
東京電力、2027年3月期第1四半期決算、売上高3.9%増も営業赤字に転落
売上高
1.5兆円
+3.9%
営業利益
-34,270百万円
純利益
-9,793百万円
営業利益率
-
東京電力が発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比3.9%増の1兆4811億円となったものの、営業損益は343億円の赤字に転落した。燃料費や減価償却費の増加が響いた。一方、前年同期に計上した巨額の災害特別損失がなくなったことで、親会社株主に帰属する四半期純損失は98億円と、前年同期の8577億円から大幅に縮小した。
業績のポイント
売上高は1兆4811億円と前年同期比3.9%増となったが、営業損益は343億円の赤字(前年同期は647億円の利益)に陥った。主因は、電気事業における燃料費増加や減価償却費の増加だ。
経常利益は114億円と前年同期の1013億円から88.7%減と大幅に減少した。ホールディングスや燃料・火力事業で持分法投資利益や受取配当金が計上されたものの、送配電や小売電気事業の収益悪化が響いた。
純損益は98億円の赤字だが、前年同期の8577億円の赤字から9割以上縮小した。これは前年同期に計上された903億円の災害特別損失がなくなったことが大きい。ただし、原子力損害賠償費は157億円計上されており、依然として福島事故関連コストが重荷となっている。
業績推移(通期)
セグメント別動向
東京電力を支える5つの主要セグメントの業績は明暗が分かれた。
ホールディングス部門は外部売上高が552億円と少ないが、子会社からの配当金等によりセグメント利益は3027億円と圧倒的な収益力を示した。フュエル&パワー(燃料・火力発電)も同様に、外部売上高は僅か8億円ながら、内部取引や持分法利益により567億円のセグメント利益を計上した。
一方、一般家庭や企業に電力を届けるエナジーパートナー(小売電気)は、外部売上高が1兆521億円と最大のセグメントだが、仕入燃料費高騰や競争激化により509億円のセグメント損失を計上した。パワーグリッド(送配電)も、売上高3504億円に対して固定費負担が重く312億円の損失となった。
リニューアブルパワー(再生可能エネルギー)は売上高226億円、282億円の利益と堅調だった。全体として、内部配当に依存する構造が明らかだ。
| セグメント名 | 外部売上高(億円) | セグメント利益(億円) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| ホールディングス | 552 | 3,027 | 548% |
| フュエル&パワー | 8 | 567 | 7,087% |
| パワーグリッド | 3,504 | -312 | -8.9% |
| エナジーパートナー | 10,521 | -509 | -4.8% |
| リニューアブルパワー | 226 | 282 | 124.8% |
(注:セグメント利益は経常利益ベース、内部取引消去前)
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ホールディングス | 552億円 | 4% | 3,027億円 | 548.0% |
| フュエル&パワー | 8億円 | 0% | 567億円 | 7087.0% |
| パワーグリッド | 3,504億円 | 24% | -31,218百万円 | -8.9% |
| エナジーパートナー | 1.1兆円 | 71% | -50,932百万円 | -4.8% |
| リニューアブルパワー | 226億円 | 2% | 282億円 | 124.8% |
財務状況と資本政策
当四半期末の総資産は15兆3702億円と前期末比2053億円減少した。現預金が9372億円から6009億円へ減少した一方、固定資産は増加した。有利子負債は社債が3兆4010億円、短期借入金が2兆9753億円と依然として高水準だ。
純資産は3兆4244億円で自己資本比率は22.1%(前期末21.8%)とやや改善した。しかし、配当は前期に続き0円が予想されており、株主還元の目途は立っていない。
キャッシュフロー計算書は四半期では作成されていないが、減価償却費は1072億円と前年同期の951億円から増加している。
リスクと課題
福島第一原子力発電所事故に関連するリスクが最大の懸念事項だ。廃炉・賠償費用は今後も変動する可能性があり、合理的な見積もりが困難な部分も残る。
具体的には、
- 原子力損害賠償引当金は5172億円だが、ALPS処理水の海洋放出による外国政府の輸入停止措置など、賠償額の全容は未確定
- 災害損失引当金は1兆2537億円、特定原子力施設炉心等除去引当金は4300億円と多額
- 燃料価格は中東情勢等により不透明で、2027年3月期通期業績予想は未定
また、電力小売市場の競争激化も収益を圧迫しており、エナジーパートナーの赤字が続けば、ホールディングスへの配当にも影響を与えかねない構造的な脆弱さも抱える。
2027年3月期通期見通し
会社は2027年3月期の連結業績予想を未定とした。理由として、中東情勢等が燃料価格に与える影響が不透明であることを挙げている。売上高、営業損益、経常損益、純損益のすべてが未定であり、見通しが立ち次第開示するとしている。
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今期第1四半期は、売上高こそ微増したものの、営業赤字への転落は、電力小売事業の収益環境の厳しさを如実に示している。エナジーパートナーとパワーグリッドの赤字は、燃料費や固定費負担が重く、料金転嫁が十分に進んでいない可能性がある。
一方で、ホールディングスや燃料・火力事業の利益が連結経常利益を下支えしている構図は持続可能性に疑問符がつく。内部配当に依存した収益構造は、子会社の業績悪化が直ちに全体に波及するリスクを孕む。
純損失が大幅に縮小したとはいえ、依然として福島事故の賠償・廃炉費用は経営の重石であり、通期見通し未定の状況は投資家にとって不透明感が強い。燃料価格動向と廃炉スケジュールの進展に加え、小売競争の影響が今後の焦点となる。
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