インソース、2026年9月期第3四半期決算、増収増益と配当増額、自社株買い

インソースの2026年9月期第3四半期決算を分析すると、売上高は前年同期比8.9%増、営業利益は3.7%増、純利益は6.2%増となり、増収増益でした。人的資本経営やAI・DX教育への需要を取り込み、研修やLMSの利用が伸びました。通期予想は据え置く一方、年間配当予想を25円から35円に引き上げ、自己株式の取得と消却も決定。教育需要の拡大を利益成長と株主還元につなげる決算です。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 116億円 | +8.9% | 160億円 | 72% |
| 営業利益 | 44億円 | +3.7% | 64億円 | 70% |
| 純利益 | 31億円 | +6.2% | 44億円 | 70% |
| 営業利益率 | 38.4% | |||
この決算のポイント
- 1講師派遣型研修の売上高は前年同期比10.8%増の55.8億円で、全体の伸びをけん引
- 2DX関連の公開講座受講者数は前年同期比25.8%増、ITサービスのARRは4.3%増
- 3通期予想は売上高160億円、営業利益63.8億円で据え置き、営業利益は前期比6.7%増を見込む
- 4年間配当予想を前期の25円から35円へ増額、うち5.5円は記念配当
- 5最大30億株ではなく300万株、上限20億円の自己株取得を決定し、最大400万株を消却する方針
業績のポイント
インソース(株式会社インソース)の2026年9月期第3四半期累計は、売上高が前年同期比8.9%増、営業利益が3.7%増、親会社株主に帰属する純利益が6.2%増でした。売上高は94.5億円増えた一方、営業利益の増加は1.6億円にとどまり、売上の伸びに比べ利益の伸びが緩やかです。
- 研修需要: 人的資本経営や人手不足を背景に、社会人教育市場の需要が底堅く推移しました。
- AI・DX対応: 生成AI活用やDX推進の研修、コンサルティングなどを拡充し、関連サービスを強化しました。
- 販管費の抑制: 厳選採用や生成AIの活用、グループ内の人員配置最適化で費用増を抑えました。
- 利益の下支え: 投資有価証券売却益が前年同期より増え、経常利益の伸びを支えました。
講師派遣型研修と公開講座に加え、LMS「Leaf」の利用も拡大しており、教育需要を複数のサービスで取り込んでいます。一方、販管費は前年同期から増加しており、今後は売上成長を利益率の改善に結びつけられるかが焦点です。増収を実現しつつ、利益成長の加速が次の課題となります。
セグメント別動向
会計上は教育サービス事業の単一セグメントで、事業別の営業利益は開示していません。売上高では講師派遣型研修が最大で、各事業が前年同期を上回りました。
| 事業区分 | 売上高(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 講師派遣型研修 | 55.8 | +10.8% |
| 公開講座 | 28.1 | +8.4% |
| ITサービス | 15.2 | +4.8% |
| その他 | 16.7 | +7.4% |
講師派遣型研修はデジタル関連研修の実施回数が前年同期比16.7%増え、研修全体の実施回数も5.1%増加しました。公開講座はDX関連の受講者数が25.8%増え、平均単価も4.3%上昇しました。ITサービスではLMS「Leaf」のアクティブユーザーが6月末に546万人を超え、有料利用組織数は919組織となり、前年同期末から85組織増えました。ARRは14.75億円で前年同期末比4.3%増です。需要の伸びが目立つ研修分野に加え、継続課金型のITサービスも利用基盤を広げています。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 教育サービス事業 | 116億円 | 100% | 44億円 | 38.4% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比4.6億円増の166.1億円、自己資本比率は前期末の77.3%から81.3%へ上昇しました。配当の増額に加え、自己株式の取得・消却を決め、株主還元と資本構成の見直しを進めています。
| 項目 | 2026年6月末・予想 | 比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 166.1億円 | 前期末比+4.6億円 |
| 純資産 | 135.1億円 | 前期末比+10.2億円 |
| 自己資本比率 | 81.3% | 前期末77.3% |
| 年間配当予想 | 35円 | 前期25円、+10円 |
| 自己株式取得 | 上限300万株、20億円 | 2026年9月30日まで |
自己資本比率の上昇には、利益剰余金が前期末から9.8億円増えたことなどが寄与しました。年間配当予想は普通配当29.5円に記念配当5.5円を加えた水準です。自己株式は7月31日までに約200.5万株、約14.9億円分を取得済みで、取得分と保有株式の一部を含む最大400万株を9月30日に消却する予定です。なお、四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、期間中の営業・投資・財務キャッシュ・フローは確認できません。増配と自社株買いを同時に進める資本政策が注目点です。
通期見通し
2026年9月期の通期業績予想は、2026年5月7日に公表した内容から変更ありません。売上高160億円、営業利益63.8億円、親会社株主に帰属する当期純利益44億円を見込み、いずれも前期比で増加する計画です。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 160億円 | 160億円 | +10.3% |
| 営業利益 | 63.8億円 | 63.8億円 | +6.7% |
| 経常利益 | 64.3億円 | 64.3億円 | +7.2% |
| 純利益 | 44億円 | 44億円 | +6.5% |
第3四半期までの進捗は、売上高が通期予想の約72%、営業利益が約70%、純利益が約70%です。会社は業績予想を据え置いており、残る期間は講師派遣型研修や公開講座の需要、Leafの利用拡大が計画達成の鍵になります。前期実績の金額はこの短信に掲載されていないため、表では会社が示す前期比を記載しました。
戦略トピック
インソースはAI・DX教育のサービス拡充と、自己株式取得・消却を進めます。事業面では研修やコンサルティング、LMSの機能強化を組み合わせ、企業の人材育成ニーズに幅広く応える方針です。
- 研修コンテンツ: 生成AI活用やDX推進の研修を開発し、公開講座ではオンデマンド配信も始めました。
- 法人向け支援: 生成AI活用のコンサルティングと経営層向けコミュニティの提供を開始しました。
- LMS「Leaf」: 生成AI関連機能を追加し、販促を強化。アクティブユーザー数は前年同期比19.3%増えました。
- 株式の消却: 取得株式と保有する自己株式の一部を合わせ、最大400万株を消却する計画です。
企業の人材育成では、研修を一度提供するだけでなく、学習管理システムや継続的な支援につなげることが重要になります。インソースはサービスの幅を広げるとともに、資本政策では取得株式の消却を通じて株主価値の向上を目指します。
リスクと課題
人材育成やAI・DX教育の需要は追い風ですが、市場の成長がそのまま利益拡大につながるとは限りません。短信に記載された事業環境と施策を踏まえると、需要の継続性やサービスの差別化、費用管理が今後の確認点です。
- 需要の変化: 企業の教育投資が弱まれば、研修実施回数や受講者数が減り、売上高の伸びが鈍る可能性があります。
- AI・DX分野の競争: 生成AI関連の教育サービスは市場拡大が見込まれる一方、競合の参入や技術変化に対応できなければ、サービスの優位性が低下しかねません。
- 利益率の維持: 売上高の伸びに対して営業利益の伸びは小さく、採用や営業、サービス開発に伴う費用が増えると、利益成長を圧迫する可能性があります。
- 通期計画の達成: 業績予想は据え置かれており、残る期間の受注や研修実施、利用組織の拡大が計画達成の焦点です。
会社は業績見通しがさまざまな要因で実績と異なる可能性があると説明しています。投資家は、売上の成長だけでなく、営業利益の伸びやLMSの有料利用組織数、AI・DX関連サービスの利用動向も併せて確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/3)
750円
最新終値(2026/10/23)
702円-6.4%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#インソース#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#人材育成#AI・DX研修#LMS#増配#自社株買い
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コメント
人的資本経営やAI・DX教育の広がりを、講師派遣型研修だけでなく公開講座やLMSにも結びつけている点は、インソースの強みです。特にLeafの利用者・有料組織の増加は、単発型の研修とは異なる継続収入の土台になります。
一方、売上高の伸びほど営業利益が伸びていない点は見逃せません。記念配当を含む増配と自社株買いは株主還元を強めますが、今後はAI関連サービスの拡大が利益率の改善にも結びつくかを見極めたいところです。
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