アズワン、2027年3月期第2四半期決算、増収増益で通期予想を上方修正

アズワンの2027年3月期第2四半期決算を分析すると、研究開発需要や大企業向け集中購買、EC通販が伸び、売上高は前年同期比12.1%増、営業利益は14.5%増となりました。中東情勢を背景にプラスチック製消耗品の需要が一時拡大したことも寄与し、会社は通期業績予想を上方修正。上期の計画超過を受けた増収増益と予想引き上げが今回の焦点です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 576億円 | +12.1% | 1,209億円 | 48% |
| 営業利益 | 69億円 | +14.5% | 138億円 | 50% |
| 純利益 | 47億円 | +9.2% | 95億円 | 50% |
| 営業利益率 | 12.0% | |||
この決算のポイント
- 1大学・研究機関などの需要が堅調で、中間期の売上高は前年同期比12.1%増の576億39百万円
- 2営業利益は14.5%増の68億90百万円、売上総利益率は調達価格上昇を価格転嫁し30.5%を維持
- 3通期売上高予想を1,208億70百万円へ上方修正、営業利益予想も前回から6.6%引き上げ
- 4年間配当予想は前期比4円増の69円、自己株式250万株を取得し260万株を消却
業績のポイント
アズワン(アズワン株式会社)の2027年3月期中間期は、売上高が576億39百万円(前年同期比12.1%増)、営業利益が68億90百万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が47億26百万円(同9.2%増)となりました。経常利益も71億42百万円(同14.2%増)で、売上高と営業利益はともに2桁増です。
- 研究・開発需要: 大学や研究機関、大手企業を中心に需要が底堅く、大企業向け集中購買やEC通販向けの販売が伸びました。
- 商品構成: オリジナル品の販売が増加。ラボ・インダストリー、メディカルの主要部門はいずれも前年同期比10%を超える増収でした。
- 消耗品の需要変動: 中東情勢を受けて第1四半期に手袋などのプラスチック製消耗品の引き合いが急増。第2四半期には一部で反動減が出ました。
- 利益率と費用: 調達価格の上昇分を販売価格に転嫁し、売上総利益率は前期並みの30.5%。物流費や人件費が増えた一方、販管費率は前年同期を0.3ポイント下回りました。
上期は会社計画を大きく上回り、通期予想の引き上げにつながりました。純利益の伸びが営業利益を下回った背景には、固定資産除却損2億47百万円の計上もあります。中東情勢による一時的な需要増だけでなく、研究開発関連の底堅さや販売チャネルの拡大が業績を支えた点が重要です。
セグメント別動向
会社はラボラトリー、インダストリー、メディカル・介護分野などを一つの報告セグメントとしており、部門別売上高は販売店への販売実績に基づく区分です。部門別ではラボ・インダストリーが最大で、メディカルも2桁増となりました。
| 部門別売上高 | 中間期(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| ラボ・インダストリー | 48,590 | +12.4% |
| メディカル | 8,751 | +10.8% |
| その他 | 297 | +7.2% |
ラボ・インダストリー部門は、ラボラトリー分野が前年同期比12.1%増、インダストリー分野が13.3%増となりました。大学・研究機関や大手企業の研究開発需要に加え、大企業向け集中購買とEC通販向けが伸び、オリジナル品の販売増も寄与しました。
メディカル部門は前年同期比10.8%増でした。会社は詳細な増加要因を部門別には示していませんが、主要3部門すべてが10%を超える増収となっており、特定分野だけに依存しない売上拡大がうかがえます。なお、その他にはシステム利用料売上などが含まれます。
通期見通し
アズワンは2027年3月期の連結業績予想を上方修正しました。今回の売上高予想は前回発表から30億20百万円増、営業利益予想は8億50百万円増です。
| 項目(百万円) | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 | 今回予想の前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 117,850 | 120,870 | 110,698 | +9.2% |
| 営業利益 | 12,900 | 13,750 | 12,838 | +7.1% |
| 経常利益 | 13,350 | 14,150 | 13,228 | +7.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8,970 | 9,500 | 9,179 | +3.5% |
修正率は売上高が前回予想比2.6%、営業利益が6.6%、経常利益が6.0%、純利益が5.9%の引き上げです。研究開発支出の底堅さに加え、プラスチック製消耗品などの上期販売が社内計画を上回ったこと、足元の販売動向や大型案件の引き合いを踏まえ、下期も堅調な市場環境を見込んでいます。
一方、プラスチック関連製品の需要変動はおおむね落ち着きつつあるとの判断です。中間期の進捗率は売上高が約47.7%、営業利益が約50.1%、純利益が約49.7%で、上期の上振れを踏まえた通期達成の見通しが示されました。
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は1,059億63百万円、自己資本比率は71.6%となりました。前期末に比べて自己資本比率は2.2ポイント上昇し、財務基盤は厚みを増しています。
| 項目 | 2027年3月期中間期 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 1,059億63百万円 | 前期末比35億42百万円増 |
| 自己資本比率 | 71.6% | 前期末から2.2ポイント上昇 |
| 営業活動CF | 42億49百万円 | 前年同期比77百万円減 |
| 投資活動CF | 35億82百万円の収入 | 前年同期は8億40百万円の支出 |
| 現金及び現金同等物 | 241億23百万円 | 前期末比91億32百万円増 |
営業キャッシュフローは、税引前利益の増加があった一方、仕入債務の減少や棚卸資産の増加などが影響しました。投資キャッシュフローが収入となった主因は投資有価証券の償還や定期預金の払戻しであり、通常の事業活動による資金創出とは分けて見る必要があります。
年間配当予想は69円(前期実績65円)に引き上げました。中間配当は前年同期の31円から33円に増額し、期末配当予想は36円です。さらに、公開買付けで自己株式250万4株を約53億78百万円で取得し、10月30日に260万株を消却しました。会社は資本効率の向上と株主還元を目的に挙げています。
リスクと課題
中間期は増収増益となりましたが、需要の一部には外部環境による振れがあります。会社は将来の業績がさまざまな要因で予想と異なる可能性があると説明しており、上期の勢いがそのまま続くかを見極める必要があります。
- 地政学リスク: 中東情勢の変化がプラスチック製消耗品の調達や引き合いに影響します。供給不安が和らげば、上期に急増した商品の販売が反動で弱まる可能性があります。
- 調達価格の変動: 原材料価格やエネルギー価格の変動は仕入コストを押し上げます。中間期は販売価格への転嫁で売上総利益率を維持しましたが、転嫁の遅れや難航は利益を圧迫する要因です。
- 需要環境の不透明さ: 研究開発需要や大型案件の引き合いが堅調に推移するかが通期計画の達成を左右します。会社は下期も堅調な市場を想定する一方、需要の変化を踏まえて予想を利用するよう求めています。
- 費用増加: 売上拡大に伴う物流費に加え、中途採用や賃上げによる人件費が増加しています。効率的な支出を続けられるかが、売上の伸びを利益につなげるうえで課題です。
注目点は、上期の成長を一時的な消耗品需要だけに頼らず、研究・開発関連や販売チャネルの拡大で下期にもつなげられるかです。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
2,576円
最新終値(2026/10/30)
2,576円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
アズワンをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて専門商社業界の今
掲載35社アズワンは専門商社業界の掲載35社中、売上高で32位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +24.7%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +11.0%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 14社下方 2社
- 営業利益率(業界)
- 3.0%
- アズワン+2.3%
- 専門商社(業界平均)+24.7%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は18社合計で売上高+12.3%・営業利益+35.3%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は7社、下回る企業は7社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは14社、下方修正は2社。修正幅が最も大きいのはミスミ(営業利益+41.8%)。





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アズワンの強みは、研究・開発需要を背景に、大学や大手企業など複数の顧客層と販売チャネルを通じて売上を伸ばしている点です。調達価格が上がる局面でも販売価格への転嫁で粗利益率を保ったことは、卸売事業の価格対応力を示しています。
一方、上期のプラスチック製消耗品の伸びには中東情勢を受けた一時的な需要が含まれます。通期予想の引き上げを評価しつつ、下期は大型案件の実現度と、研究開発需要の堅調さが利益成長を支えるかを確認したいところです。
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