山崎製パン、2026年12月期第3四半期決算、品質改善と価格改定で増収増益

山崎製パンの2026年12月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比4.5%増の1兆114億円、営業利益が5.6%増の472億円となり、増収増益でした。品質改善や7月の価格改定が販売数量と採算を支え、連結子会社の業績改善も寄与しました。一方、原材料費や人件費、物流費の上昇は続いており、通期予想は据え置きました。値上げと品質改善で増益を確保した一方、流通事業の赤字拡大が課題です。

決算の数字第3四半期累計
期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)
| 項目 | 実績 | 前年比 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.0兆円 | +4.5% | 1.3兆円 | 76% |
| 営業利益 | 472億円 | +5.6% | 640億円 | 74% |
| 純利益 | 319億円 | +7.2% | 425億円 | 75% |
| 営業利益率 | 4.7% | |||
この決算のポイント
- 1経常利益は前年同期比7.7%増の498億円、親会社株主に帰属する純利益は7.2%増の318億円。
- 2食品事業は売上高が4.7%増、営業利益が8.1%増。菓子パンや和菓子が伸びをけん引。
- 3流通事業は売上高が0.2%増にとどまり、人件費上昇などで営業損失が15億円に拡大。
- 4通期予想は売上高1兆3,380億円、営業利益640億円で据え置き。年間配当予想も60円を維持。
- 5自己株式を64万9,800株取得。自己資本比率は前期末の49.3%から52.0%に上昇。
業績のポイント
山崎製パン(山崎製パン株式会社)は、2026年1~9月期に売上高1兆114億円(前年同期比4.5%増)、営業利益472億円(同5.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益318億円(同7.2%増)を確保しました。経常利益も498億円と同7.7%増で、営業利益率は前年同期の約4.6%から4.7%に改善しました。品質向上と価格改定が増益を後押ししました。
営業利益の増減要因を金額で示した開示は、デイリーヤマザキ事業を除く単体業績のものです。以下のグラフでは、その範囲で売上増加や原材料費の減少が増益に寄与した一方、販管費の増加が利益を押し下げた構図を示しています。
山崎製パンは食パンや菓子パンなどで品質改善を進め、低価格製品の充実と付加価値商品の開発を並行しました。7月に一部製品を値上げした際も、販売数量を確保したと説明しています。連結子会社の業績改善も加わり、原材料、人件費、物流費が上がる厳しい環境下で増収増益となりました。
- 前年282億円
- 売上増+116億円
- 原材料減+18.3億円
- 製造費増-34.2億円
- 販管費増-78.5億円
- その他+9.2億円
- 当年312億円
セグメント別動向
食品事業が連結売上高の大部分を占め、売上高、営業利益ともに前年同期を上回りました。流通事業は売上が横ばいにとどまり、人件費などのコスト上昇で営業損失が拡大しました。セグメント間の業績差は、食品事業の伸びとコンビニ事業の採算改善の遅れに表れています。
- 食品事業: 売上高は前年同期比4.7%増、営業利益は8.1%増。菓子パンの「コッペパン」や「アップルパイ」、和菓子の串団子・大福などが伸びました。主力製品の品質改善や低価格商品の販売も寄与しました。
- 流通事業: 売上高は0.2%増でしたが、営業損失は前年同期の3億78百万円から15億31百万円に拡大。店舗運営の改善に取り組む一方、人件費などのコスト上昇が利益を圧迫しました。
- その他事業: 売上高は7.9%増、営業利益は9.6%増。連結子会社では、YKベーキングカンパニーの営業利益が前年同期比80.3%増となるなど、子会社の業績改善も全体を支えました。
食品事業では、主力の菓子パンに加えて、スナック製品や和洋菓子も販売を伸ばしました。一方、調理パン・米飯類は前年同期比0.4%減で、前期に需要が急増した反動や米飯類の伸び悩みが響きました。デイリーヤマザキは商品開発と店舗運営を一体で見直し、個店の競争力向上を進めています。
- 食品+4.7%
- 流通+0.2%
- その他+7.9%
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 食品事業 | 9,395億円 | 93% | 458億円 | 4.9% |
| 流通事業 | 596億円 | 6% | -15億円 | -2.6% |
| その他事業 | 123億円 | 1% | 26億円 | 21.1% |
財務状況と資本政策
2026年9月末の総資産は9,247億円で、2025年12月末から72億円減少しました。自己資本比率は前期末の49.3%から52.0%に上昇し、負債の減少と純資産の増加が進みました。
| 指標 | 2026年9月末・累計 | 2025年12月末・前年同期 | 増減・比較 |
|---|---|---|---|
| 総資産(億円) | 9,247 | 9,319 | -72 |
| 純資産(億円) | 5,339 | 5,108 | +231 |
| 自己資本比率 | 52.0% | 49.3% | +2.7ポイント |
| 年間配当予想(円) | 60 | 前期実績60 | 据え置き |
- 自己株式取得: 2026年2月の取締役会決議に基づき、累計で64万9,800株を取得しました。自己株式は前期末から22億円増加しています。
- キャッシュフロー: 第3四半期累計のキャッシュ・フロー計算書は作成されていません。前年同期と比べたキャッシュ・フローの増減は、この短信からは確認できません。
負債は前期末から303億円減少し、支払債務や借入金の減少が主な要因でした。純資産は利益剰余金などの増加で231億円増加しています。配当予想は前期と同じ年間60円を維持しており、自己株式取得とあわせて株主還元を続けています。
通期見通し
2026年12月期の通期業績予想は変更されていません。売上高1兆3,380億円、営業利益640億円、親会社株主に帰属する当期純利益425億円を見込み、いずれも前期比で増加する計画です。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高(億円) | 13,380 | 13,380 | +2.0% |
| 営業利益(億円) | 640 | 640 | +4.7% |
| 経常利益(億円) | 670 | 670 | +4.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益(億円) | 425 | 425 | +3.9% |
会社は、山崎製パン単体の業績が順調に推移している一方、主要連結子会社の動向を見極めるとして予想を据え置きました。次期は小麦粉に加え、油脂やフィリング類などの原材料、人件費、物流費の上昇を想定し、2027年1月1日出荷分から一部の食パン、菓子パン、和洋菓子製品を値上げする予定です。価格改定と品質向上を組み合わせ、販売数量を維持できるかが今後の焦点です。
リスクと課題
増収増益となった一方、原材料費や人件費などのコスト上昇は続いており、消費者の節約志向も根強い状況です。会社は次期の価格改定を予定していますが、販売数量と採算の両立が課題です。
- 原材料価格の上昇: 油脂や包材に加え、小麦粉やフィリング類の価格上昇を見込んでいます。値上げでコストを吸収できなければ、利益率を押し下げる可能性があります。
- 人件費・物流費・光熱水費: これらの費用上昇が予想され、製造や配送のコスト負担が増えるおそれがあります。流通事業では人件費などがすでに営業損失の拡大につながっています。
- 節約・低価格志向: 価格への敏感さが続く市場では、値上げによる販売数量の減少がリスクとなります。低価格商品と高付加価値商品の両方をそろえる戦略が重要です。
- コンビニ業界の競争: ドラッグストアや小型スーパーとの競争が激しく、店舗運営コストも上昇しています。デイリーヤマザキでは、商品開発と店舗運営の改善を通じた収益力向上が課題です。
国内景気には持ち直しの動きがあるものの、中東情勢など先行きの不透明さも会社は挙げています。原材料高を価格改定だけに頼らず、品質改善や生産・営業の連携で吸収できるかが、通期計画の達成とその先の利益成長を左右します。
決算発表前後の株価推移
決算発表当日の終値(2026/10/27)
3,893円
最新終値(2026/10/27)
3,893円
※ 日次終値ベースの参考チャートです。リアルタイムの株価ではありません(株式分割調整済み、1年以上前は週次の終値)。2026/10/27更新
食品・飲料業界の今
掲載39社山崎製パンは食品・飲料業界の掲載39社中、売上高で7位。業界全体の株価と今期の会社計画を見ると――
- 業界の株価(1年)
- +15.0%全業界 +16.1%
- 今期計画 営業利益
- +10.9%全業界 +10.8%
- 予想の上方修正
- 5社下方 5社
- 営業利益率(業界)
- 7.7%
- 山崎製パン+22.1%
- 食品・飲料(業界平均)+15.0%
- 全業界+16.1%
- 足元の業績今期第1四半期累計は24社合計で売上高+5.6%・営業利益+14.5%(前年同期比)。通期計画に対する進捗が標準ペースを上回る企業は10社、下回る企業は5社。
- 予想修正今期予想を上方修正したのは5社、下方修正は5社。修正幅が最も大きいのはダイドー(営業利益+17.1%)。






タグ#山崎製パン#決算#決算分析#四半期決算#増収増益#食品事業#価格改定#デイリーヤマザキ#自己株式取得
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食品事業の品質改善と値上げが、販売数量を保ちながら利益を伸ばした点は評価できます。主力商品を多く持つ強みを、低価格商品と付加価値商品の両方に生かしていることが今回の増収増益を支えました。
一方、流通事業の赤字拡大は見過ごせません。通期予想を据え置いた理由として子会社の動向を挙げており、デイリーヤマザキを含む連結各社の採算改善が、次の決算で確認したいポイントです。
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