マネックス、2027年3月期第1四半期決算、増収も税引前利益22%減

マネックスの2027年3月期第1四半期決算は、営業収益が前年同期比3.8%増の193億円となった一方、税引前利益は22.4%減の22億円でした。暗号資産の取引減少や証券事業の費用増が利益を押し下げましたが、税負担の縮小などで親会社所有者帰属利益は3.6%増の19億円を確保。増収の一方で税引前利益は減少し、事業ごとの明暗が分かれました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 218億円 | +2.0% |
| 営業利益 | 23億円 | -22.4% |
| 純利益 | 19億円 | +3.6% |
| 営業利益率 | 10.5% |
この決算のポイント
- 1証券事業の営業収益は前年同期比7.9%増えた一方、税引前利益は21.1%減の29億円
- 2デジタルアセット事業は暗号資産の取引減少で、税引前損失が12億円に拡大
- 3AM・WM事業は営業収益が13.4%増えたが、税引前利益は25.8%減の6億円
- 4年間配当予想は30.8円で、前期実績の30.7円から0.1円増。業績予想は非開示
業績のポイント
マネックス(マネックスグループ)の2027年3月期第1四半期は、営業収益が前年同期比3.8%増の193億8900万円、税引前利益が22.4%減の22億8000万円、親会社所有者帰属利益が3.6%増の19億2200万円でした。税引前利益の減少に対し、親会社所有者帰属利益は増加しています。
- 証券事業: 受入手数料は増加しましたが、受取利息などの金融収益が前年同期比で減少しました。
- デジタルアセット事業: 暗号資産の取引減少を受け、受入手数料や営業収益が縮小しました。
- 費用と評価損益: 収益増に伴う変動費などで販売費・一般管理費が増え、保有銘柄の評価益剥落も利益を圧迫しました。
- 税負担など: 法人所得税費用の減少や持分法投資利益の増加が、親会社所有者帰属利益を下支えしました。
営業収益は伸びたものの、税引前利益は前年同期を下回り、増収がそのまま利益成長につながらない内容です。会社は市場環境や相場の変動が大きく、業績予想の開示は困難として通期予想を公表していません。投資家は、取引活況が手数料収入に結び付くかに加え、費用増や保有資産の評価変動にも目を配る必要があります。
セグメント別動向
証券事業は営業収益が前年同期比7.9%増の138億3600万円となった一方、税引前利益は21.1%減の29億6600万円でした。TradeStation Securitiesではオプション取引などが増え、1営業日当たりの収益を伴う約定・取引件数を示すDaily Average Revenue Tradesは前年同期比で増加しました。一方、受取利息の減少や販促費・情報料などの増加が利益を押し下げています。
デジタルアセット事業は営業収益が6.1%減の31億9800万円、税引前損失が12億900万円となり、前年同期から損失が拡大しました。コインチェックの暗号資産売買代金が縮小し、3iQの運用残高も減少したことが収益の重荷です。暗号資産市場の取引状況や運用資産の変化が業績に直結する構造が表れました。
アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業は営業収益が13.4%増の14億6400万円でしたが、税引前利益は25.8%減の6億5400万円でした。運用残高の堅調な推移を背景に運用報酬が増えた一方、支払手数料や業績連動賞与などの人件費も増加しました。
投資事業は営業収益がマイナス1億3200万円で、税引前損失は1億6600万円でした。前期に計上した持分法投資利益が損失に転じ、損失幅が広がっています。セグメントの前年同期比を見ると、証券事業とAM・WM事業で収益が伸びても利益が減っており、各事業のコスト管理が焦点です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 証券事業 | 138億円 | 71% | 30億円 | 21.4% |
| デジタルアセット事業 | 32億円 | 17% | -1,209百万円 | -37.8% |
| アセットマネジメント・ウェルスマネジメント事業 | 15億円 | 8% | 7億円 | 44.7% |
| 投資事業 | -132百万円 | - | -166百万円 | - |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比4.3%増の7788億円、親会社所有者帰属持分比率は16.7%でした。配当予想は年間30.8円で、前期実績から0.1円増となります。
| 項目 | 2026年3月末・前期実績 | 2026年6月末・2027年3月期予想 |
|---|---|---|
| 総資産 | 7468億円 | 7788億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 16.9% | 16.7% |
| 中間配当(1株) | 15.30円 | 15.40円 |
| 期末配当(1株) | 15.40円 | 15.40円 |
| 年間配当(1株) | 30.70円 | 30.80円 |
現金及び現金同等物は前期末から減少しましたが、有価証券担保貸付金や金銭の信託などが増え、総資産は拡大しました。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの内訳は確認できません。
会社は成長領域への投資と株主還元の両立を掲げ、年間配当の下限を1株30円としています。1株利益の50%がこの下限を上回る場合は、利益の50%を下限とする配当方針で、環境を見て自己株式取得も機動的に行う考えです。この四半期は自己株式取得の大きな実施は確認できず、配当予想は小幅な増額にとどまりました。
戦略トピック
グループは報告セグメントの区分を見直し、カナダの3iQ Digital Holdingsとその子会社を、従来のAM・WM事業からデジタルアセット事業へ移しました。前期比較もこの区分変更を反映して再表示しており、セグメント名も「クリプトアセット事業」から「デジタルアセット事業」に変更しています。
- 組織再編: 2026年2月に、3iQを保有する中間持株会社の株式をCoincheck Group N.V.へ譲渡しました。
- 資本の変動: Coincheck Group N.V.へのKDDI株式会社の第三者割当増資に伴い、非支配持分などが増加しました。
- 事業の位置づけ: コインチェックの暗号資産交換業に加え、3iQの暗号資産関連運用をデジタルアセット事業にまとめています。
この再編は、暗号資産の取引サービスと運用事業を同じ区分で把握し、グループ運営を強化する動きです。一方で、今回の四半期は暗号資産取引の縮小と3iQの運用残高減少が重なり、事業集約が直ちに収益改善につながったとは言えません。今後は取引量の回復に加え、運用残高や運用報酬の伸びが重要になります。
リスクと課題
マネックスは証券、暗号資産、資産運用などを展開しており、相場や顧客取引の変化が収益に影響します。会社が通期業績予想を開示していない点も、先行きを読むうえでの前提です。
- 相場・取引量の変動: 株式や暗号資産の取引が低調になると、証券手数料や暗号資産関連収益が減る可能性があります。
- 暗号資産の運用残高: 3iQの運用残高が減少すると、運用報酬の縮小を通じてデジタルアセット事業の収益を押し下げます。
- 為替・海外事業: 米国など海外事業の業績は為替換算の影響を受け、円換算後の収益や費用が変動します。
- 費用と評価損益: 人件費、広告宣伝費などの増加や保有銘柄の評価損が、収益の伸びを利益に結び付けにくくするおそれがあります。
四半期では、収益が増えた証券事業でも費用増などから利益が減少しました。市場環境に左右される収益に対し、費用をどこまで抑えられるかが、利益の回復を見極めるうえでの課題です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/5)
699円
最新終値(2026/10/23)
643円-8.0%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#マネックス#決算#決算分析#四半期決算#証券事業#暗号資産#コインチェック#配当#資産運用
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コメント
証券事業の取引活況が増収を支えた一方、費用増や金融収益の減少で税引前利益は減りました。利益の質を見るには、取引量だけでなく、増収が費用を吸収して利益成長につながるかを確認したいところです。
コインチェックと3iQをデジタルアセット事業にまとめた戦略は、暗号資産の取引と運用を一体で伸ばす狙いが見えます。ただし今期は取引量と運用残高がともに弱く、回復には市場環境の好転だけでなく、安定した運用収益の拡大が必要です。
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