きんでん、2027年3月期第2四半期決算、営業益32%増で通期予想を上方修正

きんでんの2027年3月期第2四半期決算は、完成工事高が前年同期比11.5%増、営業利益が32.0%増、純利益が38.8%増となり、増収増益でした。工場や商業施設などの工事が伸び、生産性向上や原価低減も採算を押し上げました。会社は弘電社の連結子会社化も織り込み、通期業績予想を上方修正。受注増と採算改善がそろう中間決算です。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,582億円 | +11.5% | 8,500億円 | 42% |
| 営業利益 | 420億円 | +32.0% | 1,050億円 | 40% |
| 純利益 | 313億円 | +38.8% | 750億円 | 42% |
| 営業利益率 | 11.7% | |||
この決算のポイント
- 1個別受注工事高は17.2%増の5,400億円、期末手持工事高は24.8%増の8,303億円に拡大
- 2一般電気工事の受注は16.7%増、環境関連工事は94.7%増と伸び、情報通信工事は10.9%減
- 3弘電社を9月30日付で完全子会社化し、通期予想には10月以降の6カ月分の業績を反映
- 4年間配当予想は240円で前期の130円から増加、中間・期末に各50円の特別配当を含む
- 5自己株式3,350万株を取得・消却し、取得額は2,236億円。短期借入金も大きく増加
業績のポイント
きんでん(株式会社きんでん)は2026年4〜9月期に増収増益となり、売上高にあたる完成工事高と営業利益、親会社株主に帰属する中間純利益はいずれも前年同期を上回りました。会社が4月27日に公表した中間期の連結業績予想も、すべて上回りました。利益の伸びが売上の伸びを上回る決算です。
- 完成工事高: 3,581億9,500万円、前年同期比11.5%増。個別では工場、商業・娯楽施設、物流施設などの工事が増加しました。
- 営業利益: 419億7,000万円、前年同期比32.0%増。完成工事総利益の伸びが販売費及び一般管理費の増加を上回りました。
- 経常利益: 426億600万円、前年同期比25.4%増。営業利益の増加が主な押し上げ要因です。
- 親会社株主に帰属する中間純利益: 313億2,100万円、前年同期比38.8%増。投資有価証券売却益も前年同期を上回りました。
完成工事高の増加には、関西電力送配電の工事量増加に加え、一般得意先向け工事の伸びが寄与しました。会社は生産性向上や原価低減の取り組みで採算性が改善したと説明しており、売上拡大だけでなく利益率の改善も進んだ形です。ただし、中間純利益には投資有価証券売却益など営業外・特別損益の動きも含まれるため、営業利益の伸びと分けて見る必要があります。
セグメント別動向
決算短信では事業セグメント別の業績を分けて開示していません。ここでは工事種別と受注状況を手掛かりにみると、個別の受注工事高は前年同期比17.2%増の5,400億6,500万円、期末手持工事高は24.8%増の8,303億7,100万円となり、今後の売上につながる工事量が積み上がりました。
| 工事種別 | 受注工事高(百万円) | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 配電工事 | 44,708 | +8.1% |
| 一般電気工事 | 372,802 | +16.7% |
| 情報通信工事 | 27,196 | -10.9% |
| 環境関連工事 | 66,242 | +94.7% |
| 電力その他工事 | 29,115 | -18.0% |
受注増をけん引したのは、一般電気工事と環境関連工事です。会社によると、一般電気工事では教育・文化施設や商業・娯楽施設が増え、環境関連工事では事務所ビルなどの受注が伸びました。一方、情報通信工事は構内通信、電力その他工事は発・変電所関連の受注が減少しており、工事分野ごとに強弱があります。完成工事高全体も前年同期比9.0%増の2,914億9,000万円となり、配電、一般電気、情報通信、環境関連、電力その他の各工事で前年同期を上回りました。
通期見通し
きんでんは2027年3月期の連結業績予想を上方修正し、売上高・各利益の見通しを前回公表値から引き上げました。下表の前回予想の金額は今回の決算短信本文に記載がないため、数値は補っていません。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績 | 今回予想の前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高(百万円) | 記載なし | 850,000 | 750,739 | +13.2% |
| 営業利益(百万円) | 記載なし | 105,000 | 90,293 | +16.3% |
| 経常利益(百万円) | 記載なし | 105,000 | 94,493 | +11.1% |
| 純利益(百万円) | 記載なし | 75,000 | 69,444 | +8.0% |
上方修正の理由として、個別業績では生産性向上や原価低減による採算性の向上を挙げました。連結業績には、9月30日に完全子会社化した弘電社の2026年10月から2027年3月までの業績を新たに織り込みます。個別の受注工事高予想も、4月公表の6,800億円から7,500億円に引き上げており、受注環境と採算改善の両面を反映した見通しです。
財務状況と資本政策
9月末の総資産は前期末比で小幅に減少しましたが、自己株式取得に伴う借入金の増加などで負債が膨らみ、自己資本比率は低下しました。営業活動では資金を確保した一方、弘電社関連の取得支出や自己株式取得が大きく、現金及び現金同等物は前期末から減少しています。
| 項目 | 2026年9月末・中間期 | 前期末・前年同期 | 増減・比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 905,955 | 913,763 | 前期末比-0.9% |
| 自己資本比率 | 49.6% | 72.4% | -22.8ポイント |
| 営業CF(百万円) | 49,237 | 43,722 | 前年同期比+12.6% |
| 投資CF(百万円) | -53,997 | -46,068 | 支出が拡大 |
| 現金及び現金同等物(百万円) | 154,170 | 182,353 | 前期末比-28,182 |
- 配当: 中間配当は120円、年間予想は240円。前期の年間配当130円を上回り、中間・期末配当にはそれぞれ50円の特別配当を含みます。
- 自己株式取得: 取締役会決議に基づき3,350万株を取得・消却し、取得支出は2,236億7,900万円でした。
自己株式の取得と消却に伴い、短期借入金は前期末の150億200万円から2,295億1,300万円へ増えました。株主還元を大幅に強める一方、自己資本比率の低下や借入金の増加が生じており、今後は成長投資・還元と財務の安定性をどう両立するかが注目点です。
戦略トピック
きんでんは公開買付けなどを経て、2026年9月30日付で弘電社を完全子会社化しました。これにより弘電社は連結子会社となり、会社は同社の10月以降の業績を通期予想に反映しています。弘電社の完全子会社化で事業基盤を拡充する動きです。
- 連結範囲の拡大: 弘電社を新たに連結対象とし、2026年10月から2027年3月までの業績を今期予想に織り込みました。
- 取得に伴う資金支出: 中間期のキャッシュ・フロー計算書には、関係会社株式の取得による支出427億2,000万円などが計上されています。
今回の買収は、既存事業の生産性向上や原価低減を進める一方で、連結対象を広げる経営判断です。買収効果が通期予想に反映される期間は下期の6カ月に限られるため、来期以降にどの程度の利益貢献が続くか、また取得後の統合が円滑に進むかが評価の焦点となります。
リスクと課題
会社は将来の業績が入手可能な情報に基づく予想であり、実際の結果はさまざまな要因で異なる可能性があるとしています。短信に個別のリスク一覧はありませんが、受注残の消化、買収後の統合、資金調達の状況は今後の確認点です。
- 工事の進捗と採算: 手持工事が増える一方、受注した工事を予定どおり完成させ、原価低減を続けられるかが利益を左右します。
- 弘電社の子会社化: 連結範囲の拡大で通期予想は引き上げられましたが、統合の進み方や業績への寄与が想定を下回る可能性があります。
- 財務負担: 自己株式取得に伴って短期借入金が増え、自己資本比率も低下しました。金利負担や資金余力の変化に注意が必要です。
- 受注分野の偏り: 一般電気工事や環境関連工事が伸びた一方、情報通信工事などは減少しており、分野ごとの需要変化が受注の振れにつながり得ます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/30)
5,894円
最新終値(2026/10/30)
5,894円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/30更新
きんでんをライバルと比較
年収・業績・株価を並べて建設・不動産業界の今
掲載61社きんでんは建設・不動産業界の掲載61社中、売上高で20位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +3.4%全業界 +14.9%
- 今期計画 営業利益
- +1.5%全業界 +13.0%
- 予想の上方修正
- 11社下方 0社
- 営業利益率(業界)
- 10.1%
- きんでん−4.6%
- 建設・不動産(業界平均)+3.4%
- 全業界+14.9%
- 足元の業績今期第1四半期累計は33社合計で売上高+7.2%・営業利益+17.1%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は5社、下回る企業は28社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは11社、下方修正は0社。修正幅が最も大きいのはユアテック(営業利益+16.9%)。






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営業利益の増加に加え、受注工事高と手持工事高も伸びており、足元の工事需要と採算改善が同時に確認できる点は前向きです。特に一般得意先向けの受注が拡大していることは、電力会社向け以外の案件基盤を広げる動きとして注目できます。
一方、自己株式取得の規模が大きく、借入金増加と自己資本比率の低下を伴いました。弘電社の連結効果と既存事業の利益成長が続くかを見極めるうえで、下期の業績だけでなく、買収後の統合状況と財務の回復力も確認したい決算です。
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