
大東建託、2027年3月期第1四半期決算、営業利益15.5%増も投資有価証券評価損で純利益減
売上高
4,801億円
+0.4%
通期予想
2.0兆円
営業利益
394億円
+15.5%
通期予想
1,420億円
純利益
237億円
-1.8%
通期予想
1,080億円
営業利益率
8.2%
大東建託が発表した2027年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比0.4%増の4,801億円、営業利益が同15.5%増の393億円と増益を達成した。一方で、JustCo Holdings Pte. Ltd.株に係る投資有価証券評価損42億円を特別損失に計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は同1.8%減の236億円となった。コア事業は堅調も特別損失で純利益減と、本業の強さと一過性損失が交錯する決算となった。
業績のポイント
2027年3月期第1四半期の連結業績は、売上高4,801億16百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益393億84百万円(同15.5%増)、経常利益398億12百万円(同13.4%増)と、いずれも増益を確保した。売上高は微増にとどまったものの、建設事業における価格改定効果や不動産賃貸事業の堅調な家賃収入が利益を押し上げた。特に、建設事業の完成工事総利益率は前年同期比3.5ポイント上昇の27.9%に達し、収益性の改善が顕著だった。
一方、親会社株主に帰属する四半期純利益は236億78百万円(同1.8%減)と減益となった。これは、保有するJustCo Holdings Pte. Ltd.株式について42億48百万円の投資有価証券評価損を特別損失に計上したことが主因である。この一過性損失を除けば、実質的な利益成長は続いており、事業基盤の強さがうかがえる。
なお、新設住宅着工戸数は2026年4月~5月累計で前年同期比21.1%増と大幅に回復したが、これは前年の建築基準法改正などの反動増の影響も含まれる。受注環境には金利上昇による融資審査長期化の兆しもあるものの、足元の業績は底堅く推移している。
業績推移(通期)
セグメント別動向
建設事業は、完成工事高が1,198億46百万円(前年同期比5.3%減)と減収となった。前年に価格改定前の駆け込み受注があった反動や、金利上昇に伴う金融機関の融資審査長期化が影響した。しかし、価格改定の浸透により完成工事総利益は334億23百万円(同8.0%増)、完成工事総利益率は27.9%(同3.5ポイント上昇)と大幅に改善。営業利益は98億96百万円(同16.9%増)となり、減収ながら増益を達成した。価格改定効果で利益率が急速に改善している点が評価できる。受注工事高は同21.1%減の1,026億円、受注残高は同4.8%減の7,577億円と、先行きにはやや陰りも見える。
不動産賃貸事業は、売上高が3,079億41百万円(同3.9%増)、営業利益が275億10百万円(同15.7%増)と、グループの利益をけん引した。一括借上物件の増加と高水準の入居率維持が奏功し、家賃収入が拡大。管理戸数は1,356,363戸(前期末比2.2%増)に達し、ストック収益基盤がさらに厚みを増した。6月の家賃ベース入居率は居住用で97.7%(同0.3ポイント上昇)と、高水準の入居率が安定収益を支える構図が続いている。
不動産開発事業は、売上高が299億90百万円(同10.6%減)と縮小したが、販売計画が第2四半期以降に偏重しているためで、通期計画への影響は限定的だ。株式会社アスコット連結化時の取得原価調整影響が縮小したことなどから、営業利益は42億21百万円(同52.3%増)と急回復し、売上総利益率も23.8%(同5.6ポイント上昇)に改善した。
その他事業(介護・エネルギー等)は、売上高223億38百万円(同2.9%増)に対し、営業利益は25億39百万円(同24.2%減)。介護施設の拡大に伴う設備投資や人材採用費の増加が利益を圧迫した。
| セグメント | 売上高(億円) | 前年同期比 | 営業利益(億円) | 前年同期比 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 1,198 | △5.3% | 98 | +16.9% | 8.3% |
| 不動産賃貸事業 | 3,079 | +3.9% | 275 | +15.7% | 8.9% |
| 不動産開発事業 | 299 | △10.6% | 42 | +52.3% | 14.1% |
| その他事業 | 223 | +2.9% | 25 | △24.2% | 11.4% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 1,198億円 | 25% | 99億円 | 8.3% |
| 不動産賃貸事業 | 3,079億円 | 64% | 275億円 | 8.9% |
| 不動産開発事業 | 300億円 | 6% | 42億円 | 14.1% |
| その他事業 | 223億円 | 5% | 25億円 | 11.4% |
財務状況と資本政策
2026年6月末の総資産は前期末比200億円増の1兆3,875億円。販売用不動産や仕掛販売用不動産の増加が主因で、現金預金は250億円減少した。負債は同210億円増の8,919億円。短期借入金が613億円増加した一方、賞与引当金や未払法人税等が減少した。純資産は4,956億円(前期末比9億円減)で、自己資本比率は35.8%(同0.7ポイント低下)と、健全な水準を維持している。
キャッシュ・フローは、営業CFが△411億円と大幅なマイナス。販売用・仕掛販売用不動産の増加や法人税等の支払いが響いた。投資CFも△267億円で、株式会社THEグローバル社の株式取得(162億円)が大きく影響している。財務CFは414億円の収入で、短期借入金の増加と自己株式処分(141億円)による収入が借入返済や配当支払いを上回った。
配当は、2027年3月期予想で年間163円(中間81円、期末82円)を計画。2025年10月の1→5株式分割を考慮した実質的な配当水準は前期比増配となる。また、2026年5月には従業員持株ESOP信託を再導入し、134億円規模の自己株式処分を実施。従業員の株式保有促進と中長期的な企業価値向上を狙う。さらに、2026年2月に実施したコミットメント型自己株式取得(FCSR)の調整取引が完了し、最終的に68万株を取得している。
通期見通し
2027年3月期の連結業績予想は、2026年4月30日公表値から変更なく、売上高2兆500億円(前期比3.3%増)、営業利益1,420億円(同5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,080億円(同9.1%増)を見込む。第1四半期の進捗率は売上高で約23%、営業利益で約28%と、通期計画に対して順調な滑り出しだ。会社側は、建設事業の利益率向上や不動産賃貸事業のストック収益拡大が通期でも寄与するとみている。
| 項目 | 前回予想 | 今回予想 | 前期実績(2026年3月期) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,050,000百万円 | 2,050,000百万円 | 1,984,638百万円 |
| 営業利益 | 142,000百万円 | 142,000百万円 | 135,277百万円 |
| 当期純利益 | 108,000百万円 | 108,000百万円 | 98,950百万円 |
ただし、金利上昇が建設需要に与える影響や、THEグローバル社買収に伴うのれん償却など、下振れリスクも内包している点には留意が必要だ。
戦略トピック:株式会社THEグローバル社の完全子会社化
大東建託は2026年4月~7月にかけて、不動産開発を手掛ける株式会社THEグローバル社(東証スタンダード上場)に対する公開買付けと二段階買収を実施し、2026年7月31日付で完全子会社化した。取得総額は公開買付けだけで162億円に上り、最終的な取得価額は今後確定する。
THEグローバル社は、首都圏中心部でのマンション開発や建物管理、ホテル事業に強みを持つ。大東建託は中期経営計画で不動産開発事業の拡大を重点施策に掲げており、今回の買収により、不動産開発事業の投資枠1,000億円達成へ大きく前進する。また、グループ内での建築機能連携によるコスト効率向上や、出口戦略の多様化といったシナジーも見込まれている。営業利益100億円の早期実現を目標に掲げ、PMI(買収後の統合プロセス)を加速させる方針だ。
リスクと課題
- 金利上昇が建設需要に及ぼす影響:融資審査の長期化や投資家マインドの冷え込みにより、受注がさらに減少する可能性がある
- 建築費・原材料価格の高止まり:価格転嫁が進まなければ利益率が再び圧迫される懸念
- 為替・地政学リスク:円安進行や中東情勢の緊迫化が事業環境を不透明にしている
- THEグローバル社のPMI:買収に伴うのれんや統合コストが業績を一時的に押し下げる可能性
- 不動産賃貸市場の変調:景気後退局面では空室率上昇や賃料下落が収益の重しとなる
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大東建託の第1四半期は、営業利益が15.5%増と好調で、特に不動産賃貸事業の底堅さと建設事業の利益率改善が光った。一方、受注減や金利上昇の影響は注視が必要であり、THEグローバル社買収に伴う投資負担も当面の財務負荷となる。
安定ストック収益と利益率改善が今期のけん引役となる一方、M&A後の統合効果を早期に引き出せるかが、通期業績達成の鍵を握る。純利益は評価損で目減りしたが、本業の収益力に陰りは見られず、中期的な成長シナリオは維持されていると評価する。
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