
中部電力、2027年3月期第1四半期決算、営業赤字も通期黒字予想、配当は70円維持
売上高
8,258億円
+3.2%
通期予想
3.9兆円
営業利益
-25,063百万円
純利益
352億円
-58.7%
通期予想
1,600億円
営業利益率
-3.0%
中部電力が発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の連結決算は、売上高が前年同期比3.2%増の8,258億円となったものの、燃料費高騰や電気料金制度の変更影響で営業損益は250億円の赤字(前年同期は679億円の黒字)に転落した。営業赤字転落により経常利益も74.1%減の271億円、純利益は58.7%減の352億円と大幅減益。一方、通期予想は売上高3.9兆円(前期比10.0%増)、経常利益1,850億円(36.4%減)と、固定費削減や料金改定により下期挽回を見込む。配当は年間70円を維持する方針。
業績のポイント
中部電力(中部电力株式会社)が公表した2027年3月期第1四半期(2026年4月1日~6月30日)の連結業績は、増収ながら営業赤字に直面した。売上高(営業収益)は8,258億43百万円(前年同期比3.2%増)と拡大したが、営業損益は250億63百万円の損失となり、前年同期の679億32百万円の利益から一転して赤字に陥った。これは主として電気事業における燃料費の大幅上昇と、燃料費調整制度タイムラグの影響で収支が悪化したためである。
経常利益は271億44百万円(同74.1%減)と急減し、親会社株主に帰属する四半期純利益は352億2百万円(同58.7%減)にとどまった。持分法による投資利益が565億37百万円と営業外で貢献したものの、営業段階の赤字を補うには至らなかった。第1四半期としては、電気料金の改定で収入は増加したが、LNGや石炭など燃料価格の高止まりがコストを押し上げ、利益を圧迫した形だ。
一方、通期の連結業績予想を公表し、売上高3兆9,000億円(前期比10.0%増)、経常利益1,850億円(同36.4%減)、純利益1,600億円(同29.8%減)と、下期の黒字回復を見込む。直近予想からの修正有りとされ、期初に比べても慎重な見通しだが、配当は年間70円を据え置く。
業績推移(通期)
セグメント別動向
中部電力の事業セグメントは電気事業とその他事業に大別され、第1四半期の業績は対照的な構図となった。
電気事業は、売上高が7,214億92百万円(前年同期比5.4%増)と伸長したものの、営業費用が7,499億42百万円(同20.1%増)に跳ね上がり、284億50百万円の営業損失(前年同期は602億77百万円の利益)に沈んだ。燃料費高騰に加え、固定費の増加や減価償却費の増加が響いた。原子力発電所の稼働状況は明らかにされていないが、火力燃料への依存度が高い収益構造が悪化要因となっている。
その他事業は、売上高1,043億51百万円(同9.8%減)と縮小したが、営業利益は33億87百万円(同55.8%減)に落ち込んだ。情報通信や海外事業などで競争激化や低採算案件の影響があったとみられる。
| セグメント | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 営業利益率 | 売上高構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 電気事業 | 721,492 | △28,450 | △3.9% | 87.4% |
| その他事業 | 104,351 | 3,387 | 3.2% | 12.6% |
| 合計 | 825,843 | △25,063 | △3.0% | 100% |
電気事業の赤字幅は全体の営業赤字を主導しており、下期には料金改定やコスト削減による収支改善が焦点となる。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 電気事業 | 7,215億円 | 87% | -28,450百万円 | -3.9% |
| その他事業 | 1,044億円 | 13% | 34億円 | 3.2% |
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、売上高3兆9,000億円(前期比10.0%増)、経常利益1,850億円(同36.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,600億円(同29.8%減)と見込まれている。第1四半期こそ営業赤字となったが、通期では黒字確保を計画。夏季以降の電力需要拡大や、期央の料金改定による収入増、さらには固定費削減や業務効率化の深化が下期の回復を後押しする。直近に公表されていた業績予想からは修正があったことが注記されているが、修正幅や方向は明らかにされておらず、市場では保守的な前提を織り込んだとの見方もある。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 (百万円) | 非開示 | 3,900,000 | 非開示(前期比10.0%増) |
| 経常利益 (百万円) | 非開示 | 185,000 | 非開示(前期比36.4%減) |
| 純利益 (百万円) | 非開示 | 160,000 | 非開示(前期比29.8%減) |
配当予想は中間35円、期末35円の年間70円を維持し、株主還元には前向きな姿勢を崩していない。
財務状況と資本政策
当第1四半期末の総資産は7兆6,419億81百万円と、前期末(2026年3月末)から107億19百万円減少した。これは現預金が994億2百万円減の2,372億84百万円となったことが主因で、設備投資や運転資金の増加によるものと考えられる。有利子負債(社債+借入金)は固定・流動合わせて大きく変動していないが、1年以内返済の固定負債が増加しており、資金繰りには注意を要する。
純資産は3兆2,401億60百万円へと前期末比273億54百万円増加し、自己資本比率は41.5%(同0.5ポイント上昇)と財務の健全性は保たれている。四半期連結キャッシュフロー計算書は未開示だが、営業損失にもかかわらず当期純利益を確保したことで内部留保は積み上がった。配当政策では2027年3月期も年間配当70円(中間35円、期末35円)を予定し、安定配当の継続を明確にしている。自己株買いの発表は今四半期にはない。
リスクと課題
今回の決算短信では明示的なリスク情報の開示はなかったが、電力事業を取り巻く環境では以下の課題が浮かび上がる。
- 燃料価格の変動リスク:LNGや石炭の国際価格は地政学リスクや需給逼迫で高止まりしており、燃料費調整制度のタイムラグもあって収益に直接影響する。
- 原子力発電所の再稼働不確実性:浜岡原子力発電所の再稼働の見通しが立たないなか、火力への依存がコスト構造を脆弱にしている。
- 電力小売自由化の競争激化:新電力との顧客獲得競争により、料金引き下げ圧力が強まっている。
- 気候変動と需要変動:夏季冷房需要の増加が見込まれる一方、脱炭素の流れで産業用電力需要が構造的に減少する可能性がある。
特に、営業赤字に転落した第1四半期の結果は、燃料費高騰への耐性の弱さを露呈しており、今後の料金改定やコスト削減の成否が通期業績の鍵を握る。
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第1四半期の営業赤字転落は、中部電力の収益構造の脆弱性を改めて示した。燃料費調整制度のタイムラグにより価格転嫁が追いつかず、電気事業で大幅な赤字を計上した点は、同業他社と共通する構造問題だ。特にLNGや石炭価格の高止まりが大きく響いており、再エネ拡大や原子力再稼働の遅れが収益圧迫に拍車をかけている。
一方、通期で黒字を見込む強気の姿勢は、料金改定が想定通り進むことが前提であり、規制当局との交渉や消費者離れのリスクも孕む。
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