東京エレクトロン株式会社 の会社詳細
東京エレクトロン株式会社
東京エレクトロン
2026年3月期 第3四半期

東京エレクトロン・2026年3月期Q3、純利益予想を5500億円に上方修正——1500億円の自社株買いと増配も発表

東京エレクトロン
半導体製造装置
上方修正
自社株買い
増配
生成AI
中国市場
株主還元
ハイテク株
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.7兆円

-2.5%

通期予想

2.4兆円

進捗率72%

営業利益

4,193億円

-18.3%

通期予想

5,930億円

進捗率71%

純利益

3,602億円

-10.2%

通期予想

5,500億円

進捗率65%

営業利益率

24.2%

東京エレクトロンは2026年2月6日、2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算を発表しました。累計の営業利益は4,192億円(前年同期比18.3%減)と落ち込みましたが、生成AI向け需要の拡大を背景に通期の業績予想を上方修正しました。あわせて最大1,500億円の自社株買いと期末配当の増額も公表し、積極的な株主還元姿勢を鮮明にしています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の売上高は1兆7,317億円(前年同期比2.5%減)、営業利益は4,192億円(同18.3%減)となりました。前年同期の急激な回復局面との比較で減益となりましたが、四半期ベースでは生成AI(人工知能)関連の投資が力強く推移しています。特にデータセンター向けAIサーバーの需要が世界的に拡大しており、最先端の半導体製造装置への引き合いが堅調に推移しました。

親会社株主に帰属する四半期純利益は3,601億円(同10.2%減)となりました。利益面での押し下げ要因として、次世代技術に向けた研究開発費の先行投資が積み上がったことが挙げられますが、これは中長期的な成長に向けた経営判断によるものです。世界経済には地政学リスクやインフレ懸念が残るものの、半導体市場全体はAIを主導役に再成長の軌道に乗っています。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

同社は「半導体製造装置」の単一セグメントですが、アプリケーション別の動向が業績を左右しています。最先端のロジック・ファウンドリ向けでは、AIサーバーに搭載される高帯域幅メモリ(HBM)や、微細化に対応したエッチング装置の需要が好調でした。一方で、従来型のPCやスマートフォン向けのメモリ需要は回復の途上にあり、製品構成の変化が利益率に影響を与えています。

地域別では、中国市場における設備投資が依然として高い水準を維持しました。米中貿易摩擦などの地政学的リスクは継続していますが、中国国内での半導体自給率向上を目指した投資が同社の売上を支える格好となりました。また、北米や欧州でも次世代半導体の量産に向けた投資が活発化しており、地域バランスを保ちながら受注を積み上げています。

項目(第3四半期累計)実績値前年同期比
売上高1兆7,317億円△2.5%
営業利益4,192億円△18.3%
営業利益率24.2%△4.7pt
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
半導体製造装置1.7兆円100%4,193億円24.2%

通期見通しの上方修正と要因

2026年3月期通期の連結業績予想について、売上高を2兆4,100億円、純利益を5,500億円へとそれぞれ引き上げました。修正の主な理由は、顧客による設備投資計画の前倒しや、足元の受注環境が想定を上回って推移しているためです。特に純利益については、投資有価証券売却益の計上が大きく寄与しており、前回予想から620億円の大幅な上乗せとなりました。

項目前回予想(A)今回修正(B)増減(B-A)前期実績
売上高2兆3,800億円2兆4,100億円+300億円2兆4,315億円
営業利益5,860億円5,930億円+70億円6,973億円
親会社株主に帰属する当期純利益4,880億円5,500億円+620億円5,441億円

財務状況と資本政策

財務体質は極めて強固で、総資産は前期末比90億円増の2兆6,350億円となりました。自己資本比率は前年末の70.1%から75.3%へとさらに上昇しています。潤沢なキャッシュフローを背景に、同社は強力な株主還元策を打ち出しました。

まず、発行済株式総数の1.6%に相当する750万株、金額にして最大1,500億円自社株買いを決定しました。取得期間は2026年2月9日から3月末までの短期間で行われます。さらに、期末配当予想を従来の269円から337円へと大幅に増額しました。これにより、中間配当と合わせた年間配当は601円(前期は592円)となる見通しで、連結配当性向50%という方針を堅持しています。

リスクと課題

堅調な業績の一方で、以下のリスク要因が経営課題として挙げられています。

  • 米中貿易規制の影響: 米国による対中輸出規制の動向は、中国売上比率の高い同社にとって事業継続上の大きなリスク要因です。
  • 部材調達コストの上昇: 世界的なインフレに伴う原材料や物流費の高騰が、製造コストを押し上げる要因となっています。
  • 技術競争の激化: AI向け半導体の進化スピードは速く、次世代装置の開発に向けたR&D費の増大が利益を圧迫する可能性があります。
  • 為替変動リスク: 海外売上高比率が高いため、円高が進んだ場合には円貨ベースの業績が下押しされるリスクがあります。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、YoY(前年同期比)での減益という表面的な数字よりも、「攻めの資本政策」への転換です。研究開発費を惜しみなく投入しながらも、1,500億円の自社株買いと配当増額を同時に発表したことは、経営陣の将来に対する強い自信の表れと言えます。

特に純利益の大幅な上方修正には、本業の儲けだけでなく投資有価証券の売却という「特殊要因」も含まれていますが、それを株主還元に即座に反映させる姿勢は投資家から高く評価されるでしょう。就職活動中の学生にとっても、単なる「景気に左右される装置メーカー」ではなく、AI革命のインフラを支え、かつ資本効率を重視するグローバルな優良企業としての実力が再認識できる決算内容です。

今後の焦点は、2027年3月期に向けた受注の持続性、特に中国以外の地域(日米欧)での最先端投資がどれだけ積み上がるかに移るでしょう。