松井証券、2027年3月期第1四半期決算、営業利益87.7%増、株式売買活況が追い風

松井証券の2027年3月期第1四半期決算を分析すると、営業収益は前年同期比51.6%増の172億9900万円、営業利益は87.7%増の87億6300万円、純利益は95.3%増の56億900万円と大幅な増収増益でした。日経平均株価が期間中に最高値を更新し、株式売買が活発化したことで委託手数料が伸び、信用取引収益も増加しました。相場活況が手数料収益を押し上げた決算ですが、証券業は市場環境に左右されるため、通期予想は開示していません。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高金融費用控除後 159億円+48.3% | 173億円 | +51.6% |
| 営業利益 | 88億円 | +87.7% |
| 純利益 | 56億円 | +95.3% |
| 営業利益率 | 50.7% |
この決算のポイント
- 1株式等委託売買代金は前年同期比112%増となり、四半期ベースで過去最高を記録した。
- 2受入手数料は67.1%増の87億6500万円、委託手数料は68.9%増の84億4000万円。
- 3金融収支は55.0%増の57億4800万円。信用取引残高や金利上昇が収益を支えた。
- 4資産合計は前期末比12.6%増の1兆5250億円、自己資本比率は6.1%から5.3%に低下。
- 5通期業績予想は相場変動の影響が大きいため非開示。2027年3月期の配当予想も未定。
業績のポイント
松井証券(松井証券株式会社)は2027年3月期第1四半期に大幅な増収増益となりました。営業収益は前年同期比51.6%増、営業利益は87.7%増、四半期純利益は95.3%増で、営業利益の増加額は前年同期から40億9500万円です。
- 株式市場の売買活況: 東京・名古屋の二市場の株式等売買代金は前年同期比103%増、個人投資家の売買代金は113%増となりました。
- 手数料収入の拡大: 株式等委託売買代金は112%増で、同社の四半期ベースの過去最高を記録しました。
- 金融収支の増加: 信用取引買残高の増加や金利上昇を背景に、金融収支は55.0%増えました。
- 費用も増加: 販売費・一般管理費は17.8%増。取引所等への費用や広告宣伝費、事務費の増加が響きました。
日経平均株価は期首の5万1000円台から上昇し、6月には取引時間中に7万2000円台を付けるなど、変動の大きい展開でした。相場上昇と取引拡大が手数料収益を押し上げ、金融収益も増加した一方、FX取引などのトレーディング損益は前年同期比22.3%減でした。市場の活況による収益増が費用増を吸収し、利益の伸びが営業収益の伸びを上回りました。
セグメント別動向
松井証券はオンライン証券取引サービスの単一セグメントで事業を展開しており、短信では複数セグメント別の業績開示はありません。サービス全体の営業収益が伸びた主因は、株式等の委託売買代金増加に伴う手数料収入の拡大です。
オンライン証券取引サービスは、株式市場の活況を受けて受入手数料が前年同期比67.1%増の87億6500万円となりました。うち委託手数料は68.9%増の84億4000万円で、株式等委託売買代金の増加が主な背景です。
- 金融収支: 57億4800万円で前年同期比55.0%増。信用取引買残高の増加や、金利上昇を背景とする預託金の収益分配金増加が寄与しました。
- トレーディング損益: FX取引の利益を中心に13億6600万円を確保しましたが、前年同期比では22.3%減でした。
- 顧客基盤と取引環境: 米国株の取扱いを機動的に拡充し、人気銘柄を上場初日から取引できるようにしたほか、FXのスプレッド縮小にも取り組みました。
同社は広瀬アリスさんを起用したCMや、YouTube公式チャンネルの「MATSUI SUMMIT」などを通じて認知度向上と投資情報の提供を進めています。取引拡大の恩恵を受ける一方、収益の柱である委託手数料と信用取引収益は相場環境に左右されるため、顧客基盤の拡大や取引サービスの改善が、相場が落ち着いた局面での課題になります。
| セグメント | 収益(控除後) | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| オンライン証券取引サービス | 173億円 | 100% | 88億円 | 50.7% |
※ セグメント収益は金融費用控除後ベース(収益合計のグロス値とは異なります)
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比12.6%増の1兆5250億円となりました。信用取引貸付金の増加などで資産が膨らむ一方、自己資本比率は前期末の6.1%から5.3%に低下しています。
| 項目 | 2027年3月期第1四半期末 | 2026年3月期末 | 増減・状況 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 1兆5250億円 | 1兆3541億円 | +12.6% |
| 純資産 | 816億9100万円 | 823億4700万円 | -0.8% |
| 自己資本比率 | 5.3% | 6.1% | -0.8ポイント |
| 信用取引貸付金 | 5525億円 | 4236億円 | +30.4% |
四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュフローの数値は開示されていません。資産増加に伴い短期借入金も前期末比44.5%増の4579億円となりましたが、会社は複数の金融機関との当座貸越契約やコミットメントラインで資金調達の安全性を確保しています。
株主還元では、2026年3月期の期末配当として1株25円を支払い、同年度の年間配当は50円でした。2027年3月期の配当予想は未定で、直近の公表予想からの修正はありません。四半期短信に自社株買いの発表はなく、純資産は期末配当の計上が四半期純利益を上回ったことなどから前期末比で減少しました。
リスクと課題
今回の利益成長は株式市場の売買活況に支えられており、安定した成長が続くかは相場や金利の動きに左右されます。会社は証券業の業績予想が困難として、通期予想を開示していません。
- 相場変動: 株価や売買高が低下すれば、委託手数料収入が減少し、利益を押し下げる可能性があります。
- 信用取引と金利: 信用取引貸付金の増加は金融収益を押し上げる一方、資金調達需要も増やします。金利変動や信用取引の動向が収益と資金繰りに影響します。
- トレーディング損益の変動: FX取引などの損益は市場環境によって振れやすく、今四半期も前年同期を下回りました。
- 費用増加: 売買増加に伴う取引所関連費用や広告宣伝費、事務費が増えています。収益の伸びが鈍化した場合、費用負担が利益率を圧迫するおそれがあります。
- 財務指標の変化: 信用取引貸付金と短期借入金の増加に伴い、自己資本比率は前期末から低下しました。資産規模の拡大と資本の厚みのバランスが今後の確認点です。
業績の先行きを見るうえでは、会社が月次で開示する株式等委託売買代金や委託手数料収益の推移が重要です。日経平均株価の水準だけでなく、個人投資家の売買が継続するか、取引拡大に伴う費用をどの程度抑えられるかも注目されます。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/31)
1,049円
最新終値(2026/10/23)
1,061円+1.1%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#松井証券#決算#決算分析#四半期決算#オンライン証券#証券業#株式売買代金#委託手数料#配当
この記事はいかがでしたか?
クリックで反応を送信(登録不要)
コメント
この決算の強みは、相場上昇の恩恵が手数料収益と信用取引収益の両方に表れ、利益の伸びが売上の伸びを上回った点です。顧客向けの情報発信や米国株・FXの取引環境改善も、活況期の収益を取り込む取り組みとして注目できます。
一方、相場が落ち着けば手数料収益の勢いが弱まる可能性があります。過去最高の売買代金を次の顧客基盤拡大につなげられるかが、今後の業績を見るうえで重要です。
Googleで業界ダイジェストを優先表示
Google検索の「トップニュース」やAIによる概要で、当サイトの記事が見つけやすくなります。
この記事を引用・シェアする
転載・引用は無料・許可不要(出典明記のみでOK)
https://www.gyokaidigest.com/companies/matsui-securities/report/2027-Q1
関連記事
オンライン証券の最新記事
- 決算解説マネックス2027年3月期 第1四半期マネックス、2027年3月期第1四半期決算、増収も税引前利益22%減

- 決算解説SBI2027年3月期 第1四半期SBI、2027年3月期第1四半期決算、税引前利益150%増でPE投資事業が急拡大
- 決算解説野村HD2027年3月期 第1四半期野村HD、2027年3月期第1四半期決算、純利益39%増で全セグメント拡大

- 決算解説大和証券2027年3月期 第1四半期大和証券、2027年3月期第1四半期決算、経常利益101%増の880億円、全セグメント大幅増益

- 重要事実の開示SBI9月30日SBIがBASEへ買収価格340円のTOB期間を延長、子会社間吸収合併で保険と資産運用の第三の柱構築
掲載企業

松井証券株式会社
東証 8628
これが最新の決算解説です





