分比率は39.0%から2.3ポイント上昇しています。
| 項目 | 2026年6月末・第1四半期 | 補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 2兆2,814億円 | 3月末の結合情報比1,098億円減 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 41.3% | 3月末の結合情報比2.3ポイント上昇 |
| 営業キャッシュフロー | -44億円 | 四半期実績 |
| 投資キャッシュフロー | +2,937億円 | 子会社取得に伴う現金受け入れなどを含む |
| 年間配当予想 | 8円 | 中間4円、期末4円、予想修正なし |
総資産の減少には、日野自動車の販売子会社売却に伴い売却目的で保有する資産が減ったことなどが影響しました。投資キャッシュフローの大幅なプラスは通常の事業収入だけを反映したものではなく、企業結合で取得した現金などを含みます。配当予想は据え置かれ、自社株買いの発表はありません。
通期見通し
2027年3月期の通期予想は、売上収益2兆4,250億円、営業利益3,432億円、親会社株主に帰属する当期利益3,032億円です。会社は直近予想から業績予想を修正したとしていますが、この短信本文には修正前の予想額が記載されていません。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 | 第1四半期進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 短信に数値記載なし | 2兆4,250億円 | 比較可能な通期実績なし | 24.7% |
| 営業利益 | 短信に数値記載なし | 3,432億円 | 比較可能な通期実績なし | 76.4% |
| 親会社株主帰属利益 | 短信に数値記載なし | 3,032億円 | 比較可能な通期実績なし | 82.9% |
営業利益予想には、第1四半期に計上した負ののれん発生益が含まれます。一方、負ののれん発生益計上前の通期営業利益予想は1,100億円です。進捗率は一時益によって高く見えるため、今後の四半期は販売の継続性やコスト上昇を踏まえ、通常の事業利益が予想に沿って積み上がるかが焦点です。
戦略トピック
ARCHIONは2026年4月1日、日野自動車と三菱ふそうを傘下に置く経営統合を実施しました。統合の目的として、カーボンニュートラルや物流の効率化といった課題への対応、日本の商用車メーカーの競争力強化、日本・アジアの自動車産業基盤の維持を掲げています。
- 統合の形: 日野自動車との株式交換、三菱ふそうとの株式交付を同日に実施し、両社を完全子会社化しました。
- 会計上の影響: 三菱ふそうを会計上の取得企業として処理し、識別可能純資産が取得対価を上回ったことから負ののれん発生益を計上しました。
- 取得原価の配分: 負ののれん発生益は取得原価の配分が完了しておらず、現時点の情報による暫定値です。
統合で販売規模や商品・技術の幅が広がる一方、会計上の利益と事業の実力を分けて見る必要があります。統合効果を実現するには、開発・生産・販売網の連携を進め、コスト競争力や物流課題の改善につなげられるかが重要です。
リスクと課題
今回の決算は統合初年度に当たり、前年同期比較や利益の読み取りに通常より注意が必要です。会社が挙げる市場環境に加え、統合後の運営や暫定的な取得会計も注視点となります。
- 比較可能性: 会計上の取得企業である三菱ふそうの財務諸表を引き継ぎ、前期比較情報は3カ月間の同社実績です。前年同期の結合財務情報は未監査・未レビューで、通常の連続した前年同期比較とは異なります。
- 統合会計の見積もり: 負ののれん発生益は取得原価の配分が未完了の暫定額です。配分の確定によって金額が変わる可能性があり、当期利益の評価に影響します。
- 原材料・製造・物流コスト: 原材料価格の高騰や製造コスト、物流費の増加が利益を圧迫しています。販売増で吸収しきれなければ、本業の利益率が低下するおそれがあります。
- 地域情勢と販売変動: 中東では地域情勢の不安定さを背景に販売が減少しました。地域ごとの需要や受注の変化が、海外販売の振れにつながります。
- 統合の実行と事業課題: カーボンニュートラル対応や物流効率化に向けた投資・協業が必要です。統合による相乗効果が遅れれば、競争力強化やコスト改善が計画通り進まない可能性があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/7)
277円
最新終値(2026/10/23)
287円+3.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#ARCHION#決算#決算分析#四半期決算#商用車#日野自動車#三菱ふそう#経営統合#負ののれん
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コメント
今回の数字で最も重要なのは、営業利益の急増をそのまま本業の成長と受け取らないことです。負ののれん発生益を除いた営業利益も伸びており、販売台数の増加と国内供給の改善は前向きな材料です。
一方、統合後初の決算で比較情報に制約があり、取得会計も暫定段階です。投資家は、次の四半期以降に一時益を除く利益や営業キャッシュフローがどう推移するかを確認し、就活生は統合による規模拡大だけでなく、物流・脱炭素などの課題を実際の製品や事業運営で解決できるかに注目したいところです。
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掲載企業
ARCHION株式会社
東証 543A
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