トリドール、2027年3月期第1四半期決算、増収も再建費用で営業減益

トリドールの2027年3月期第1四半期決算は、売上収益が前年同期比3.5%増と第1四半期として過去最高になった一方、営業利益は34.3%減、親会社株主に帰属する四半期利益は31.0%減でした。丸亀製麺など国内事業で人件費が増えたほか、海外事業の再建に伴う費用を計上しました。海外の採算改善が進む一方、通期予想は据え置き、年間配当は12円を見込んでいます。

決算の数字第1四半期累計
期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 723億円 | +3.5% | 2,870億円 | 25% |
| 営業利益 | 53億円 | -34.3% | 170億円 | 31% |
| 純利益 | 30億円 | -31.0% | 70億円 | 43% |
| 営業利益率 | 7.3% | |||
この決算のポイント
- 1海外事業の事業利益はTam JaiとMARUGAME UDONがけん引し、前年同期比62.6%増の18億53百万円
- 2丸亀製麺は売上収益が3.2%増えた一方、人件費などを吸収できず事業利益は16.0%減
- 3海外では不採算店舗など58店を閉鎖し、英国のThe Real Greek事業の売却・撤退も実施
- 4年間配当予想は前期の11円から12円へ1円増額、通期業績予想は据え置き
業績のポイント
トリドール(トリドールホールディングス)の第1四半期は、売上収益が前年同期比3.5%増で過去最高となった一方、事業利益は9.3%減、営業利益は34.3%減でした。親会社の所有者に帰属する四半期利益も31.0%減となり、増収減益です。
- 国内の人件費増: 丸亀製麺と国内その他は増収を確保しましたが、人件費などの上昇を吸収できず、いずれも事業利益が減少しました。
- 海外事業の増益: Tam Jaiの既存店や新規出店が好調で、MARUGAME UDONもアジア・北米で順調に推移しました。
- 海外再建に伴う費用: 不採算店舗の整理などに伴い、その他の営業費用が前年同期より増加しました。閉店に伴うリース解約益も計上しました。
- 前年の反動: 前年同期はその他の営業収益が大きく、営業利益が前年同期比で大幅に伸びていました。
増収でも国内コストと海外再建費用が利益を圧迫。営業利益の減少には、事業利益の落ち込みに加え、その他の営業収益の減少とその他の営業費用の増加が影響しています。前年同期は営業利益が大きく伸びたため、単純な売上成長だけでなく、国内のコスト管理と海外再建の進捗を追う必要があります。
セグメント別動向
丸亀製麺は売上収益が前年同期比3.2%増と第1四半期として過去最高になりました。新商品「丸亀うどんメシ」は発売から約1週間で20万食を突破し、「トマたまカレーうどん」シリーズも6月末までに234万食を販売しました。一方、人件費などの増加を増収で補えず、事業利益は減少しました。
国内その他は売上収益が前年同期比5.0%増と過去最高でした。「コナズ珈琲」の出店や新ブランド「goodNess」の開業などが増収に寄与しましたが、人件費や出店費用が増え、事業利益は減少しました。ラー麺ずんどう屋など、複数ブランドで出店も進めています。
海外事業は売上収益が前年同期比3.4%増、事業利益は第1四半期として過去最高となりました。Tam Jaiは既存店の好調とコスト管理が奏功し、MARUGAME UDONもアジアや北米で堅調でした。対照的に、英国のFulham Shoreでは不採算店の整理など再建を進めています。
海外事業の増益が国内2事業の減益を補い、連結の事業利益の落ち込みを抑えました。利益の前年比は次の通りで、海外と国内で明暗が分かれています。
- 丸亀製麺-16.0%
- 国内その他-15.0%
- 海外事業+62.6%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 丸亀製麺 | 365億円 | 51% | 57億円 | 15.5% |
| 国内その他 | 105億円 | 15% | 10億円 | 9.2% |
| 海外事業 | 253億円 | 35% | 19億円 | 7.3% |
財務状況と資本政策
6月末の総資産は前期末比2.5%減、親会社所有者帰属持分比率は31.7%でした。営業活動で資金を確保しながら設備投資や借入金・リース負債の返済を進め、現金及び現金同等物は前期末から減少しました。
| 項目 | 2027年3月期第1四半期 | 前年同期・前期末との比較 |
|---|---|---|
| 総資産(百万円) | 301,377 | 前期末比-2.5% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 31.7% | 前期末29.9% |
| 営業CF(百万円) | 11,255 | 前年同期比-17.7% |
| 投資CF(百万円) | -5,638 | 前年同期比、支出6.2%増 |
| 財務CF(百万円) | -9,305 | 前年同期比、支出5.5%減 |
| 年間配当予想(円) | 12 | 前期実績11円から1円増 |
営業CFの主な源泉は減価償却費などで、投資CFでは有形固定資産の取得に51億51百万円を支出しました。年間配当は前期より増やす計画で、中間配当はなく期末に12円を予定しています。自己株式取得や自社株買いの新たな発表はありません。
通期見通し
会社は2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。第1四半期の業績は概ね計画通りとしており、売上収益は前期比3.0%増、営業利益は60.7%増を見込みます。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益(百万円) | 287,000 | 287,000 | +3.0% |
| 事業利益(百万円) | 22,000 | 22,000 | +2.5% |
| 営業利益(百万円) | 17,000 | 17,000 | +60.7% |
| 親会社所有者帰属当期利益(百万円) | 7,000 | 7,000 | +202.9% |
今回の予想修正はありません。営業利益や最終利益の大幅な増益率には、前年の利益水準との比較に加え、当期に海外再建費用などを計上する第1四半期からの回復が前提となります。国内の人件費上昇を抑えながら、海外事業の改善を継続できるかが達成の焦点です。
戦略トピック
トリドールは海外事業の収益性と持続可能性を高めるため、英国事業の抜本的な再建を進めています。第1四半期には海外で58店を閉鎖し、Fulham Shoreでは不採算店舗の契約解消に加え、The Real Greek事業の売却・撤退を実施しました。
- 不採算拠点の整理: 海外事業の閉店には、Fulham Shoreの事業再建に伴う閉店・撤退が含まれます。
- 成長地域への注力: Tam Jaiは香港を中心に既存店と新規出店が好調で、MARUGAME UDONも台湾などアジアや北米で順調に推移しました。
- 出店と撤退を並行: 国内外で新店を開く一方、収益性の低い海外店舗を整理し、事業ポートフォリオを見直しています。
店舗網を広げるだけでなく、採算の悪い事業を縮小して利益を確保する段階に入ったことが今回の再編のポイントです。閉店や事業売却に伴う一時的な費用が出る一方、今後は整理後の海外事業が継続的な利益成長につながるかが問われます。
リスクと課題
物価上昇が続くなか、消費者の節約志向やコストの上昇が利益を圧迫しています。海外では再建費用と事業整理後の収益回復を見極める必要があります。
- 人件費の上昇: 丸亀製麺と国内その他では増収を確保しても人件費などを吸収しきれず、利益率の改善が課題です。
- 原材料・エネルギー価格: 価格上昇が続けば、食材や店舗運営のコストを通じて利益を押し下げる可能性があります。
- 消費マインドの慎重化: 価値を重視して商品やサービスを選ぶ消費が強まり、価格に見合う商品力や体験価値が求められます。
- 海外事業の再建: 店舗閉鎖や事業撤退に伴う費用が発生しており、再編後に収益性を高められるかが焦点です。
- 地政学リスクと先行き不透明感: エネルギーや原材料価格の変動を含め、外部環境の変化が事業計画に影響するおそれがあります。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/8/13)
4,299円
最新終値(2026/10/23)
4,700円+9.3%
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/25更新
タグ#トリドール#決算#決算分析#四半期決算#丸亀製麺#海外展開#店舗再編#配当
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コメント
売上の過去最高更新だけを見ると好調ですが、利益面では国内の人件費負担と海外再建に伴う費用が目立ちます。特に丸亀製麺は商品施策への反応が強く、販売実績を客数や利益につなげられるかが注目点です。
海外事業はTam Jaiなどの伸びが明確な一方、英国事業の整理は短期的な費用を伴います。海外の再編を一過性の費用で終わらせ、継続的な利益改善につなげられるかが、今後の決算を読むうえで重要です。
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