しまむら・2026年2月期Q3、売上高5.6%増の5,255億円——PB強化で逆風克服、1対3の株式分割も発表

株式会社しまむらは22日、2026年2月期第3四半期(2025年2月21日〜11月20日)の連結売上高が前年同期比 5.6%増 の 5,255億円 になったと発表しました。物価高に伴う実質賃金の減少や、10月上旬まで続いた記録的な残暑といった厳しい外部環境に対し、自社開発ブランド(PB)の拡充や効果的な販促施策で対抗し、増収増益を確保しました。あわせて、投資家層の拡大を目的とした 1株から3株への株式分割 を公表し、株主還元の姿勢を鮮明にしています。
決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,255億円 | +5.6% | 6,926億円 | 76% |
| 営業利益 | 482億円 | +3.5% | 607億円 | 79% |
| 純利益 | 351億円 | +4.5% | 429億円 | 82% |
| 営業利益率 | 9.2% | |||
業績のポイント
当第3四半期累計期間の業績は、売上高が 5,255億600万円(前年同期比 +5.6%)、営業利益が 481億7,700万円(同 +3.5%)、親会社株主に帰属する四半期純利益が 351億4,700万円(同 +4.5%)と、主要全指標で前年を上回りました。国内の消費環境は、食料品や日用品の値上げが続く中で衣料品への支出が抑制される厳しい状況にありましたが、しまむらは 「商品力の強化」と「販売力の強化」 を両輪で進めることで、顧客の支持を維持しました。
利益面では、原材料価格や人件費の上昇によるコスト増を、売上高の成長と適切な在庫管理によって吸収しました。特に、利益率の高いPBやサプライヤーとの共同開発ブランド(JB)の構成比が高まったことが、収益性の下支えに貢献しています。また、11月に実施した「超サプライズセール」などの大型イベントが大きな話題を呼び、客数の増加に直結したことも、第3四半期後半の力強い伸びを支える要因となりました。
| 指標 | 2025年2月期 Q3 | 2026年2月期 Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,978億円 | 5,255億円 | +5.6% |
| 営業利益 | 465億円 | 481億円 | +3.5% |
| 経常利益 | 477億円 | 499億円 | +4.7% |
| 四半期純利益 | 336億円 | 351億円 | +4.5% |
セグメント別動向
主力の「しまむら事業」は、売上高 3,898億円(前年同期比 +5.1%)と好調を維持しました。健康意識の高まりを背景としたPB「活き活きラボ」や、機能性商品「FIBER HEAT」シリーズが安定した売れ行きを見せました。9月から10月の異例の残暑に対しては、インフルエンサーやキャラクターを活用した企画を拡大し、気温に左右されにくい売上構造の構築に注力した結果、実店舗とオンラインストアの相互送客が加速しました。
ヤングカジュアルを担う「アベイル事業」は売上高 527億円(同 +5.2%)、ベビー・子供服の「バースデイ事業」は売上高 626億円(同 +7.0%)と、いずれも高い成長率を記録しました。アベイルではトレンド提案とキャラクター商品の拡充が奏功し、バースデイでは25周年企画が客数増加に大きく寄与しました。また、雑貨・インテリアの「シャンブル事業」も売上高 124億円(同 +10.8%)と、ギフト需要の取り込みや新レイアウト店舗への転換により、二桁増収を達成しています。
海外(台湾)の「思夢樂事業」は、売上高が現地通貨ベースで 9.3%増、円貨換算では 15.0%増 の 70億円 となりました。SNSを活用したブランド知名度の向上と、日本と同様のインフルエンサー施策が現地でも受け入れられており、グローバル展開における成功モデルを確立しつつあります。
| 事業ユニット | 売上高 | 前年同期比 | 店舗数 (純増減) |
|---|---|---|---|
| しまむら事業 | 3,898億円 | +5.1% | 1,419 (+3) |
| アベイル事業 | 527億円 | +5.2% | 317 (+1) |
| バースデイ事業 | 626億円 | +7.0% | 338 (+2) |
| シャンブル事業 | 124億円 | +10.8% | 123 (±0) |
| 思夢樂(台湾) | 70億円 | +15.0% | 44 (±0) |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 5,185億円 | 99% | 479億円 | 9.2% |
| 海外 | 70億円 | 1% | 3億円 | 4.0% |
財務状況と資本政策
2025年11月20日時点の総資産は 6,169億円 となり、前期末比で 497億円 増加しました。これは冬物商戦に向けた商品の積み増し(棚卸資産の増加)や、新規出店に伴う有形固定資産の増加が主な要因です。負債合計は 945億円(同 283億円増)に抑制されており、自己資本比率は 84.7% と、小売業界でも屈指の 盤石な財務基盤 を維持しています。
資本政策においては、積極的な株主還元と流動性の向上を打ち出しました。今回の決算発表に合わせ、2026年2月21日を効力発生日とする 1対3の株式分割 を実施することを決定しました。これにより、1単元あたりの投資金額を引き下げ、より幅広い個人投資家が参加しやすい環境を整えます。また、年間の配当予想については、前回公表通り 1株当たり205円(前期比 5円増配)を維持しており、分割前の水準で見れば着実な増配サイクルを継続しています。
リスクと課題
同社は今後のリスク要因として、以下の3点を注視しています。
- 実質賃金減少に伴う購買意欲の減退: 物価上昇に賃金の伸びが追いつかない状況が続いており、生活必需品以外への支出がさらに厳選される懸念があります。これに対し、PB比率の向上による「高コスパ商品」の提供がより重要となります。
- 不安定な天候状況: 今期経験したような「長引く夏」や「急激な寒暖差」は、衣料品の需要期を後ろ倒しにし、在庫管理の難易度を高めます。デジタルデータを活用した需要予測の精度向上が急務です。
- コスト構造の変化: 原材料価格の変動や物流費の上昇に加え、人手不足に伴う人件費の増加が継続的な利益圧迫要因となっています。店舗運営の効率化やDX投資による生産性向上が今後の持続的成長の鍵を握ります。
通期見通し
2026年2月期の通期連結業績予想については、期初からの公表値を据え置いています。現時点での進捗率は売上高で 75.9%、営業利益で 79.4% と順調に推移しており、冬物商戦の最大化により目標達成を目指す方針です。
| 項目 | 前回予想 | 当期実績(Q3) | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,926億円 | 5,255億円 | 75.9% |
| 営業利益 | 606億円 | 481億円 | 79.4% |
| 当期純利益 | 428億円 | 351億円 | 82.0% |
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2025/12/18)
10,990円
最新終値(2026/10/23)
3,329円-69.7%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#しまむら#8227#増収増益#株式分割#プライベートブランド#衣料品小売#株主還元#台湾展開#節約志向
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コメント
しまむらの決算は、日本の消費者の「二極化」を巧みに捉えた戦略の勝利と言えます。物価高による節約志向は、同社にとって一見逆風ですが、低価格ながら機能性やファッション性を備えたPB(FIBER HEAT等)へのシフトを促す追い風にもなっています。
特に注目すべきは、今回の「1対3の株式分割」です。同社はかつて「高い株価(値がさ株)」として知られ、個人投資家には手の届きにくい銘柄でしたが、この分割により流動性が大幅に向上します。これは、実店舗の顧客をそのまま株主(ファン)として取り込もうとする経営の意図が感じられます。
懸念点としては、気候変動への対応です。今期は10月まで夏日が続くなど、従来の「衣替えサイクル」が通用しなくなっています。店舗数の多さは強みである一方、在庫の回転が遅れれば値引き販売による利益率低下のリスクとなります。データ活用による機動的な商品投入が、来期以降のさらなる焦点となるでしょう。
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