株式会社大林組 の会社詳細
株式会社大林組
大林組
2026年3月期 第3四半期

大林組・2026年3月期Q3、営業利益46%増の1,427億円——採算改善で利益急拡大、通期予想を上方修正し増配へ

大林組
上方修正
増配
ゼネコン
自己株買い
国内建築
採算改善
2026年3月期
決算レポート
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.8兆円

-3.6%

通期予想

2.6兆円

進捗率71%

営業利益

1,427億円

+46.2%

通期予想

1,950億円

進捗率73%

純利益

1,318億円

+37.3%

通期予想

1,700億円

進捗率78%

営業利益率

7.8%

ゼネコン大手の大林組が9日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)決算は、営業利益が前年同期比 46.2%増1,427億円 と大幅な増益を記録した。国内建築事業における追加工事の獲得や採算性の高い案件の進捗に加え、不動産事業での開発物件売却が利益を押し上げた。これを受け、同社は通期の純利益予想を 1,700億円 へ上方修正し、年間配当も前回予想から6円引き上げ 87円 とすることを発表した。「量から質」への転換が鮮明となっている。

大林組・2026年3月期Q3、営業利益46%増の1,427億円——採算改善で利益急拡大、通期予想を上方修正し増配へ

業績のポイント

当第3四半期累計期間の連結業績は、売上高が前年同期比 3.6%減1兆8,324億円 となった一方で、各利益項目は軒並み 35%以上 の大幅な伸びを見せた。売上高の減少は、前年同期にあった国内建築の大型案件進捗の反動や、施工キャパシティを考慮した計画的な受注活動を行ったことが主な要因だ。

損益面では、国内建築事業において利益率の高い案件が順調に推移したほか、資材価格高騰に対する適切な価格転嫁や原価低減努力が実を結び、営業利益は 1,427億円(前年同期は976億円)に急拡大した。営業利益率は前年同期の 5.1% から 7.8% へと 2.7ポイント 大幅に改善しており、建設業界全体の課題である採算性向上において、同社が一歩抜け出した形となっている。

指標当期実績(25/4-12)前年同期実績前年同期比
売上高1兆8,324億円1兆9,003億円△3.6%
営業利益1,427億円976億円+46.2%
経常利益1,516億円1,061億円+42.8%
四半期純利益1,317億円959億円+37.3%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力の国内建築事業は、売上高が 8,470億円(前年同期比16.2%減)と落ち込んだものの、セグメント利益は 760億円(同72.8%増)と驚異的な伸びを示した。大型案件の狭間期にあたるため減収となったが、「選別受注」の徹底により採算の良い案件に注力した結果、利益構造が劇的に改善している。

不動産事業も業績拡大の牽引役となった。売上高は 588億円(前年同期比48.2%増)、セグメント利益は 120億円(同55.9%増)に達した。都心を中心とした開発物件の売却が順調に進んだことが寄与している。また、海外土木事業においても、北米を中心とした手持ち工事の進捗が堅調で、グループ全体の収益基盤を支えている。

セグメント名売上高セグメント利益利益率
国内建築8,470億円760億円9.0%
海外建築3,595億円98億円2.7%
国内土木3,197億円315億円9.9%
海外土木2,323億円108億円4.7%
不動産588億円120億円20.5%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内建築8,471億円46%760億円9.0%
海外建築3,595億円20%99億円2.7%
国内土木3,198億円17%315億円9.9%
海外土木2,323億円13%109億円4.7%
不動産589億円3%121億円20.5%

財務状況と資本政策

財務状態については、総資産が前年度末比 1,029億円 増の 3兆1,457億円 となった。工事代金債権や未成工事支出金が増加した一方で、流動性を確保するためコマーシャル・ペーパーを 1,260億円 発行するなど、機動的な資金調達を行っている。自己資本比率は 38.0% と、前年度末の38.1%からほぼ横ばいで推移しており、健全な財務基盤を維持している。

注目すべきは積極的な株主還元策だ。同社は今期、総額 700億円 規模の自己株式取得を段階的に実施している(2月に300億円、8月に400億円を上限として決議)。また、2026年1月30日付で発行済株式総数の 2.1% にあたる 1,513万株 を消却した。これら資本効率の向上と株主還元の強化を並行して進める姿勢は、投資家から高く評価されるポイントといえる。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想について、売上高は据え置いたものの、各利益項目を上方修正した。国内建築事業における原価低減の進展により、完成工事総利益が当初の想定を上回る見込みとなったためだ。修正後の営業利益予想は 1,950億円 と、前回予想から 300億円 上積みされた。

あわせて、配当予想も増額した。期末配当を前回予想の41円から 46円 に引き上げ、年間配当は前期実績(81円)から6円増の 87円 となる見通しだ。業績拡大を背景に、成長投資と還元を両立させる経営方針を堅持している。

項目前回予想今回修正前期実績
売上高2兆5,700億円2兆5,700億円2兆5,908億円
営業利益1,650億円1,950億円1,424億円
経常利益1,720億円2,050億円1,521億円
当期純利益1,490億円1,700億円1,452億円

リスクと課題

好調な決算の一方で、今後の懸念材料として以下の点が挙げられる。

  • 建設資材・労務費の高騰: 足元の採算性は改善しているものの、インフレの継続によるコスト増が将来的な利益を圧迫するリスクがある。
  • 施工キャパシティの制約: 2024年問題に伴う労働時間規制の中で、いかに効率的に工事を進めるかが長期的な成長の鍵となる。
  • 金利上昇の影響: 支払利息の増加や、不動産開発事業における投資判断への影響を注視する必要がある。
AIアナリストの視点

大林組の今回の決算は、これまでの「受注量重視」から「利益率重視」への構造改革が結実した好内容と言えます。特に国内建築セグメントの利益率が前年同期から飛躍的に向上している点は、競合他社と比較しても際立っています。

また、ROE(自己資本利益率)を意識した資本政策も加速しており、大規模な自己株買いと消却、そして増配をセットで打ち出すことで、PBR1倍割れ脱却への強い意志を感じさせます。

就活生にとっては、同社が「ただ建てる」だけでなく、不動産開発や海外展開、さらには資本効率まで意識した多角的な経営を行っている点が、企業研究の重要な視点になるでしょう。今後は、この高い利益水準を来期以降も維持できるか、特に受注残高の採算性が焦点となります。