日鉄鉱、2027年3月期第1四半期決算、金属部門けん引で営業益40%増
日鉄鉱の2027年3月期第1四半期決算は、金属部門の伸びを主因に増収増益となりました。売上高は前年同期比24.4%増の574億600万円、営業利益は同40.5%増の50億8800万円、親会社株主に帰属する純利益は同45.0%増の47億8200万円です。一方、持分法投資損失や為替差損で経常利益は微減し、通期予想は据え置きました。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 574億円 | +24.4% | 2,325億円 | 25% |
| 営業利益 | 51億円 | +40.5% | 140億円 | 36% |
| 純利益 | 48億円 | +45.0% | 120億円 | 40% |
| 営業利益率 | 8.9% | |||
この決算のポイント
- 1金属部門の売上高は前年同期比41.8%増、営業利益は157.6%増と大幅に伸長
- 2経常利益は持分法投資損失や為替差損が響き、前年同期比0.6%減の44億7000万円
- 3投資有価証券売却益27億5900万円を計上し、純利益は前年同期比45.0%増
- 4通期営業利益予想は140億円で据え置き、第1四半期の進捗率は36.3%
- 5米国子会社を通じてウェッジテイル・オペレーションズの権益を取得し、連結子会社化
業績のポイント
日鉄鉱(日鉄鉱業)は、2027年3月期第1四半期に売上高が前年同期比24.4%増、営業利益が同40.5%増、純利益が同45.0%増となりました。金属部門が業績を押し上げる一方、経常利益は横ばいという、事業利益と営業外損益の差が表れた決算です。
| 指標 | 当期 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 経常利益 | 44億7000万円 | 44億9600万円 | -0.6% |
| 1株当たり四半期純利益 | 61.27円 | 41.91円 | +46.2% |
| 営業利益の通期進捗率 | 36.3% | — | — |
| 純利益の通期進捗率 | 39.9% | — | — |
- 増収の中心: 金属部門では銅・金の国内販売価格上昇などを背景に、売上高が前年同期比41.8%増加しました。
- 営業増益の中心: 銅価格上昇によるアタカマ鉱山の増益などで、金属部門の営業利益が前年同期比157.6%増えました。
- 経常利益の重荷: 持分法投資損失4億5000万円、為替差損3億2200万円などが発生し、営業増益を相殺しました。
- 純利益を押し上げた要因: 保有株式の売却益が増え、投資有価証券売却益27億5900万円を特別利益に計上しました。
営業利益の伸びに対し、経常利益が小幅減益にとどまったのは、営業外費用が前年同期より増えたためです。また純利益の増加には株式売却益も寄与しており、利益の伸びを評価する際は本業の改善と一時的な特別利益を分けて見る必要があります。通期予想に対する営業利益の進捗は36.3%で、会社は現時点で予想を変更していません。
セグメント別動向
売上高と営業利益の伸びをけん引したのは金属部門です。前年同期比の増減をみると、金属部門の売上高が大きく伸びた一方、鉱石部門は増収ながら石灰石の減販で減益となり、機械・環境事業も原材料高で減益でした。
| セグメント | 売上高の前年同期比 | 営業利益の前年同期比 |
|---|---|---|
| 鉱石 | +4.1% | -0.3% |
| 金属 | +41.8% | +157.6% |
| 機械・環境 | +10.7% | -14.4% |
| 不動産 | -5.6% | +3.9% |
| 再生可能エネルギー | -1.3% | -5.9% |
金属部門は、売上高が347億3700万円、営業利益が20億1900万円となりました。電気銅・電気金の国内販売価格上昇に加え、為替変動や銅価格上昇を受けたアタカマ鉱山の増益が利益を押し上げています。電気銅の販売数量は前年同期を下回ったものの、価格上昇などが売上高の伸びにつながりました。
鉱石部門は、燃料関連商品や一部子会社の増収で売上高が173億6300万円に増えましたが、石灰石の販売数量減少が響き、営業利益は24億7800万円と前年同期比0.3%減でした。主力品の数量動向が、増収を利益成長につなげられるかを左右します。
機械・環境事業は、環境部門の販売が順調で売上高が41億4100万円に増えた一方、水処理剤の原材料価格高騰などで営業利益は4億1900万円に減少しました。不動産事業は減価償却費の減少で営業増益、再生可能エネルギー事業は地熱部門の修繕費増加などで減益でした。金属部門への収益依存が高まっており、銅価格や為替の変動が全社業績に及ぼす影響に注意が必要です。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 鉱石 | 174億円 | 30% | 25億円 | 14.3% |
| 金属 | 347億円 | 61% | 20億円 | 5.8% |
| 機械・環境 | 41億円 | 7% | 4億円 | 10.1% |
| 不動産 | 7億円 | 1% | 4億円 | 65.1% |
| 再生可能エネルギー | 5億円 | 1% | 2億円 | 38.3% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比5.3%増の3269億5100万円となり、自己資本比率は前期末の50.7%から48.4%へ低下しました。純資産は増えたものの、長期借入金など負債の増加幅が大きく、資産拡大に伴い財務構成が変化しています。
| 項目 | 2026年3月末 | 2026年6月末 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 3104億1200万円 | 3269億5100万円 | +5.3% |
| 純資産 | 1676億2200万円 | 1686億5100万円 | +0.6% |
| 自己資本比率 | 50.7% | 48.4% | -2.3ポイント |
| 長期借入金 | 447億1900万円 | 530億6900万円 | +18.7% |
- 配当予想: 2027年3月期は中間31円、期末31円、年間62円を予定しています。前期は株式分割をまたぐため、年間配当の単純比較はできません。
- 自己株式: 期末の自己株式数は前期末から約120万株増え、約252万株となりました。取得額や今後の取得方針は、この短信では示されていません。
- キャッシュフロー: 第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作成していないため、営業・投資・財務キャッシュフローの金額は開示されていません。
資産増加には仕掛品や原材料、有形固定資産、投資有価証券の増加が含まれます。負債では長期借入金が増えており、成長に向けた投資と借入の動向を次の四半期以降も確認したいところです。配当予想は据え置かれており、株式分割後の年間配当は1株当たり62円です。
通期見通し
日鉄鉱は2027年3月期の連結業績予想を、2026年5月13日に公表した内容から変更していません。売上高は増収を見込む一方、営業利益、経常利益、純利益はいずれも前期比で減少する予想です。
| 指標 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2325億円 | 2325億円 | +10.9% |
| 営業利益 | 140億円 | 140億円 | -25.6% |
| 経常利益 | 115億円 | 115億円 | -43.1% |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 120億円 | 120億円 | -14.5% |
第1四半期の営業利益は通期予想の36.3%、純利益は39.9%に達しました。ただし純利益には保有株式の売却益が含まれるため、進捗率だけで通期達成の確度を判断するのは早計です。会社は予想の前提や修正理由を今回新たに示しておらず、銅価格、為替、鉱山の操業状況などの変化が今後の判断材料になります。
戦略トピック
日鉄鉱は米国での事業展開に向け、米国子会社を通じてウェッジテイル・オペレーションズの権益を取得し、同社を子会社化しました。2026年4月の出資実行に伴い、日鉄鉱USA合同会社とウェッジテイル・オペレーションズ合同会社の2社を第1四半期から連結範囲に加えています。
- 実施内容: 日鉄鉱USA合同会社に増資し、同社を通じて米国法人ウェッジテイル・オペレーションズの権益を取得しました。
- 連結上の変化: 両社は資本金が一定規模以上にあたる特定子会社となり、当四半期から連結対象になりました。
- 今後の確認点: 取得額や権益の詳細、業績への寄与時期・規模は、この短信では明らかにされていません。
金属部門が銅価格上昇の恩恵を受けるなか、海外資源事業の基盤拡大を進める動きとして注目されます。一方、買収や出資の経済性は、取得した権益の操業状況や投資回収の進み方を確認するまで評価しきれません。
リスクと課題
第1四半期は金属部門が好調でしたが、銅価格や為替、鉱山の操業、原材料価格などの変化が収益を左右します。会社はチリの豪雨による鉱山への影響も調査中としており、業績への影響は現時点で確定していません。
- 銅価格・為替の変動: 銅価格上昇は金属部門の販売価格や鉱山利益を押し上げましたが、反転や為替変動は売上高・利益を押し下げる可能性があります。
- チリの豪雨: 2026年7月中旬以降の集中豪雨で、アルケロス鉱山があるコキンボ州も被害を受けました。操業や開発計画、業績への影響は会社が調査中です。
- 資源の販売数量: 石灰石の減販が鉱石部門の利益を押し下げました。主力品の需要や販売数量が弱まれば、価格上昇だけでは補えないおそれがあります。
- 原材料・修繕費の上昇: 水処理剤の原材料高や地熱部門の修繕費増加が、それぞれ機械・環境事業、再生可能エネルギー事業の利益を圧迫しました。
- 持分法損失と為替差損: 営業利益が増えた一方、投資損失や為替差損などの営業外費用が経常利益を前年同期比で小幅減益にしました。
外部環境の変化に加え、鉱山の天候リスクや各事業のコスト上昇が同時に表面化しています。金属部門の好調が続くかだけでなく、チリの豪雨影響や借入金の増加、営業外損益の振れを含めて確認する必要があります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/6)
3,500円
最新終値(2026/10/23)
2,663円-23.9%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#日鉄鉱#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#金属部門#銅価格#通期業績予想#海外資源事業
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コメント
営業利益が4割増えた点は力強いものの、増益の中心が銅価格上昇や為替の影響を受ける金属部門に偏っている点は、成長の持続性を測るうえで注意が必要です。
純利益には保有株式の売却益が含まれ、経常利益は営業外損益に押されて小幅減益でした。次の焦点は、銅価格の追い風が弱まった場合にも本業の利益水準を保てるか、そしてチリの豪雨や米国権益取得が業績にどう影響するかです。
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掲載企業
日鉄鉱業株式会社
東証 1515
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