業界ダイジェスト
富士電機株式会社 の会社詳細
富士電機株式会社
富士電機
2026年3月期 通期

富士電機・2026年3月期通期、営業利益16.1%増の1,366億円——データセンター・再エネ需要が牽引し過去最高益を更新

過去最高益
データセンター
パワー半導体
増配
自社株買い
脱炭素
GX投資
6504
株主還元
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1.2兆円

+9.3%

通期予想

1.3兆円

進捗率96%

営業利益

1,366億円

+16.1%

通期予想

1,425億円

進捗率96%

純利益

980億円

+6.3%

通期予想

1,050億円

進捗率93%

営業利益率

11.1%

富士電機が28日に発表した2026年3月期連結決算は、売上高が前期比 9.3%増1兆2,275億円、営業利益が同 16.1%増1,366億円 となり、全ての利益項目で過去最高を更新した。生成AIの普及に伴うデータセンター向けの電源インフラ需要や、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー投資が強力な追い風となった。同社は好調な業績を背景に、年間配当を前期比40円増の 200円 に引き上げるほか、最大 210億円 の自社株買い実施を決定するなど、積極的な資本政策を打ち出している。

トーク

富士電機 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

2026年3月期の業績は、世界的なエネルギー需要の構造変化を的確に捉え、増収増益を達成した。売上高は 1兆2,275億円(前期比 +9.3%)、営業利益は 1,366億円(同 +16.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は 980億円(同 +6.3%)を記録した。特に国内工場での変圧器や開閉装置などの生産能力増強が、旺盛なインフラ需要の取り込みに寄与している。

利益面では、人的投資の拡充による人件費の増加や、銀・銅といった原材料価格の高騰が重石となったものの、プラント・システム事業の量出増加や適切な価格転嫁がそれらを十分に吸収した。投資有価証券売却益を特別利益に計上したことも、最終利益の押し上げに貢献している。中期経営計画「熱く、高く、そして優しく2026」の最終年度に向けて、収益力の強化が着実に進んでいることが示された。

指標2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)前年同期比
売上高1兆1,234億円1兆2,275億円+9.3%
営業利益1,176億円1,366億円+16.1%
経常利益1,187億円1,393億円+17.3%
当期純利益922億円980億円+6.3%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

エネルギーセグメントは、データセンター向けや再生可能エネルギー関連の需要が急増し、業績を強力に牽引した。売上高は 3,941億円(前期比 +11.2%)、営業利益は 595億円(同 +64.1%)と大幅な増益を達成した。特にデータセンター向けの施設・電源システム分野や、水力発電などのプラント分野における大口案件の検収が利益に大きく貢献した。

インダストリーセグメントも、ITソリューション分野の大型案件が寄与し、売上高 4,672億円(前期比 +16.8%)、営業利益 444億円(同 +30.6%)と好調だった。社会インフラの老朽化に伴う更新需要や、製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が堅調に推移している。一方で、半導体セグメントは売上高こそ 2,373億円 と横ばいだったが、営業利益は 235億円(前期比 △36.7%)と落ち込んだ。これは電動車(xEV)向けパワー半導体の需要一時停滞や、中国市場での激しい価格競争、原材料高が影響したものである。

セグメント売上高(億円)営業利益(億円)前期比(利益)
エネルギー3,942595+64.1%
インダストリー4,672444+30.6%
半導体2,374235△36.7%
食品流通1,080131△5.8%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
エネルギー3,942億円32%595億円15.1%
インダストリー4,672億円38%444億円9.5%
半導体2,374億円19%235億円9.9%
食品流通1,080億円9%131億円12.2%

財務状況と資本政策

当期末の総資産は、売掛金や棚卸資産の増加を主因に、前期末比945億円増の 1兆4,066億円 となった。一方で、有利子負債はリース債務の返済が進んだことで158億円減の 891億円 に縮小した。自己資本比率は前期末の52.7%から 56.9% へと上昇し、財務基盤の健全性は一段と向上している。キャッシュフロー面では、営業活動により 1,235億円 のキャッシュを創出した。

株主還元については、配当性向30%目安に基づき、年間配当を前期の160円から40円増配の 200円 とした。さらに、機動的な利益還元と資本効率の向上を目指し、210億円(上限250万株)を上限とする自社株買いの実施を決定した。取得期間は2026年5月から2027年3月末までとなっており、株主還元への積極的な姿勢が評価される内容となっている。

リスクと課題

今後の経営課題として、同社は以下のリスク要因を挙げている。第一に、米国の通称政策や地政学リスクに伴う世界経済の不透明感である。特にパワー半導体事業においては、中国市場での競合激化や技術革新のスピードが、収益性に大きな影響を及ぼす可能性がある。第二に、原材料・エネルギー価格の変動リスクである。銀や銅といった主要部材の価格高騰に対し、価格転嫁や原価低減が追いつかない場合、利益を圧迫する懸念がある。

また、急速に拡大するデータセンター向け需要への対応として、国内工場や海外生産拠点の生産能力増強が急務となっている。旺盛な需要を確実に受注に結びつけるための、高度な技術者の確保と人的資本の強化も重要な課題として掲げている。

通期見通し

2027年3月期の通期連結業績は、売上高が 1兆2,750億円(前期比 +3.9%)、営業利益が 1,425億円(同 +4.3%)と、さらなる増収増益を見込む。エネルギーセグメントの好調が継続する一方、半導体セグメントは産業分野の回復を織り込みつつも、慎重な見通しを立てている。想定為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=175円としており、為替の変動による影響にも注視が必要である。

項目2026年3月期(実績)2027年3月期(予想)増減率
売上高1兆2,276億円1兆2,750億円+3.9%
営業利益1,366億円1,425億円+4.3%
純利益980億円1,050億円+7.1%
AIアナリストの視点

富士電機の今期決算は、まさに「時代の潮流」を味方につけた内容と言えます。

  • 強みは、生成AIブームに伴う電力インフラ需要の急拡大を、重電メーカーとしての信頼性でしっかり取り込めている点です。特にエネルギーセグメントの利益成長は目覚ましく、単なる設備販売からシステム提案へのシフトが功を奏しています。
  • 懸念点は、パワー半導体セグメントの利益率低下です。競合他社も増産を急ぐ中、中国勢との価格競争が激化しており、今後はSiC(炭化ケイ素)といった次世代製品での差別化が急務となるでしょう。
  • 投資家目線では、配当の大幅増配に加え、発行済株式の1.7%に相当する210億円規模の自社株買いを発表したことがポジティブサプライズです。財務体質の改善が進んだことで、キャッシュを還元に回す余裕が出てきたことが伺えます。