東邦ガス、2027年3月期第1四半期決算、期ずれ影響で営業益61%減
東邦ガスの2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比10.3%減、営業利益が61.5%減となり、減収減益でした。原料費調整制度による原材料費と売上高の期ずれ影響が前年の差益から差損に転じたことが、利益を押し下げました。ガス販売量の減少や原油高、円安も重なり、通期予想に対する利益の進捗を見極める必要があります。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,448億円 | -10.3% | 6,700億円 | 22% |
| 営業利益 | 76億円 | -61.5% | 190億円 | 40% |
| 純利益 | 94億円 | -43.3% | 230億円 | 41% |
| 営業利益率 | 5.3% | |||
この決算のポイント
- 1ガス販売量は前年同期比2.4%減。家庭用は気温高めの影響で7.3%減少
- 2電気事業は前年同期の11億円の黒字から14億円の営業損失に転落
- 3年間配当予想は株式分割後で22.5円、前期配当を分割換算した額と同水準
- 44〜6月に自己株式を約74億円取得、取得株数は分割後で590万株
- 5通期営業利益予想は190億円で据え置き、前期比40.2%減を見込む
業績のポイント
東邦ガス(東邦瓦斯)は2027年3月期第1四半期に減収減益となり、営業利益は前年同期から122億円減、経常利益は115億円減りました。原料費調整制度の期ずれ影響が差益から差損へ転じたことが、利益減少の大きな要因です。
- 販売量の減少: ガス販売量は前年同期比2.4%減。家庭用は4〜5月の気温が高めに推移し、業務用等も顧客設備の稼働低下で減りました。
- 電気・LPGの需要: 電気販売量は6月後半の低気温による冷房需要の減少などで1.3%減、LPG販売量も2.5%減でした。
- 原料価格と為替: 原油価格は112.7ドル/バレルで前年同期より37.6ドル高く、為替は159.6円/ドルで15.0円の円安でした。
- 費用の動き: 売上原価は前年同期比45億円減った一方、供給販売費及び一般管理費は1億円増えました。
期ずれ影響が差益から差損へ転換したことで、販売量の減少に加えて営業利益率も低下しました。顧客数はガス・LPG・電気の合計で前年同期末より3万件増えており、顧客基盤は拡大していますが、当四半期は需要や原料価格の変動が収益を上回る重荷となりました。
セグメント別動向
ガス事業の減益が全体の利益を大きく押し下げる一方、LPG・その他エネルギーは増益でした。電気は前年同期の黒字から赤字に転じ、事業ごとに明暗が分かれています。
| セグメント | 売上高の前年比 | セグメント利益の増減(億円) |
|---|---|---|
| ガス | -17.6% | -104 |
| LPG・その他エネルギー | +10.9% | +7 |
| 電気 | +2.7% | -26 |
| その他 | -2.2% | +0 |
ガスは家庭用を中心とする販売量減少に加え、原料費調整制度の期ずれ影響が差損となり、利益が大幅に減りました。LPG・その他エネルギーは売上高、利益ともに伸び、ガス事業とは異なる動きとなりました。電気は販売量が前年同期比1.3%減となり、利益も黒字から赤字へ転落しています。その他には不動産、設備設計施工、情報処理などが含まれ、利益は前年同期並みでした。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| ガス | 910億円 | 63% | 58億円 | 6.3% |
| LPG・その他エネルギー | 255億円 | 18% | 13億円 | 4.9% |
| 電気 | 201億円 | 14% | -1,429百万円 | -7.1% |
| その他 | 83億円 | 6% | 16億円 | 19.4% |
通期見通し
東邦ガスは2027年3月期の連結業績予想を据え置き、売上高は前期比2.9%増、営業利益は40.2%減を見込みます。予想の前提は原油価格100ドル/バレル、為替レート160円/ドルです。
| 項目 | 2027年3月期予想 | 2026年3月期実績 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 6,700 | 6,510 | +2.9% |
| 営業利益(億円) | 190 | 317 | -40.2% |
| 経常利益(億円) | 250 | 378 | -34.0% |
| 純利益(億円) | 230 | 314 | -26.9% |
会社は、原油価格や為替レートの動向が収支に影響すると説明しています。第1四半期の経常利益は105億円で、通期予想に対する進捗は約42%ですが、四半期ごとの需要や原料費の変動、期ずれ影響に左右されるため、単純な進捗率だけでは判断しにくい状況です。
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比235億円増の8,330億円、自己資本比率は59.4%となり、前期末から0.4ポイント上昇しました。四半期キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、営業・投資・財務キャッシュ・フローの状況はこの短信では確認できません。
| 項目 | 2026年6月末・当期の状況 | 比較・補足 |
|---|---|---|
| 総資産 | 8,330億円 | 前期末比+236億円 |
| 自己資本比率 | 59.4% | 前期末59.0% |
| 有利子負債残高 | 1,928億円 | 前期末比+199億円 |
| 年間配当予想 | 22.5円 | 中間11.25円、期末11.25円 |
| 自己株式取得 | 約74億円 | 590万8,300株を取得 |
総資産と純資産の増加には、保有株式の時価上昇によるその他有価証券評価差額金の増加が寄与しました。年間配当は4分割後の株式数に換算すると前期と同額で、増配ではありません。一方、4〜6月に自己株式を取得しており、株主還元を進めています。7月にはコマーシャル・ペーパーの償還資金として総額200億円の無担保社債を発行しました。
リスクと課題
第1四半期の減益には、制度上の期ずれと販売量減少が重なりました。今後は原料価格や為替だけでなく、気温や顧客設備の稼働状況が販売量と利益を左右します。
- 原油価格・為替の変動: 会社予想は原油100ドル/バレル、為替160円/ドルを前提としています。想定から外れた場合、原材料費や売上高を通じて収益が変動する可能性があります。
- 原料費調整の期ずれ: 原材料費と売上高の反映時期のずれが差益・差損を生みます。当四半期のように差損となれば、販売や原料費の動きに対して利益が大きく振れる要因になります。
- 気温・需要の変動: 暖かい気候は家庭用ガス需要を、低気温は冷房向け電力需要を押し下げます。業務用も顧客設備の稼働状況によって販売量が変わります。
- 有利子負債の増加: 有利子負債残高は前期末から増えています。設備投資や資金調達の拡大が続く場合、金利負担や投資回収の進み具合に注意が必要です。
年間投融資計画は前期比46.7%増の870億円です。顧客数の拡大と将来投資を進める一方で、利益の回復と投資資金の確保を両立できるかが今後の焦点です。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/7/24)
1,212円
最新終値(2026/10/23)
1,201円-0.9%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#東邦ガス#決算#決算分析#四半期決算#ガス事業#原料費調整制度#営業利益減少#自己株式取得#配当予想
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コメント
今回の決算は、顧客数が増えているにもかかわらず、販売量の減少と原料費調整の期ずれで利益が大きく落ちた点が核心です。顧客基盤の拡大がそのまま短期的な利益成長につながらない、エネルギー会社特有の収益変動が表れています。
通期予想は据え置かれていますが、原油価格や為替の前提が利益に与える影響は大きく、期ずれの反転時期も注目点です。配当を維持しながら自己株式取得を行う株主還元姿勢は明確ですが、投融資計画の拡大と有利子負債の増加を踏まえ、投資の回収状況も確認したいところです。
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