松竹、2027年2月期第2四半期決算、演劇好調も純利益82%減

松竹の2027年2月期第2四半期決算は、売上高が489億円と前年同期比1.4%減、営業利益は34億円で18.8%減、親会社株主に帰属する中間純利益は7億円で82.1%減となった。演劇事業は歌舞伎公演などが好調で大幅増益だった一方、映像関連事業の落ち込みが全体の利益を押し下げた。劇場施設などの減損損失も響き、演劇の回復と特別損失による純利益急減が同居する決算となった。

決算の数字第2四半期累計
期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 489億円 | -1.4% | 1,000億円 | 49% |
| 営業利益 | 35億円 | -18.8% | 37億円 | 93% |
| 純利益 | 7億円 | -82.1% | 22億円 | 33% |
| 営業利益率 | 7.1% | |||
この決算のポイント
- 1演劇事業は売上高151億円、セグメント利益22億円で、利益は前年同期比348.9%増。
- 2映像関連事業は売上高256億円、セグメント利益6億円で、利益は前年同期比78.3%減。
- 3減損損失23億円と立退補償金7億円を特別損失に計上し、中間純利益は82.1%減。
- 4通期予想は売上高1,000億円、営業利益37億円、純利益22億円で据え置き。
- 5年間配当予想は1株30円。前期実績の40円から10円減らす計画で、中間配当は無配。
業績のポイント
松竹(松竹株式会社)の中間期は、売上高489億2,100万円、営業利益34億5,000万円、親会社株主に帰属する中間純利益7億3,600万円となり、いずれも前年同期を下回った。売上高の減少幅に比べて利益の落ち込みが大きく、特に純利益は前年同期の41億2,000万円から大きく縮小した。
- 映像関連事業の減益: 売上高は前年同期比8.4%減、セグメント利益は78.3%減。作品の興行収入は好調な例があったものの、事業全体では減収減益となった。
- 演劇事業の増益: 歌舞伎座や新橋演舞場などの公演が好成績で、セグメント利益は前年同期比348.9%増となった。
- 特別損失の計上: 劇場施設などの減損損失23億7,200万円、立退補償金6億8,000万円を計上。前年同期には事業撤退損失引当金戻入益などの特別利益があった。
営業利益の減少には、映像関連事業の大幅な減益が響いた。一方、純利益の急減は、本業の利益減少だけでなく、当期の減損損失や前年同期に計上した特別利益との比較も影響している。本業の減益に特別損失が重なり、最終利益が大きく縮小した点が今回の決算の焦点だ。
セグメント別動向
事業ごとの明暗が分かれた。演劇事業の増益が映像関連事業の落ち込みを補ったものの、映像関連の利益減少が大きく、全社の営業利益は前年同期を下回った。
| セグメント | 売上高の前年同期比 | 利益の前年同期比 |
|---|---|---|
| 映像関連事業 | -8.4% | -78.3% |
| 演劇事業 | +17.1% | +348.9% |
| 不動産事業 | -0.9% | -3.8% |
| その他 | -37.3% | 損失拡大 |
演劇事業は、売上高151億1,200万円、セグメント利益21億9,500万円。歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」「八月納涼歌舞伎」や、新橋演舞場の「スーパー歌舞伎『もののけ姫』」などが好成績を収めた。大阪松竹座は5月の公演をもって閉館したが、さよなら公演も盛況だった。
映像関連事業は、売上高256億5,200万円、セグメント利益5億5,800万円。映画「名探偵コナン ハイウェイの堕天使」「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」などのヒットがあった一方、事業全体では前年同期を下回った。配信や海外権利販売も展開したが、利益を補うには至らなかった。
不動産事業は、売上高72億9,800万円、セグメント利益27億4,400万円。歌舞伎座タワーなどでの賃料改定や商業テナントの収入増が支えとなったが、修繕費の圧縮効果があった前年同期との比較もあり減益だった。その他は売上高8億5,700万円、セグメント損失1億8,900万円。商品販売やゲーム事業を進めたものの、売上高が減り損失が拡大した。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 映像関連事業 | 257億円 | 52% | 6億円 | 2.2% |
| 演劇事業 | 151億円 | 31% | 22億円 | 14.5% |
| 不動産事業 | 73億円 | 15% | 27億円 | 37.6% |
| その他 | 9億円 | 2% | -189百万円 | -22.1% |
財務状況と資本政策
中間期末の総資産は2,305億8,600万円、自己資本比率は47.5%となった。営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期から減少し、配当予想も前期実績を下回る計画だ。
| 項目 | 2027年2月期中間期・期末 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産 | 2,305億8,600万円 | 前期末比+12億400万円 |
| 自己資本比率 | 47.5% | 前期末比+0.3ポイント |
| 営業キャッシュ・フロー | 39億6,000万円 | 前年同期の116億9,300万円から減少 |
| 投資キャッシュ・フロー | -41億8,900万円 | 前年同期は-30億6,800万円 |
| 年間配当予想 | 1株30円 | 前期実績40円から10円減 |
総資産の増加には投資有価証券の増加などが寄与した一方、建物及び構築物は減少した。営業キャッシュ・フローの減少は、税引前中間純利益の縮小などを反映している。投資活動では有形固定資産や投資有価証券の取得による支出があり、財務活動によるキャッシュ・フローは1億9,800万円の収入だった。
中間配当は無配で、期末配当予想は1株30円。前期の年間配当40円から減配する計画だが、会社は配当予想を修正していない。自己株式の取得支出は中間期に500万円あったものの、大規模な自社株買いの発表はない。
通期見通し
松竹は2027年2月期の連結業績予想を据え置いた。売上高は1,000億円を見込む一方、営業利益37億円、経常利益35億円、親会社株主に帰属する当期純利益22億円は、いずれも前期実績を下回る計画だ。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績・前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,000億円 | 1,000億円 | 1,082億700万円、-7.6% |
| 営業利益 | 37億円 | 37億円 | 前期比-40.1% |
| 経常利益 | 35億円 | 35億円 | 前期比-44.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 22億円 | 22億円 | 前期比-58.0% |
会社は中間期の実績と今後の見通しを検討したうえで、4月に公表した予想を変更しない判断を示した。前回予想からの修正はなく、売上高は前期実績を下回る見込みで、利益の減少率は売上高より大きい。演劇事業の好調が続くかに加え、映像関連事業の収益回復や減損計上後の劇場運営の改善が、通期計画の達成を左右する。
リスクと課題
会社は、物価上昇や自然災害、中東情勢をはじめとする地政学的リスクなど、先行きの不透明さを指摘している。事業面では映画の興行成績や劇場の稼働状況が利益に直結し、今回も一部施設で減損損失が発生した。
- 映画の興行変動: 作品ごとのヒットの有無が配給収入や映画館の集客を左右する。ヒット作があっても、作品構成や公開時期によって映像関連事業全体の売上高・利益が変動する。
- 劇場の稼働率低下: 収益が当初想定を下回った映画館の固定資産について減損を計上した。稼働率の回復が遅れれば、追加の費用負担や収益力の低下につながる可能性がある。
- 施設の閉鎖・再編に伴う負担: 大阪松竹座は閉館し、解体工事に着手する施設などでは減損損失を計上した。施設の再編や解体に伴う費用が今後の業績に影響する場合がある。
- 物価・地政学リスク: 物価上昇は運営コストや消費者の支出に影響し、自然災害や国際情勢の変化は公演・映画興行や個人消費の先行きを不透明にする。
不動産事業が安定収益を支える一方、映像や演劇の興行収入は作品や公演の集客に左右される。施設の稼働状況を改善しながら、ヒット作に依存しすぎない収益源を育てられるかが課題となる。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/13)
10,880円
最新終値(2026/10/23)
11,710円+7.6%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#松竹#決算#決算分析#四半期決算#演劇事業#映像関連事業#減損損失#映画興行#配当
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コメント
演劇事業の利益が大きく伸びた点は、歌舞伎や大型公演の集客力を示す明るい材料です。一方、映像関連事業の利益が大幅に減り、施設の減損も重なったため、ヒット作や公演の好調だけでは全社の利益を安定させにくい構造が見えます。
通期予想は据え置かれましたが、営業利益と純利益は前期を大きく下回る計画です。今後は、演劇の好調を維持できるかに加え、映画館の稼働率や映像事業の採算が持ち直すかを確認したい決算です。
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